東大チームが圧勝、大学対抗プログラミングコンテストICPCアジア地区大会2020

イベント

2021/03/25 16:39

 国際大学対抗プログラミングコンテスト「ICPC(International Collegiate Programming Contest)」の2020年度アジア地区大会が2021年3月16・17日、オンラインで開催された。新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、初めてフルオンラインで実施。昨年11月に開催した国内予選から勝ち上がった29大学40チームが腕を競った。5時間の熱戦の末、圧倒的な強さを見せた東京大学の「___ KING ___」チームが優勝し金メダルを獲得。銀メダルは京都大学の「Heno World」チーム、銅メダルは東京工業大学の「good_yamikin」チームがそれぞれ獲得した。優勝チームに加え上位数チームがバングラデシュの首都ダッカで開催される世界大会に挑む。

優勝して金メダルを獲得した東京大学のチーム「___ KING ___」

 今回の課題はAからKまでの11問。A、B、Jは比較的平易で全チームが正解した。一方、DとFは難問。Fはわずか2チーム、Dに至っては1チームしか正解できなかった。難問Dを含め全問正解したのは優勝チームの___ KING ___だ。開始わずか30分で4問を次々と正解。スタートダッシュを決めた後も常に首位をキープし続けた。最後に残った課題Dには少々てこずったものの、全11問をわずか3時間、競技終了まで2時間を残して解き切った。表彰式で司会を務めた、慶応大学教授でICPCアジア地区大会実行委員会の高田眞吾 実行委員長も「こんなに早く全問正解チームが出るとは夢にも思わなかった」と舌を巻くほど。___ KING ___のHirotaka Isaさんは「今回4回目だが今までで一番いいパフォーマンスだった」、Yuta Takayaさんは「いいペースで問題が解けた」、Riku Kawasakiさんは「最後の課題Dをチーム内で誰が先に解くかの競争が面白かった」とそれぞれが戦いを振り返った。
 
優勝チームの___ KING ___が全問正解した瞬間の順位表。
他のチームを圧倒する速さだった

 世界中の大学生がプログラミングで競うICPCは3人1組のチーム戦。プログラミング力に加えチーム力も必要だ。3人で協力しながら、いかに速く効率的に課題を解いていくかもポイント。国際大会のため、国内予選でも問題文はすべて英語で書かれている。例年は選手を一堂に集め、各チームで使えるPCは1台だけ。競技中インターネットに接続することは認められていなかった。オンライン開催の今回は、PCは一人1台まで使用でき、競技中のインターネット利用についても、SNSへの投稿や翻訳サイトなどを除き可能。普段とは異なる環境で競技が進行した。
 
競技のプラットフォームとして使った「DOM Judge」のデモ画面

 例年は各チームが机を並べ黙々と課題に挑み、正解すると課題のアルファベットをかたどった風船が机につけられていくというのが恒例。どのチームがどれぐらい正解しているかが直感的に分かるようになっていた。オンライン開催の今回は風船こそなかったが、リアルタイムで戦況が分かる順位表は健在。まるでマラソンを観戦するように、どのチームがどこをどんなスピードで走っているかが一目瞭然で分かるように工夫されている。プラットフォームはZoomやYouTubeで連絡や問題解説、競技は「DOM Judge」、終了後の懇親会は「Gather Town」と複数のシステムを駆使。オンラインながらも例年同様のコンテスト運営を実現させた。
 
「Gather Town」を使って懇親会も開催した

 閉会式で、情報科学国際交流財団の理事長でICPC Boardの筧捷彦 理事長は「選手のみなさんは、それぞれ十分に力を発揮できたに違いないと思う。昨年6月にロシア・モスクワで開催予定だった2019年度のICPC世界大会はコロナ禍で延期されたまま。今のところ今年の第4四半期中に実施される予定だ。そのため、今回の優勝チームなどが出場するダッカでの世界大会はいつ実施できるかまだ分からない状況。それまで力をためておいてほしい」と話した。(BCN・道越一郎)