残像が消える! 対戦ゲームに特化した240hzゲーミングモニター「XL2546K」(BenQ ZOWIE)

 「ゲーミングモニター」とは、PCゲーム用に作られたモニターのこと。近年では、応答速度やリフレッシュレートが速かったり、残像が少ない映像を表示する技術を搭載していたりと、ゲームに特化した進化を遂げている。今回は、BenQ ZOWIEのゲーミングモニターの中でもeスポーツ向けに開発された最新の技術を搭載しているXL-K シリーズの「XL2546K」を借りることができたので、実際の使用感などを確かめてみた。

BenQ ZOWIEのゲーミングモニター「XL2546K」レビュー

一度でも使ったら二度と手放せない快適モニター 

 今回試してみた「XL2546K」(BenQ ZOWIE)の基本スペックは次の通り。24.5インチのフルHDモニターで、リフレッシュレートは240Hz、応答速度は0.5ms。VRRは、AMDのFreeSync Premiumが採用されている。
 
「XL2546K」新デザイン筐体が採用されている
 
筆者が普段使っている「XF240QSbmiiprx」(Acer)と並べた画像。
左が「XL2546K」(BenQ)
 
「XL2546K」の基本スペック

 早速、実際に「XL2546K」を使ってFPSをプレイしてみたところ、いつもよりスコアが良くなった実感があった。あくまでも筆者の体感レベルになってしまうが、普段使っているゲーミングモニターの場合、中距離~遠距離で走っている敵を見つけたら一応射撃はするものの、毎回AIMがぶれてしまい、致命傷を与えられずに撃ち逃してしまう。筆者はフルオートの武器しか使わないので、遠くの敵を狙っても残像だらけになってしまい、弾が当たっていないのだ。

 しかし「XL2546K」の場合、驚くほど遠くの敵にも弾が当たる。角でばったり出会ってしまった敵にも撃ち勝ちやすくなり、あきらかに連続キルが増えた気がする 。もちろん、リフレッシュレートが普段より高い(普段は165hz )影響もあると思うが、AIMの精確性が上がったり、中距離~遠距離で撃ち勝てる回数が増えたりなど、残像が軽減されるというDyAc+の恩恵を体感できたように感じた。

BenQ ZOWIE独自の”残像軽減”技術「DyAc」が凄い

 DyAc /DyAc+(Dynamic Accuracy)は、ブラウン管の現像原理を液晶ディスプレイに応用した残像(モーションブラー)軽減の独自技術だ。残像を軽減することで、ゲーム中の激しい画面の揺れを軽減し、リコイルコントロールを改善する。一見、その差はごくわずかだが、コンマ数秒で敵に的確に焦点を合わせなくてはならないシーンでは戦況に大きく作用する。
 
左のDyAc /DyAc+ がONになっているモニターはあきらかに残像が少なく明瞭なのがわかる

 液晶ディスプレイのバックライトは基本的に常時オンだが、DyAc /DyAc+ では特定のポイントだけオフにすることができる。こうすることによって前の固定点からの光が残らないため、残像を回避するのに役立つのだ。一度に複数のポイントを通過する光がないため、残像は表示されない。ターゲットも鮮明にとらえることができる。
 
左のDyAc /DyAc+ が無いモニターには残像があるが、
右のDyAc /DyAc+ 搭載モニターには残像がないのがわかる

 さらに、BenQ ZOWIEは量産された液晶パネルをそのまま採用せず、独自技術で電子回路とファームウェアを厳密に調整しているため、残像感を最小限に抑えることに成功している。

高級モニター=4Kではない! ゲーミングモニターの選び方 

 ゲーミングモニターを選ぶ際、特に注目すべき点は、解像度、リフレッシュレート、応答速度、パネルの種類、可変リフレッシュレートの五つだ。「XL2546K」のスペック表の項目に沿ってそれぞれ説明する。

解像度

 解像度は、フルHD、QHD、WQHD(ワイド)、UWQHD(ウルトラワイド) 、4Kの5タイプが主流。

 解像度が高いほど、美麗なグラフィックになるが、4Kと144Hz以上の高リフレッシュレートを安定して実現するには60万円以上するPCでも難しいと言われている。現状では、どちらかを選ばなければならないため、高リフレッシュレートを望むなら4Kモデルは選択肢から外れてしまうだろう。

リフレッシュレート

 そもそもリフレッシュレートとは、PCで処理した画像がモニターに描画される際、1秒間に画面が書き換えられる回数(単位はHz)のこと。複数枚の絵をめくりながらアニメーションを表現するパラパラ漫画のようなもので、書き換えられる量が多ければ多いほど滑らかな描画になる。リフレッシュレートは、FPSに限らず、格闘ゲームやMOBA系など全ての対戦ゲームで重要な要素だ。

応答速度

 モニターの色が別の色に変化するまでにかかる時間のこと。ms単位(1msは0.001秒)で表される。

パネルの種類

 ゲーミングモニターで主流なのは、「TN」と「IPS」の2つ。「TN」は一番値ごろなパネルで、応答速度が速く、リフレッシュレートが240Hzまで対応している。「IPS」は視野角が広く、色彩が美しいのが特徴。

VRR

 VRR(Variable Refresh Rate、可変リフレッシュレート)は、フレームレートに合わせてリフレッシュレートを調整し、ちらつきやカクつきなどを軽減する技術。AMDのFreeSyncと、NVIDIAのG-SYNCがある。

 「XL2546K」はこれらをバランス良く兼ね備えており、ゲームにはうってつけのスペックだ。

新しくなった台座でデスクがスッキリ

 手元で簡単に設定を変えられるBenQ ZOWIE独自のコントローラー「S.Switch」に保存できる設定は3つで、保存された設定はワンタッチで呼び出すことができる。最初から使えるプリセットも用意されており、それを使ってカラーバランスなどを細かく微調整することも可能。コンテンツによって適した設定に変えてより深く楽しめる。
 
「S.Switch」の画像。ゲーム1~3モードはワンタッチで変更可能になっている

 サイドには、余計な視界を遮断して没入感を高める取り外し可能な「アイシールド」がついている。「左右のどちらかだけ付ける」ということもできるのでデュアルディスプレイでも使用可能。背面には、ヘッドセットをかけるフックと持ち運び用の取っ手もついている。画面に集中できるようになるほか、照明の照り返しを抑えることができる。
 
アイシールドは取り外し可能
 
モニタースタンド上部には持ち運ぶ時に掴める取っ手があり、
右側にはヘッドセットをかけるフックがついている。フックは収納可能
 
モニターフレーム上部、左右の幅は約1.4㎝
 
モニターフレーム下部の幅は約1.7㎝

 実際にeスポーツ大会を見たことがある人は分かると思うが、プロゲーマーがプレイするときの姿勢は、想像以上にモニターとの距離が近い。競技中はモニターにスレスレに顔を近づけ、モニターのサイドに両手を置くようにしてプレイする選手が多いのだ。新しい「XL2546K」の台座は、モニターのすぐ近くにキーボードとマウスパッドを配置できるデザインになっているため、以前よりもモニターに近づいてプレイすることが可能になった。もちろん、ピボット(90度回転機能)やモニターアームにも対応している。
 
旧型台座(左)と比べて、新型台座(右)はレイアウトの自由度が高い
 
上下の調節範囲は0~15.5cmと、かなり自由に調節することができる
 
詳細スペック

BenQ ZOWIEの独自ソフトウェア「XL Setting to Share」

 「XL2546K」は、デフォルトで3つのゲーム用プリアセットが用意されている。さらに、細かく「DyAc+(残像軽減)」、「Color Vibrance(色の鮮明さ)」、「Black eQualizer(明るさ調整)」、をそれぞれ自由に調節することも可能だ。

 さらに公式ソフトウェア「XL Setting to Share」を使うと、同じモニターを持っている友人と設定を共有したり、VALORANTモードやAPEXモードなどの特定の人気ゲームに最適化されたビデオ設定をダウンロードして「S.Switch」に割り振ったりすることができるようになる。
 
残像軽減できる「DyAc+」、暗すぎる・明るすぎるマップの視認性を
高めることができる 「Black eQualizer」、
色の鮮明さを変えることができる 「Color Vibrance」
 
「APEX」と「VALORANT」の設定はどちらも公式ページからダウンロードできる

 一般的なゲーミングモニターの場合、設定を変えるには側面や背面にある小さなメニュー操作ボタンをポチポチと何度も押さなければならない。そうすると設定をいじること自体が億劫になり、モニターの設定は触らなくなってしまいがちだ。しかし「XL2546K」の場合、一度ソフトウェアに設定しておけば、動画鑑賞用はこれ、ゲームするときはこれというように、ボタン一つで切り替えることができるようになる。使い勝手は圧倒的に高まった。

 改めて普段のモニターでプレイしてみると、いつもはなかった違和感がある。「XL2546K」がいかにくっきりと鮮明だったか、思い知ることになった。先ほどとは打って変わって、撃ち負けてしまう回数が増えた。銃撃や爆撃が激しい場面では残像だらけで敵を視認することすらできずに殺されてしまう。これは普通のモニターで平常運転に戻るには苦労しそうだ。 (マイカ・辻村 美奈)

●執筆者プロフィール
北海道出身のPCゲーマー。サバイバルゲームやFPSゲームが大好きです。ゲームライターとして「カカクコムマガジン」や「アキバ総研」、「NIKKEI STYLE」などで記事を執筆しています。