デマント・ジャパンは3月2日、フィリップスブランド補聴器の新製品として同社として初めてAIを搭載する補聴器「フィリップス ヒアリンク 9030/7030/5030 充電式補聴器」を発表した。ラインアップは3種類。カラーは、ベージュ、トープ、ブラウン、グレー、ダークグレー、ブラックの6色を用意した。
2020年1月にデマント・ジャパンは、ロイヤル フィリップスと商標ライセンス契約を結び、独自開発したフィリップスブランドの補聴器の販売を開始。今回発表した新製品は同ブランドとして初めて“AI”を搭載したことが特徴だ。
デマント・ジャパンの木下聡社長は、「近年の研究で認知症の最も大きいリスクが難聴で、さらに中高年(45~64歳)の軽度の難聴がその入口になることが分かってきた。これは、日本の現在の補聴器装用の状況と乖離がある」とコメント。「フィリップスという認知度のあるブランドの力によって、こうした状況を変えていきたい」と、改めて提携の意義を説明した。
新型コロナ後の補聴器市場では、20年の出荷台数が前年比92%と外出自粛の影響などで落ち込んでいる。ただ、マスク装用によって言葉を聞き取ることへの意識が変わりつつあり、関心は高まりつつあるという。「コロナの常用が落ち着いた21年には、市場が活性化するのではないか」と、木下社長は今後の動向を予測した。
フィリップス補聴器は現在、モダンシニアと呼ばれる50~70歳がメインユーザーになっている。まだ現役でさまざまな活動に関わりたいという意向をもっており、難聴のレベルは軽中度であることが多い。販売店では黄色の目立つポップを使うなど、補聴器初心者の目を引く工夫なども行っているそうだ。
フィリップス ヒアリングソリューションズ セールスマネージャーの武田和浩氏は、「補聴器というとネガティブな印象が強いが、フィリップスブランドはユーザーにポジティブな印象を与えている」と、市場参入から1年の感触を振り返る。使っているシェーバーがフィリップスなので、補聴器もフィリップスにするといった狙い通りの効果も出ているという。
新製品のコンセプトは「つながる」。特徴は三つあり、まずAIによる音声処理技術「SoundMap 2」だ。数十万の音環境の学習・検証を重ね、知識を蓄積した学習済みの人工知能を搭載し、騒がしい環境でもクリアな音が届けられるようになった。従来はシミュレーションによって計算された処理によってノイズを除去していたが、AIはリアルな状況に基づいて処理する。これがユーザーによって自然な音を提供するというわけだ。
次に外部機器との連携を実現する「SoundTie 2」。例えば、スマートフォンに接続することで通話や音楽再生など、従来の補聴器にはない新たな役割を果たすことが可能になった。新世代になりiOSだけでなく、新たにAndroidにも対応した。
最後にリモートフィッティングへの対応だ。新型コロナウイルスの感染拡大によって店舗への訪問に抵抗を感じる人も多い中、フィリップス ヒアリンクは自宅からスマートフォン経由でフィッティングを受けることができる。この新しい仕組みはアフター・コロナにおいても、時間をとれない現役世代から外出の難しい高齢者まで、幅広い層にメリットを与えそうだ。
今回の発表会では、池畑慎之介(ピーター)氏がゲストに登壇。木下社長とトークセッションを行った。見た目も中身も若々しい池畑氏だが、年齢は現在68歳。「こうしたイベントに呼ばれる年齢かと改めて自覚した」と自己紹介し、会場を和ませた。
発表会に先立ち、実際に販売店に行って補聴器を装用したという池畑氏は「サ行がクリアに聞こえたのが印象的だった。あと、装着することを忘れるくらい軽い」とその性能と使い勝手の良さに衝撃を受けたという。木下社長は、「補聴器は早期の装用が望ましい。認知症などの病気の予防につながる」と深刻な症状が出る前の装用の重要性を説いた。
池畑氏は、「補聴器を病気を補う最終手段と思っていたが、生活の中でちょっとした聞こえの悪さを補うために必要な存在。もっと若いときから装用してもいいのではないかと感じた。イメージが100倍くらい良くなった」とポジティブな印象を強めたようだった。
デマント・ジャパンでは、新製品発売を記念したキャンペーンも実施する。購入者にもれなく補聴器・メガネユーザーのために開発された「耳にかけないhamon AGマスクII(3500円相当)」をプレゼント。さらにフィリップスの人気商品が当たるダブルチャンスも用意した。期間は3月3日~5月28日となる。(BCN・大蔵大輔)
2020年1月にデマント・ジャパンは、ロイヤル フィリップスと商標ライセンス契約を結び、独自開発したフィリップスブランドの補聴器の販売を開始。今回発表した新製品は同ブランドとして初めて“AI”を搭載したことが特徴だ。
デマント・ジャパンの木下聡社長は、「近年の研究で認知症の最も大きいリスクが難聴で、さらに中高年(45~64歳)の軽度の難聴がその入口になることが分かってきた。これは、日本の現在の補聴器装用の状況と乖離がある」とコメント。「フィリップスという認知度のあるブランドの力によって、こうした状況を変えていきたい」と、改めて提携の意義を説明した。
新型コロナ後の補聴器市場では、20年の出荷台数が前年比92%と外出自粛の影響などで落ち込んでいる。ただ、マスク装用によって言葉を聞き取ることへの意識が変わりつつあり、関心は高まりつつあるという。「コロナの常用が落ち着いた21年には、市場が活性化するのではないか」と、木下社長は今後の動向を予測した。
フィリップス補聴器は現在、モダンシニアと呼ばれる50~70歳がメインユーザーになっている。まだ現役でさまざまな活動に関わりたいという意向をもっており、難聴のレベルは軽中度であることが多い。販売店では黄色の目立つポップを使うなど、補聴器初心者の目を引く工夫なども行っているそうだ。
フィリップス ヒアリングソリューションズ セールスマネージャーの武田和浩氏は、「補聴器というとネガティブな印象が強いが、フィリップスブランドはユーザーにポジティブな印象を与えている」と、市場参入から1年の感触を振り返る。使っているシェーバーがフィリップスなので、補聴器もフィリップスにするといった狙い通りの効果も出ているという。
新製品のコンセプトは「つながる」。特徴は三つあり、まずAIによる音声処理技術「SoundMap 2」だ。数十万の音環境の学習・検証を重ね、知識を蓄積した学習済みの人工知能を搭載し、騒がしい環境でもクリアな音が届けられるようになった。従来はシミュレーションによって計算された処理によってノイズを除去していたが、AIはリアルな状況に基づいて処理する。これがユーザーによって自然な音を提供するというわけだ。
次に外部機器との連携を実現する「SoundTie 2」。例えば、スマートフォンに接続することで通話や音楽再生など、従来の補聴器にはない新たな役割を果たすことが可能になった。新世代になりiOSだけでなく、新たにAndroidにも対応した。
最後にリモートフィッティングへの対応だ。新型コロナウイルスの感染拡大によって店舗への訪問に抵抗を感じる人も多い中、フィリップス ヒアリンクは自宅からスマートフォン経由でフィッティングを受けることができる。この新しい仕組みはアフター・コロナにおいても、時間をとれない現役世代から外出の難しい高齢者まで、幅広い層にメリットを与えそうだ。
今回の発表会では、池畑慎之介(ピーター)氏がゲストに登壇。木下社長とトークセッションを行った。見た目も中身も若々しい池畑氏だが、年齢は現在68歳。「こうしたイベントに呼ばれる年齢かと改めて自覚した」と自己紹介し、会場を和ませた。
発表会に先立ち、実際に販売店に行って補聴器を装用したという池畑氏は「サ行がクリアに聞こえたのが印象的だった。あと、装着することを忘れるくらい軽い」とその性能と使い勝手の良さに衝撃を受けたという。木下社長は、「補聴器は早期の装用が望ましい。認知症などの病気の予防につながる」と深刻な症状が出る前の装用の重要性を説いた。
池畑氏は、「補聴器を病気を補う最終手段と思っていたが、生活の中でちょっとした聞こえの悪さを補うために必要な存在。もっと若いときから装用してもいいのではないかと感じた。イメージが100倍くらい良くなった」とポジティブな印象を強めたようだった。
デマント・ジャパンでは、新製品発売を記念したキャンペーンも実施する。購入者にもれなく補聴器・メガネユーザーのために開発された「耳にかけないhamon AGマスクII(3500円相当)」をプレゼント。さらにフィリップスの人気商品が当たるダブルチャンスも用意した。期間は3月3日~5月28日となる。(BCN・大蔵大輔)