今年をポータブルモビリティ元年に! 国内ベンチャーの電動キックボードに感じた流行の予感
【木村ヒデノリのTech Magic #047】 2021年はポータブルモビリティ元年となるかもしれない。いや、なってほしい。少なくとも筆者が今回試乗した電動キックボード「FreeMile plus(フリーマイルプラス)」はすばらしい乗り心地で、流行を予感させてくれた。
電動キックボードと聞くと海外製に保安部品を「後付け」した製品が思い浮かぶだろう。だが道路事情も法制も異なる日本においてそれだけでは不十分だ、というのがフリーマイルプラスを展開するクリエイティブジャパンの見解だ。フリーマイルプラスは、こうした考えのもと一から日本の法令に則って作られているのが特徴。長時間乗っても快適さを保てるなど、電動キックボードの概念が変わるポイントを紹介しよう。
また、少し前進しているだけで容易にバランスをとっていられるので、信号待ちで減速した時などでも止まる寸前まで足をつかずに両足が乗った状態をキープできる。毎回乗り降りしなくて良いのは実用的で、長時間乗っていても疲れにくい設計になっていた。
「本体をまたぐスタイルで乗るのは走り始めが心配」という読者もいるだろう。筆者も心配だったが大丈夫だ。右足をペダルにのせながら左足で少しだけ地面を蹴る。するとすぐにバランスが取れ、両足をのせられるのであとは少しずつアクセルをひねるだけだ。筆者は2~3回の練習ですぐにコツがつかめた。
ここでキックボードを取り巻く法律について簡単にまとめておきたい。キックボードは原付だと書いたが、これは個人が所有する場合に限った話だ。事業者の貸出用キックボードは「小型特殊自動車」という扱いに変わる。これはフォークリフトやトラクターなど限られた用途のために作られたカテゴリーで、公道を走るためには小型特殊免許かそれ以上(自動二輪もしくは普通自動車免許)が必要になる。
なぜ事業者用にこのような特例を出しているかというと、小型特殊のヘルメット着用が「任意」だからだ。つまり事業者用キックボードを小型特殊だということにすれば、法律を変えずにヘルメット無しで乗れるようにできる。最高時速が15kmになったのも小型特殊に合わせて変更されたというわけだ。ということは逆に自身で所有する場合はいかなる場合も「原付」扱いになってしまう。個人で所有する場合は常にヘルメットの着用義務があるということは頭に入れておきたい(※2021年3月現在)。
また他社製品で「公道走行可能」をうたっていても購入の際には注意が必要だ。一般には「保安基準に則った装備(バックミラー・方向指示器・前照灯・番号灯・ナンバープレート)」を付けていれば良いとなっているが、実はこれらの設置方法にも厳密な規定がある。
例えば「前照灯は地上から1m以下でないといけない」「ブレーキやウインカーは前後で二つ必要」「前照灯はオフにできてはいけない(常時点灯必須)」といった具合だ。海外製品によくみられるコンパクトなタイプはブレーキが後ろにしかないものも多いので保安装備が付いていたとしても違反となるものがある。購入時には気をつけて欲しい。フリーマイルプラスのような日本規格で作られた製品はこうした無意識の違反行為を防ぐためにも有効だろう。
■Profile
木村ヒデノリ
ROSETTA株式会社CEO/Art Director、スマートホームbento(ベントー)ブランドディレクター、IoTエバンジェリスト。
普段からさまざまな最新機器やガジェットを買っては仕事や生活の効率化・自動化を模索する生粋のライフハッカー。2018年には築50年の団地をホームハックして家事をほとんど自動化した未来団地「bento」をリリースして大きな反響を呼ぶ。普段は勤務する妻のかわりに、自動化した家で1歳半の娘の育児と家事を担当するワーパパでもある。
【新きむら家】
https://www.youtube.com/rekimuras
記事と連動した動画でより詳しい内容、動画でしかお伝えできない部分を紹介しています。
電動キックボードと聞くと海外製に保安部品を「後付け」した製品が思い浮かぶだろう。だが道路事情も法制も異なる日本においてそれだけでは不十分だ、というのがフリーマイルプラスを展開するクリエイティブジャパンの見解だ。フリーマイルプラスは、こうした考えのもと一から日本の法令に則って作られているのが特徴。長時間乗っても快適さを保てるなど、電動キックボードの概念が変わるポイントを紹介しよう。
キックボードとは思えない安定した乗り心地
まず特筆すべきはその安定性だろう。フリーマイルプラスは重量こそやや重めなものの、可搬性と安定性のバランスは絶妙だ。重心の低さとしっかりしたサスペンションが相まって、線路などの凹凸も飛び跳ねたりせず快適に走行できる。また、少し前進しているだけで容易にバランスをとっていられるので、信号待ちで減速した時などでも止まる寸前まで足をつかずに両足が乗った状態をキープできる。毎回乗り降りしなくて良いのは実用的で、長時間乗っていても疲れにくい設計になっていた。
「本体をまたぐスタイルで乗るのは走り始めが心配」という読者もいるだろう。筆者も心配だったが大丈夫だ。右足をペダルにのせながら左足で少しだけ地面を蹴る。するとすぐにバランスが取れ、両足をのせられるのであとは少しずつアクセルをひねるだけだ。筆者は2~3回の練習ですぐにコツがつかめた。
ヘルメットなしの実証実験も予定、導入と法整備の関係
フリーマイルプラスを展開するクリエイティブジャパンでは、今後ヘルメット無しで乗れる実証実験も行なっていくという。現在キックボードには専用の法律はなく、これが普及の足枷になっている。特にモビリティとして考えるとヘルメット着用義務があるだけで利用しづらくなってしまうが、制限速度を従来の20kmから15kmに落とし、ヘルメットなしで運転できるようにする動きも出てきている。フリーマイルプラスもこれに則って実験を進めるということなのでぜひ期待したい。ここでキックボードを取り巻く法律について簡単にまとめておきたい。キックボードは原付だと書いたが、これは個人が所有する場合に限った話だ。事業者の貸出用キックボードは「小型特殊自動車」という扱いに変わる。これはフォークリフトやトラクターなど限られた用途のために作られたカテゴリーで、公道を走るためには小型特殊免許かそれ以上(自動二輪もしくは普通自動車免許)が必要になる。
なぜ事業者用にこのような特例を出しているかというと、小型特殊のヘルメット着用が「任意」だからだ。つまり事業者用キックボードを小型特殊だということにすれば、法律を変えずにヘルメット無しで乗れるようにできる。最高時速が15kmになったのも小型特殊に合わせて変更されたというわけだ。ということは逆に自身で所有する場合はいかなる場合も「原付」扱いになってしまう。個人で所有する場合は常にヘルメットの着用義務があるということは頭に入れておきたい(※2021年3月現在)。
また他社製品で「公道走行可能」をうたっていても購入の際には注意が必要だ。一般には「保安基準に則った装備(バックミラー・方向指示器・前照灯・番号灯・ナンバープレート)」を付けていれば良いとなっているが、実はこれらの設置方法にも厳密な規定がある。
例えば「前照灯は地上から1m以下でないといけない」「ブレーキやウインカーは前後で二つ必要」「前照灯はオフにできてはいけない(常時点灯必須)」といった具合だ。海外製品によくみられるコンパクトなタイプはブレーキが後ろにしかないものも多いので保安装備が付いていたとしても違反となるものがある。購入時には気をつけて欲しい。フリーマイルプラスのような日本規格で作られた製品はこうした無意識の違反行為を防ぐためにも有効だろう。
三輪タイプのリリースも予定される今後が楽しみなブランド
クリエイティブジャパンは、ヘルメットなし運用の実証実験を進めるとともに、2021年前期には自立できる三輪タイプをクラウドファンディングにてリリースする予定とのこと。フリーマイルプラスに加えて走行や駐車がさらに簡単な三輪モデルが出れば、電動キックボードの間口は一層広がるだろう。何より今回筆者が感じたことは「乗ってみないとわからないことがある」ということ。公道で試乗できる体験会が恵比寿などで行われているようなので、都内在住者はぜひ一度体験してみて欲しい、電動キックボードの印象が変わると思う。(ROSETTA・木村ヒデノリ)■Profile
木村ヒデノリ
ROSETTA株式会社CEO/Art Director、スマートホームbento(ベントー)ブランドディレクター、IoTエバンジェリスト。
普段からさまざまな最新機器やガジェットを買っては仕事や生活の効率化・自動化を模索する生粋のライフハッカー。2018年には築50年の団地をホームハックして家事をほとんど自動化した未来団地「bento」をリリースして大きな反響を呼ぶ。普段は勤務する妻のかわりに、自動化した家で1歳半の娘の育児と家事を担当するワーパパでもある。
【新きむら家】
https://www.youtube.com/rekimuras
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