【木村ヒデノリのTech Magic #036】 家庭用脱毛器がにわかに注目されている。コロナ禍でサロンに通いづらくなり、自宅でできるプランが登場していることも追い風となっている。最近の家庭用脱毛器は、ほぼ効果のないものが多かった以前と比べしっかりと脱毛できるものが増えてきた印象だ。脱毛サロンを経営した経験があり、施術者としても講習を受けた筆者の視点から今回は少し辛口でレビューしていく。
また、BoSidinは「脱毛の際に冷却ガスを噴射して肌を5℃前後に保つ」と謳っているが、これも怪しい。照射部にガスの噴出口などは見当たらず、周りが冷たくなるのみだった。おそらく金属部分がペルチェ式冷却で冷たくなっているだけなのではないだろうか。これが原因で火傷をすることはないと思うが、ユーザーが誤解するような表記はいかがなものだろうか。
古くからの脱毛手法は毛乳頭の破壊が目的で、脱毛効果は確かなものの痛みが強い。対して最近登場したOPT方式はバルジ領域にダメージを与える。毛乳頭よりも浅い場所にあり、与える熱も少量で済むので痛みが少ないのが特徴。レーザー、電気、フラッシュなど、手法に違いはあるものの、目的は「毛乳頭の破壊」か「バルジ領域へのダメージ」の2種だけなので覚えておいてほしい。
なぜこれが重要かというと、IPL方式にはリスクがあるからだ。髭やVIOなどの濃く太い毛部分、もしくは日焼けした肌に使うと火傷になってしまう。したがってボシディンで濃い毛の部位などに使う際は、レベル1から火傷しないか確認しつつ徐々にレベルを上げていって欲しい。
薄い毛に対しては効果が速いが、太い毛に関してはかなり時間がかかる。これに関しては2日おきに使用するなど頻度を上げるのが良い。便利だったのが連射モードで、ヘッドを当てるだけで高速に照射することができる。腕や足など広い範囲に使いたい場合はとても便利で、この点は筆者が持つ業務用機よりもすぐれていた。
数年前は「家庭用機=ほとんど脱毛できない」という感覚だったが、久しぶりに使ってみてめざましい進化を遂げていることがわかった。BoSidinに関しては価格も3万円台と脱毛サロンに通うのに比べ格段に安い。十分に実用的だったので正しい知識をもって安全性に配慮しながら活用してほしい。(ROSETTA・木村ヒデノリ)
■Profile
木村ヒデノリ
ROSETTA株式会社CEO/Art Director、スマートホームbento(ベントー)ブランドディレクター、IoTエバンジェリスト。
普段からさまざまな最新機器やガジェットを買っては仕事や生活の効率化・自動化を模索する生粋のライフハッカー。2018年には築50年の団地をホームハックして家事をほとんど自動化した未来団地「bento」をリリースして大きな反響を呼ぶ。普段は勤務する妻のかわりに、自動化した家で1歳半の娘の育児と家事を担当するワーパパでもある。
【新きむら家】
https://www.youtube.com/rekimuras
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家庭用ながら実力は本物! 毛が明らかに減っていく
まずは結論から。今回試したのはBoSidin(ボシディン)の最新モデルだが、脱毛の実力は本物だ。5~6年前の業務用IPL脱毛器と比べても遜色のない働きをしてくれる。特に薄めの毛に関しては弱い出力、1回の施術でもかなり生えて来なくなる印象。光の強さは1~6まで調整できるが、これまでの家庭用機と比べると光の質がかなり業務用に近い。レベル6だと、髭など男性の太い毛に対しても有効で、古い業務用機よりも毛が早く細くなるという結果だった。結果は出るものの販売表記には疑問点も
毛が少なくなる事は間違いないが、販売ページの表記には何点か怪しいところがあったので注意して欲しい。まず製品タイトルに「レーザー脱毛器」とある点。本機は「フラッシュ脱毛機」である。照射口を覗くと放電管が見えるので明らかにレーザー方式ではない。レーザーは広範囲を一度に脱毛することができないため、照射口の面積が大きければ全て「光脱毛器」だと思ってもらっていい。また、BoSidinは「脱毛の際に冷却ガスを噴射して肌を5℃前後に保つ」と謳っているが、これも怪しい。照射部にガスの噴出口などは見当たらず、周りが冷たくなるのみだった。おそらく金属部分がペルチェ式冷却で冷たくなっているだけなのではないだろうか。これが原因で火傷をすることはないと思うが、ユーザーが誤解するような表記はいかがなものだろうか。
どの部分に作用しているのか?毛が生えてこなくなるメカニズム
脱毛はなんらかの形で毛細胞にダメージを与え、毛が生えてこないようにしている。毛乳頭は毛根の中心部分、バルジ領域は幹細胞の一種で指令を出して毛を生やす細胞で、このどちらかにアプローチすることで効果があらわれる。古くからの脱毛手法は毛乳頭の破壊が目的で、脱毛効果は確かなものの痛みが強い。対して最近登場したOPT方式はバルジ領域にダメージを与える。毛乳頭よりも浅い場所にあり、与える熱も少量で済むので痛みが少ないのが特徴。レーザー、電気、フラッシュなど、手法に違いはあるものの、目的は「毛乳頭の破壊」か「バルジ領域へのダメージ」の2種だけなので覚えておいてほしい。
脱毛効果はあるが火傷に注意! 脱毛の種類によるメリットとデメリット
下記表は脱毛の種類をまとめたもの。このなかでBoSidinはIPL脱毛の「IPL方式」もしくは「OPT方式」に該当する。商品ページには「OPT技術を使い…」と書いてあるがこれも実は間違いのようだ。OPT方式はバルジ領域をターゲットにするため、スキントーン(肌の色)や毛周期(毛が生え変わるサイクル)に関わらず素早く脱毛が完了するのが特徴。しかし、ボシディンの製品ページには「毛周期」に関する記載と「成長期の毛にのみ作用」という記載がある。こうしたことから本製品はおそらくIPL方式ではないかと判断した。なぜこれが重要かというと、IPL方式にはリスクがあるからだ。髭やVIOなどの濃く太い毛部分、もしくは日焼けした肌に使うと火傷になってしまう。したがってボシディンで濃い毛の部位などに使う際は、レベル1から火傷しないか確認しつつ徐々にレベルを上げていって欲しい。
表記には疑問が多いが、使ってみるとちゃんと脱毛できる
BoSidinは販売表記にあるOPT方式の最新脱毛器ではないし、冷却機能もお粗末だ。「黒い色素に反応する一般的なIPL方式脱毛器」というのが妥当だろう。しかしIPL方式の脱毛器として使えば脱毛は問題なくできる。薄い毛に対しては効果が速いが、太い毛に関してはかなり時間がかかる。これに関しては2日おきに使用するなど頻度を上げるのが良い。便利だったのが連射モードで、ヘッドを当てるだけで高速に照射することができる。腕や足など広い範囲に使いたい場合はとても便利で、この点は筆者が持つ業務用機よりもすぐれていた。
数年前は「家庭用機=ほとんど脱毛できない」という感覚だったが、久しぶりに使ってみてめざましい進化を遂げていることがわかった。BoSidinに関しては価格も3万円台と脱毛サロンに通うのに比べ格段に安い。十分に実用的だったので正しい知識をもって安全性に配慮しながら活用してほしい。(ROSETTA・木村ヒデノリ)
■Profile
木村ヒデノリ
ROSETTA株式会社CEO/Art Director、スマートホームbento(ベントー)ブランドディレクター、IoTエバンジェリスト。
普段からさまざまな最新機器やガジェットを買っては仕事や生活の効率化・自動化を模索する生粋のライフハッカー。2018年には築50年の団地をホームハックして家事をほとんど自動化した未来団地「bento」をリリースして大きな反響を呼ぶ。普段は勤務する妻のかわりに、自動化した家で1歳半の娘の育児と家事を担当するワーパパでもある。
【新きむら家】
https://www.youtube.com/rekimuras
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