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旅行からVlogまで対応する最強アクションカム! 「Insta360 ONE X2」だからできる360度カメラの活用法

レビュー

2020/11/28 17:30

【木村ヒデノリのTech Magic #032】 新世代の360度カメラが登場した。10月末に発売された「Insta360 ONE X2」(以下、ONE X2)は360度カメラのパイオニア機であるInsta360 ONE Xの正統後継機だ。ONE Xの後にはONE Rというモジュラー式カメラが発売されており、ロードマップはモジュラー式に移行されたかのように思えた。

 しかし、今回の発表でRシリーズとXシリーズは全く別物ということがはっきりした。ONE X2では前モデルの形状的な撮りやすさを踏襲しつつ、バッテリー容量などのハード的な弱点がしっかりとカバー。また、この後リリースされる予定の新アプリでは新しい機能も追加予定だ。360度カメラと聞くと、バーチャルツアーの撮影など、特殊な使い方をするだけかと思いがちだが、Vlogや旅行の収録など、普段使いにも向いている。なぜいま360度カメラなのか、具体例を交えながら紹介したい。
 
タッチディスプレイも搭載したコンパクトな360度カメラ
「Insta360 ONE X2」の活用法を紹介する

360度だけが魅力じゃない! 意外と活用の幅が広い360度撮影

 360度カメラと聞くと「そんな動画撮っても使わないしなぁ…」と考えがちだ。しかし、360度動画の真価は「そのまま使わないこと」で発揮される。例えば360度で撮った動画を16:9で書き出すことを考えてみよう。多くのアクションカムでは、クロップ(少し小さくトリミング)することで強力な手振れ補正を実現しているが、360度カメラは全球で動画が撮れているため、手振れと逆方向に動画を振るだけでクロップなしで強力な手振れ補正が得られる。
 
全球撮影のためカメラワークが自在なのは大きなメリット

 また、カメラワークも自在だ。アクションカムではカメラを向けなかった方向は当然ながら収録されないが、360度カメラは一旦全ての景色が撮影できているため、撮影後に自由に方向を変えることができる。また、話している自分の顔と景色を同時に収録できるなど、撮影後にリフレームすることでさまざまなメリットを提供してくれるのだ。

防水化・大容量化で弱点を完全に克服した最新ハードウェア

 このように360度で撮影したものを16:9にコンバートすることでも威力を発揮するInsta360シリーズだが、ONE X2はハードウェア自体の進化もめざましい。特に印象的なのはタッチディスプレイが搭載された点で、ONE Xではアプリでモニタリングするしかなかった操作性が格段に向上している。
 
タッチスクリーンが搭載されたことで視認性も操作性も大幅に向上している

 筐体もケースなしで10m防水仕様(IPX8相当)になっており、スポーツやアウトドアでも気兼ねなく使えるようになった。そして最大の進化はバッテリーで、ONE Xと比べ55%アップの1630mAhと2倍近い容量になっている。
 
見た目も大きくなったバッテリーの持ちは期待以上

 この大容量化は実撮影でもかなり長く撮れるようになったと感じるほどだ。カタログスペックだけで見ると以前が60分だったのに対してONE X2は80分とあまり伸びていないように見えるが、実際使ってみると2倍以上駆動時間が伸びたように感じた。

 というのも、前モデルは公称値の60分には程遠い30分弱しか撮れず、2本予備があっても不安だったからだ。一方、ONE X2はバッテリー1本でも日中ずっと撮影でき、その違いに驚いた。大容量になった分、ONE X2では本体が厚くなったが、これに関して使いづらいというよりむしろホールド感が増した印象だ。単体で防水に対応した点や、保護レンズが本体に直接取り付けられるようになった点も運用しやすく、前モデルの弱点は全て改善されたと言っていいのではないだろうか。
 
ONE R(右)とONE X2(左)を並べてみると、ONE Rの厚さが際立つ。
ONE Rは縦型にできるようになったとは言え、バッテリー容量も含め実用的とは言い難い印象
 
ONE Rは縦型モジュール用のカバーをつけるとUSB-Cコネクタが塞がってしまい、
マイクアダプターが付けられないのも問題だった

ハードウェアだけじゃない最近のガジェットの面白さ

 Insta360シリーズはアプリの完成度の高さで一世を風靡した感がある。アプリで360度動画を簡単に編集できるうえに、街歩き動画などはAI編集で自動生成できる。さらに今後のアップデートでスピードや傾斜などを表示するウィジェットのデザインも変更可能になるそうだ。さらにオンライン会議用の機能がさらに進化したりすれば、ウェブカムとしてのニーズも出てくる。このようにInsta360はハードウェアだけでなくソフトウェアの最適化を得意としているというところも購入判断の基準になるのではないだろうか。
 
ソフトウェアの進化でも恩恵を受けられるのが最近のガジェットの魅力

細かい配慮で使いやすく、オプション品の精度も向上

 本体と同じくらい大事なのが実はオプション品だ。最近話題のGoPro HERO9も広角レンズや拡張モジュールなどで魅力を増している。その意味でInsta360は、オプション品においても他社と一線を画している。

 例えば、外部オーディオを入力するためのマイクアダプターも、今までと一味違う。ONE Rを含めた多くのオーディオアダプターは、単純にUSB-Cコネクタに挿すだけのものが多い。しかし、ONE X2のアダプターは上部が本体に引っかかる構造になっており、簡単に抜けないようになっている。小さな違いに思えるが、オーディオケーブルからかかる負荷で挿しただけのタイプはすぐ抜けてしまう。一方ONE X2のアダプタは負荷についてもよく考えられており、簡単に抜けないので安心して外部入力を使うことができる。

 その他にも、コールドシューがついた万能フレームがあったり、固定方式の違うプレミアムレンズ保護フィルターがあったりと、今までのフィードバックを踏まえたオプション製品が多数ラインアップしている。このような製品開発を行っている点は、他メーカーと比較しても珍しく、非常に好感が持てる。
 
マイクアダプターも抜けにくい構造にするなど
細かい配慮がオプション品にも垣間見える

 ONE X2には、紹介したものの他にもGoProHERO9で搭載された水平維持や、水中でも青みがからず綺麗な色で表示するAquaVision、本体のみで可能な360度録音など、実用性の高い機能が搭載されている。唯一のデメリットとしては解像度で他に負けることだろうか。360度を5.7Kで撮影しているため、GoProやDJI Pocketと比べると16:9に書き出した際に画質が落ちてしまう。
 
余談だが、日本限定でNARUTO疾風伝コラボモデルというのが存在する。
写真はSASUKEモデルだが、写輪眼や輪廻眼の再現性が秀逸で筆者は購入してしまった

 とはいえ、360度カメラだからこそ撮れるカメラワークも多く、アドバンテージが多く、YouTubeが360度動画に対応していることを考えてもこのカメラでしか撮れない映像も多いのではないだろうか。第4世代では8K HDRに対応することを期待したい。(ROSETTA・木村ヒデノリ)


■Profile

木村ヒデノリ 
ROSETTA株式会社CEO/Art Director、スマートホームbento(ベントー)ブランドディレクター、IoTエバンジェリスト。

普段からさまざまな最新機器やガジェットを買っては仕事や生活の効率化・自動化を模索する生粋のライフハッカー。2018年には築50年の団地をホームハックして家事をほとんど自動化した未来団地「bento」をリリースして大きな反響を呼ぶ。普段は勤務する妻のかわりに、自動化した家で1歳半の娘の育児と家事を担当するワーパパでもある。

【新きむら家】
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