• ホーム
  • ライフスタイル
  • デジタル化時代のアナログ学習教材「OSMO」をレビュー! 触って学習できる先進の知育玩具

デジタル化時代のアナログ学習教材「OSMO」をレビュー! 触って学習できる先進の知育玩具

レビュー

2021/02/27 18:30

【木村ヒデノリのTech Magic #045】 STEAM教育という言葉をご存知だろうか。Science(科学)、Technology(技術)、Engineering(ものづくり)、Art(芸術)、Mathematics(数学)の五つの単語の頭文字を組み合わせた造語で、これら五つの領域を重視する教育方針を指す。タブレットを使った教育もこれに該当するが、日本ではなかなか導入が進んでいないのが現状だ。

 今回、紹介する「OSMO(オズモ)」はこうしたデジタル教育と従来の教育の架け橋となってくれる存在だ。物理的なカードやブロックを使ってタブレットの中の問題を解くという方式で、デジタル教育の懸念事項を解消してくれる。今後必須になるかもしれない先進の知育玩具を紹介しよう。
 
「OSMOジーニアススターターキット」は五つのアプリで遊べるようになっている
 
付属のカードやブロックは全て同じ大きさのケースに入っており、
スタッキングして収納できるのもよく考えられていて実用的
 
スターターキットの他にも対象年齢や学習内容によって様々なラインナップがある

デジタルとフィジカルの融合という素晴らしさ

 まず一言で言って、デジタル教育に物理的な教材を組み合わせている点がとても素晴らしい。長時間画面を見るので視力が低下する、当てずっぽうでタッチしても正解してしまうので、考える力が養えないなどがタブレット活用のデメリットだ。しかしOSMOでは、あくまで「導いてくれる役割」としてタブレットを活用し、子供は多くの時間を物理的な教材と過ごすことになる。したがって前述したような懸念がほぼなくなるわけだ。
 
筆者の娘が実際に取り組む様子。
初めてにもかかわらず、意図を理解して並べはじめる
 
はじめは画面をタップしたりしていたが、すぐにブロックに注意が移る。
画面と形を見比べて進めていた
 
なんと「裏返しだよ」ということも教えてくれる優秀さ

 対象年齢は6歳からなので、2歳の娘には早いかなと思ったが、写真にある「Tangram タングラム」というアプリは意外と楽しめている様子だった。現在はAmazonのKindleキッズエディションで数字や色などの学習をさせているが、小さいうちからOSMOにも触れておけば、基礎的な部分ができた後にスムーズに興味を持ってもらえそうだ。
 
実はスターターキットの中にもMasterpieceというなぞりがきのアプリがある。プリセットの他にカメラで撮影したものも使えるので、低年齢向けの絵を撮影して取り組ませるのも良いかもしれない(https://youtu.be/0upQlA6K5YI)

細部まで「子供のこと」を考え抜いた設計

 アプリも素晴らしいが、さらに好感が持てたのがハードウェアの設計だ。使用するカードやブロックはそれぞれカラフルな箱に入っており、色でどれか判別することができる。カードやブロック自体の色も工夫されており、アプリだけで学習させるのではなく物理的な部分も含めて子供に興味を持ってもらおうという気持ちが感じられる。
 
色合いも低年齢時における教育には重要な要素だ

 iPadに装着するパーツも下の台座にすっぽり収まるようになっており、子供でも感覚的に片付けられるようになっている。学習する部分だけでなく、スタートから片付けまで全て子供がやれるように配慮されているのが素晴らしい。いくら先進的な学習方法だとしても、子供が自発的にスタートできなければ本末転倒なわけで、このあたりは子供を持つ創業者ならではの配慮だろう。「子どもたちのやる気を引き出す、素晴らしいもの」を原点に開発されただけあって隅々まで子供のことを考えられた製品だ。
 
iPad側のハードウェアにも片付けやすい工夫がされている

プログラミングや物理法則も感覚的に学習!

 さらに「プログラミング」や「物理法則」も手を使って学習できる点はOZMOならではだ。これらは現実で触って覚えるということが通常できないものなので、触覚を使って学習できるのは画期的だと感じた。
 
Appleなどからも低年齢向けのプログラミング学習アプリも出ているが、
物理的に学習できるのは他に例がない
 
Newtonでは上から落ちてくる要素に手書きや物自体で干渉し、
落ちるものを目的地まで誘導する

 仮想現実のものに物理的なインターフェースでアプローチするという形態は極めてユニーク。タブレットを使った学習の懸念事項に「子供が飽きてしまってやらなくなる」ということがあるが、OSMOなら年齢が上がってもどんどん上の難易度、バリエーションに進むことができるのでそういった心配もない。見た目こそおもちゃの延長に見えるが、かなり難しい問題も入れている点に教材としての実用性が垣間見えた。

ひらがな、漢字には非対応 「触覚」を使って覚える方法も

 ここまで優秀だと残念なのが、ひらがな、漢字に対応していない点だ。ただこの点に関しては鉛筆や筆など日本の筆記具の「触覚」を使って覚える方法がある。日本語は字の形状が複雑なので、アルファベットのように簡単に習得することができない。そこで筆者が日本向けに提案したいのは「ひらがなや漢字は手で書く」「計算にはそろばんも取り入れる」という学習法にプラスしてOSMOを活用する方法だ。上記2点に関しては日本独自の文化に由来する触覚と学習のプロセスがあると思うので組み合わせると良いのではないだろうか。
 
余白の多い日本語は習得が難しい言語だが、最近では余白を塗り絵にしてみることで空間認識能力を
育てて綺麗に文字を描けるようにする学習方法もある。
「ぬりえもじ」=https://www.youtube.com/channel/UC__mKjAdqkuziTd42sb0WbA
※教材は無料でダウンロード可能

 最後に使用するiPadだが、今のところ公式には最新のiPad Proなどベゼルが細くなったタイプには対応していない。筆者が実験してみたところでは浅く付ければ問題なく使えていたが、そのあたりは注意してほしい。非常に優秀な学習教材で拡張性も高いので今後の展開に注目していきたい。(ROSETTA・木村ヒデノリ)


■Profile

木村ヒデノリ 
ROSETTA株式会社CEO/Art Director、スマートホームbento(ベントー)ブランドディレクター、IoTエバンジェリスト。

普段からさまざまな最新機器やガジェットを買っては仕事や生活の効率化・自動化を模索する生粋のライフハッカー。2018年には築50年の団地をホームハックして家事をほとんど自動化した未来団地「bento」をリリースして大きな反響を呼ぶ。普段は勤務する妻のかわりに、自動化した家で1歳半の娘の育児と家事を担当するワーパパでもある。

【新きむら家】
https://www.youtube.com/rekimuras
記事と連動した動画でより詳しい内容、動画でしかお伝えできない部分を紹介しています。