【木村ヒデノリのTech Magic #022】 読者のみなさんは自宅にあるソファの手入れをどうされているだろうか。合皮タイプなら拭き掃除で清潔さを保つこともできるが、布の場合は手入れされていないことがほとんどだろう。汚れてきたら目隠しのカバーをかけるなどの対応が日本では一般的だ。
一方で欧米に目を向けてみると、布製品をリンサー(またはリンスクリーナー)で水洗いするのが常識となっている。取り外せない布もなんとかして水洗いしようというのは合理的でいかにも欧米といった発想だが、これがなかなか侮れない。自宅のソファや車のシートは目に見えないだけで汗や皮脂などの汚れが蓄積されているからだ。
今回、ご紹介するBISSELL(ビッセル)の「Spot Clean Pro(スポットクリーンプロ)」はこうした汚れを視認できるレベルで気持ちよく取り除いてくれる。大手家電メーカーも注目し始めたことで、水洗い掃除機で家具を洗うトレンドが日本にも浸透しそうだ。
実は2017年に掃除機の先端に取り付けるタイプのシリウスが展開するSwitle(スイトル )という水洗い掃除機もあったのだが、用途が明確でなかったためか浸透しなかった。対してアイリスオーヤマはソファやぬいぐるみ、オフィスの椅子が劇的に綺麗になると訴求したところ、SNSを介して主婦の口コミが広がった格好だ。
筆者も娘が生まれ、ソファがこぼした飲み物でシミだらけになっていたので、水洗い掃除機の導入を考え始めた。当初前述したアイリスオーヤマ製を検討していたが、スペックなどを比較した結果BISSELL(ビッセル)社のものにすることにした。
噴出、吸引を繰り返し綺麗にしていくわけだが、綺麗にしたい気持ちがはやると、どうしても水を吹き付けすぎてしまう。使ってみるまで気づかなかったが、実は乾燥段階がキモ。吹き付けすぎるとなかなか乾かずに悪臭の原因にもなる。そこでスポットクリーンプロの吸引力が力を発揮してくれるわけだ。
アイリスオーヤマ製のレビューでは、乾きが遅いため布団乾燥機を組み合わせるといった工夫が散見された。その点スポットクリーンプロは、パワフルに水分を吸い取ってくれるので乾きが非常にいい。洗浄直後こそ少し湿っているが、そのまま1時間半~2時間ほど放置するだけでしっかり乾いてくれる。乾きが遅いと定期的な清掃をしなくなりそうだが、2時間程度だったらその気にさせてくれるだろう。
ただ純正ソリューションの香りはかなり強く、多くの日本ユーザーにとっては懸念材料のようだ。そのため国内ユーザーの間では多くの場合、ケルヒャーが自社リンサー用に販売しているタブレット洗剤が流用されている(純正品ではないので、使用する場合はあくまで自己責任で使っていただきたい)。
筆者の個人的な感覚では専用洗剤の香りが強いとは思わなかったが、結果的に洗浄力はケルヒャー製が勝っていた。ケルヒャー製が無香なのを考えても、こちらを利用するユーザーが多いのもうなずける。スプレーとクリーナーを持ち替えながら清掃しても結果は同じだが、工程は一つ増えるので広い面積を掃除する際は意外と大変だ。したがって直接洗剤を噴射・吸引ができるのは、効率面でかなりのアドバンテージだと言えるだろう。
導入検討の際に注目して欲しいと感じたのは、やはり「乾燥まで含めて一連の清掃作業」という点だ。汚れが落ちれば終了というわけではなく、水洗いするリンサーの場合は乾燥の工程も重要になる。スポットクリーンプロのデメリットは大きい図体と約6kgという重さだが、大型なだけにしっかりと水分を吸引して乾燥を早めてくれる。
定期的に清掃する上でこの点は非常に重要なので、運用も含めて導入を検討するといいだろう。逆に車内の清掃のみに使うなど、用途が限定的な場合は他社製の方がコンパクトでいいかもしれない。それにしても今まで手入れ出来なかったソファを、丸ごと水洗いできたと思うとなんとも清々しい気分だ。(ROSETTA・木村ヒデノリ)
■Profile
木村ヒデノリ
ROSETTA株式会社CEO/Art Director、スマートホームbento(ベントー)ブランドディレクター、IoTエバンジェリスト。
普段からさまざまな最新機器やガジェットを買っては仕事や生活の効率化・自動化を模索する生粋のライフハッカー。2018年には築50年の団地をホームハックして家事をほとんど自動化した未来団地「bento」をリリースして大きな反響を呼ぶ。普段は勤務する妻のかわりに、自動化した家で1歳半の娘の育児と家事を担当するワーパパでもある。
【新きむら家】
https://www.youtube.com/rekimuras
記事と連動した動画でより詳しい内容、動画でしかお伝えできない部分を紹介しています。
一方で欧米に目を向けてみると、布製品をリンサー(またはリンスクリーナー)で水洗いするのが常識となっている。取り外せない布もなんとかして水洗いしようというのは合理的でいかにも欧米といった発想だが、これがなかなか侮れない。自宅のソファや車のシートは目に見えないだけで汗や皮脂などの汚れが蓄積されているからだ。
今回、ご紹介するBISSELL(ビッセル)の「Spot Clean Pro(スポットクリーンプロ)」はこうした汚れを視認できるレベルで気持ちよく取り除いてくれる。大手家電メーカーも注目し始めたことで、水洗い掃除機で家具を洗うトレンドが日本にも浸透しそうだ。
大手が製品化したことで注目される水洗い掃除機
元々欧米ではポピュラーだった水洗い掃除機(リンサー)が、昨今国内でも注目されつつある。日本では業務用清掃機として客室清掃には使われていたものの、一般的には馴染みがなかった。そんななか、アイリスオーヤマがスポットを当て、安価なモデルを出したことでブレイクの兆しが生まれた。実は2017年に掃除機の先端に取り付けるタイプのシリウスが展開するSwitle(スイトル )という水洗い掃除機もあったのだが、用途が明確でなかったためか浸透しなかった。対してアイリスオーヤマはソファやぬいぐるみ、オフィスの椅子が劇的に綺麗になると訴求したところ、SNSを介して主婦の口コミが広がった格好だ。
筆者も娘が生まれ、ソファがこぼした飲み物でシミだらけになっていたので、水洗い掃除機の導入を考え始めた。当初前述したアイリスオーヤマ製を検討していたが、スペックなどを比較した結果BISSELL(ビッセル)社のものにすることにした。
乾燥まで考慮すると意外と軽視できない吸引力の差
清掃の手順は、タンクに貯めた水を吹き付けてから吸引という流れだ。当初、水を噴出しながら吸引するのかと思っていたがそうではなかった。噴出する水の温度は60℃まで対応しているので、汚れを浮きやすくしてくれる。酷いシミなどの場合は水をかけた後にブラッシングして吸引すると簡単に落とすことができる。噴出、吸引を繰り返し綺麗にしていくわけだが、綺麗にしたい気持ちがはやると、どうしても水を吹き付けすぎてしまう。使ってみるまで気づかなかったが、実は乾燥段階がキモ。吹き付けすぎるとなかなか乾かずに悪臭の原因にもなる。そこでスポットクリーンプロの吸引力が力を発揮してくれるわけだ。
アイリスオーヤマ製のレビューでは、乾きが遅いため布団乾燥機を組み合わせるといった工夫が散見された。その点スポットクリーンプロは、パワフルに水分を吸い取ってくれるので乾きが非常にいい。洗浄直後こそ少し湿っているが、そのまま1時間半~2時間ほど放置するだけでしっかり乾いてくれる。乾きが遅いと定期的な清掃をしなくなりそうだが、2時間程度だったらその気にさせてくれるだろう。
洗浄液を直接入れられることで効率の良い清掃が可能
また、洗剤を直接洗浄水に入れられるのも良い。アイリスオーヤマ製は、あくまで水で清掃し、頑固な汚れには別売のスプレーを吹きかけて吸引する方法を取っている。対して、スポットクリーンプロは、専用洗剤が同梱されており、直接タンクに入れることができる。ただ純正ソリューションの香りはかなり強く、多くの日本ユーザーにとっては懸念材料のようだ。そのため国内ユーザーの間では多くの場合、ケルヒャーが自社リンサー用に販売しているタブレット洗剤が流用されている(純正品ではないので、使用する場合はあくまで自己責任で使っていただきたい)。
筆者の個人的な感覚では専用洗剤の香りが強いとは思わなかったが、結果的に洗浄力はケルヒャー製が勝っていた。ケルヒャー製が無香なのを考えても、こちらを利用するユーザーが多いのもうなずける。スプレーとクリーナーを持ち替えながら清掃しても結果は同じだが、工程は一つ増えるので広い面積を掃除する際は意外と大変だ。したがって直接洗剤を噴射・吸引ができるのは、効率面でかなりのアドバンテージだと言えるだろう。
定期的に使いたくなる手軽さと洗浄力
今回綺麗にしてみたソファは下記写真の通り。子供がこぼした飲み物のシミは綺麗に消えている。これだけでも十分満足だが、洗浄し終わった液体を確認するとさらに満足度が高まる。汚水タンクには泥水のようにかなり濁った茶色い液体が溜まっており、これまで蓄積された汗や皮脂汚れが洗浄されたことが一目でわかる。目で見てスッキリできるという点も評価できる製品だろう。導入検討の際に注目して欲しいと感じたのは、やはり「乾燥まで含めて一連の清掃作業」という点だ。汚れが落ちれば終了というわけではなく、水洗いするリンサーの場合は乾燥の工程も重要になる。スポットクリーンプロのデメリットは大きい図体と約6kgという重さだが、大型なだけにしっかりと水分を吸引して乾燥を早めてくれる。
定期的に清掃する上でこの点は非常に重要なので、運用も含めて導入を検討するといいだろう。逆に車内の清掃のみに使うなど、用途が限定的な場合は他社製の方がコンパクトでいいかもしれない。それにしても今まで手入れ出来なかったソファを、丸ごと水洗いできたと思うとなんとも清々しい気分だ。(ROSETTA・木村ヒデノリ)
■Profile
木村ヒデノリ
ROSETTA株式会社CEO/Art Director、スマートホームbento(ベントー)ブランドディレクター、IoTエバンジェリスト。
普段からさまざまな最新機器やガジェットを買っては仕事や生活の効率化・自動化を模索する生粋のライフハッカー。2018年には築50年の団地をホームハックして家事をほとんど自動化した未来団地「bento」をリリースして大きな反響を呼ぶ。普段は勤務する妻のかわりに、自動化した家で1歳半の娘の育児と家事を担当するワーパパでもある。
【新きむら家】
https://www.youtube.com/rekimuras
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