「AirPods Max」の長期使用で見えてきた! アップル高級ヘッドホンの三つの魅力

レビュー

2020/12/31 13:00

 アップル初のハイエンドヘッドホン「AirPods Max」が12月18日に発売された。iPhoneやiPad、Macによるエンタテインメント鑑賞やリモートワークにも相性の良いワイヤレスヘッドホンの実力を発売後約1週間に渡って体験してみた。

アップル初のハイエンドヘッドホン「AirPods Max」の実力は?

“6万1800円”という高価格に見合うプレミアム体験

 AirPodsは2016年末に発売されたアップルの人気のワイヤレスイヤホンだ。iPhone、iPadとペアリングが簡単にできて、パーソナルアシスタントのSiriによる連携もスムーズにできる“よき相棒”として多くのユーザーに選ばれている。 

 新たに登場したAirPods Maxはイヤホンではなく、Bluetooth接続のワイヤレスヘッドホンだ。耳をゆったりと覆うイヤーカップを採用するアラウンドイヤースタイルとして、音楽リスニングに不要なノイズを音声信号の電気的な処理により消し込むアクティブ・ノイズキャンセリング機能を搭載している。

 価格は6万1800円というハイクラスなプレミアムヘッドホンだが、期待に応える高音質と、この後に触れるこのヘッドホンでしか楽しめない機能である「空間オーディオ」には十分に価格相応の価値がある。

 筆者は取材を始めてからもう長く本機を使っているが装着感は悪くないと思う。多彩なiPhone/iPad連携を使い込んでみるとコストパフォーマンスにも合点がいく。色とりどり5色のカラーバリエーションを揃えているのもうれしいポイントだ。
 
密閉型のハウジングにアルミニウム、ヘッドバンドにはステンレススチールを贅沢に使っている

消音効果がしっかり効く 外音取り込みも優秀

 AirPods Maxの見どころは数あるが、今回は三つの点に狙いを定めて特徴を紹介したい。はじめにアクティブ・ノイズキャンセリングの消音効果からだ。AirPods Maxは本体に搭載する合計八つのマイクで環境音とイヤーカップ内部の音をリアルタイムにモニタリングしながら、ノイズ成分に逆位相の音をぶつけて消し、リスニングに没入できる環境を作り出す。

 基本的な仕組みは一般的なノイズキャンセリング機能を搭載するヘッドホンやイヤホンと同じになるが、AirPods Maxの場合は10個のオーディオコアを搭載するアップル独自のオーディオ専用ICチップ「Apple H1」を合計2基搭載して制御。独自開発の高精度な消音アルゴリズムを走らせることによって、リスニングの妨げになるノイズをしっかりと消してくれる。

 消音効果は他社製品と比べてみてもかなり高いレベルにあり、機能をオンに切り換えても鼓膜をツンと刺激するような不快感も一切ない。音楽再生が心地よく楽しめるバランスも魅力的だ。

 音楽や通話音声に外部の環境音をミックスして聞くこともできる。本体右側イヤーカップの上部に搭載する「ノイズコントロールボタン」、またはペアリングしたiPhone/iPadからの操作により「外部音取り込み機能」に切り換えると、まるでヘッドホンを外したように周囲の音がクリアに聞ける。
 
右のノイズコントロールボタンをクリックするとノイズキャンセリング/
外部音取り込み機能が切り替わる
 
iPhone/iPadのコントロールセンターからも切り替え操作は可能

 アクティブ・ノイズキャンセリングと外部音取り込みの機能はとても出来映えがよかった。AirPods Maxは音楽や映画の音声を楽しむ場面に限らず、iPhoneによるハンズフリー通話や、iPad/Macによるビデオカンファレンスの際に音声を聞くために使うコミュニケーションデバイスとしても出来がよいと思う。

 AirPods MaxにはApple H1チップの高い処理性能を活かして、ヘッドホンの装着状態に合わせてサウンドの聞こえ方を最適化する「AdaptiveEQ(アダプティブイコライゼーション)」という機能もある。メガネやイヤリングを装着してみたり、髪型を変えてもAirPods Maxは音の聞こえ方のバランスが崩れないワイヤレスヘッドホンなのだ。
 
イヤーパッドは着脱可能。柔らかなクッションを採用しているので、
耳の周囲にピタリとフィットする

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