【木村ヒデノリのTech Magic #021】 テレビ・洗濯機・冷蔵庫が三種の神器と呼ばれていた1950年代から現在に至るまでの過程で、最もイノベーションが少なかったのが洗濯機ではないだろうか。登場からほとんど形を変えることなく進化し、大きな変化といえば乾燥機能が付加されたことぐらい。そんな洗濯機の歴史が平成の終わりとともに動き始めた。洗剤の自動投入機能やスマホとの連携、フィードバックを反映しての自動洗濯など、昨今の発展は著しい。今回はこうしたコネクテッド洗濯機の分野でパナソニックと双璧をなす、日立が満を持して発表した「ビッグドラム BD-NX120E(以下、BD-NX120E)」を検証してみたい。
機能性では間違いなく他社より頭一つ抜けていた日立だが、IoTの分野では一歩出遅れていた。洗剤の自動投入機能やスマホ連携など、革新的な機能を先駆けて搭載したのはパナソニックだった。これに追随する形で満を持して発表されたのがBD-NX120Eだ。
日立は前モデルである「ビッグドラム BD-NX120C(以下、BD-NX120C)」でスマホとの連携を打ち出したものの不発に終わるなど手痛い教訓を得た。前モデルで提供していた連携機能のほとんどは、手動で行っていた作業の延長。購買意欲を喚起するには少々弱く、同時に搭載したAI機能も、どの手間が軽減されているのかユーザーが実感しづらかった。
このフローの追加は非常に大きい。ユーザーは開始時でなく終了後任意の時間に評価を入れればいいので、効率よく使える。前モデルでは見送っていた洗剤の自動投入機能も追加された。乾燥フィルターの形状も清掃しやすい形状を採用し、ユーザビリティを最優先に考えた製品に進化している。歴代モデルと比較すると、しっかりと洗濯できるにも関わらず、洗剤は長持ち、手入れも最小で汚れづらく、さらに洗濯時間は短いと文句なしの仕上がりだった。
前述した通り、乾燥フィルターや糸くずフィルターを毎回清掃するのはひと手間だった。しかし、ほとんどが自動化されている本モデルからは、その余裕が出てくる。フィルターが掃除しやすくなったのも相まって、「毎回手入れをする→ずっと高効率で稼働してくれる」という好循環が生まれるようになった。
電気代も、乾燥まで含めて1回47円とそう高くはない。毎日洗濯?乾燥しても月間1500円弱だ。この程度の金額で外に干す手間が軽減できるのであれば、洗濯から乾燥まですべてを洗濯機に任せてしまう方がいいだろう。その分毎回、フィルター等の手入れをする方が圧倒的に効率もいいし、時間にも余裕が生まれる。ちなみに筆者宅では風アイロンで仕上がったシャツをLG Stylerに入れることでアイロンの手間すらゼロになっている。
・以前は衣類が少なくても長かった乾燥時間が最適化され、かなり短時間で仕上がる
・乾燥までかけてもドラム内のホコリが断然少ない
・洗剤を手動で入れないので誤って本体にこぼしたりして汚れない(この汚れ、意外と取れない)
・シワが以前より伸びる
・フィルターの掃除がしやすい。圧倒的にしやすい
・仕上がり時間を決められるので家事に合わせて洗濯ができるのが便利
・仕上がり後に予運転をしてくれるので少しほっておいてもふわふわのまま
・仕上がったことをアプリで通知してくれる機能は意外に重宝する。
以上、ざっと示したが率直に「今までのドラム式洗濯乾燥機とは別物」と感じた。今回紹介したBD-120Eの後継機として今月中旬に「BD-NX120F」が発売されたが、こちらはマイナーアップデートのようなので、残っていれば安くなっているBD-NX120Eを購入するのもいいだろう。余談だが洗濯機は例年9月ごろ新製品が発売されるので、安く買いたい方は6~7月ごろに量販店で交渉するのが良い。とはいえ、新型に革新的な機能が搭載される可能性もあるので、新モデル発表後、比較した上で旧モデルを探してみるのもありだ。(ROSETTA・木村ヒデノリ)
■Profile
木村ヒデノリ
ROSETTA株式会社CEO/Art Director、スマートホームbento(ベントー)ブランドディレクター、IoTエバンジェリスト。
普段からさまざまな最新機器やガジェットを買っては仕事や生活の効率化・自動化を模索する生粋のライフハッカー。2018年には築50年の団地をホームハックして家事をほとんど自動化した未来団地「bento」をリリースして大きな反響を呼ぶ。普段は勤務する妻のかわりに、自動化した家で1歳半の娘の育児と家事を担当するワーパパでもある。
【新きむら家】
https://www.youtube.com/rekimuras
記事と連動した動画でより詳しい内容、動画でしかお伝えできない部分を紹介しています。
IoT x 洗濯機の分野で少し出遅れていた日立
他社にはない「風アイロン」という武器や大型にも関わらず奥行きが短い設置性にすぐれたモデルのリリースなど、日立は洗濯機分野におけるリーディングカンパニーだった。その魅力に取り憑かれ、何代にもわたって日立製を使うユーザーも多い。筆者も10年来の付き合いで、コアなユーザーの1人だ。使い続けていると忘れてしまいがちだが、実家帰省時など、他社製の洗濯機を使うと違いが顕著にわかる。やはり「風アイロン」で大部分のシワを伸ばしてくれる点や、大量に洗ってもしっかり乾いてくれる点は非常に素晴らしい。機能性では間違いなく他社より頭一つ抜けていた日立だが、IoTの分野では一歩出遅れていた。洗剤の自動投入機能やスマホ連携など、革新的な機能を先駆けて搭載したのはパナソニックだった。これに追随する形で満を持して発表されたのがBD-NX120Eだ。
日立は前モデルである「ビッグドラム BD-NX120C(以下、BD-NX120C)」でスマホとの連携を打ち出したものの不発に終わるなど手痛い教訓を得た。前モデルで提供していた連携機能のほとんどは、手動で行っていた作業の延長。購買意欲を喚起するには少々弱く、同時に搭載したAI機能も、どの手間が軽減されているのかユーザーが実感しづらかった。
ユーザビリティを徹底的に考慮してきた新モデル
対して新しいBD-NX120EではアプリのUIを刷新し、同時に洗剤の自動投入機能を搭載。アプリの挙動も自動で洗ったものに対して評価を行うという形になった([わがや流AIコース]で実現。前述のシーン別、衣類別の選択提案は引き続き搭載されている)。このフローの追加は非常に大きい。ユーザーは開始時でなく終了後任意の時間に評価を入れればいいので、効率よく使える。前モデルでは見送っていた洗剤の自動投入機能も追加された。乾燥フィルターの形状も清掃しやすい形状を採用し、ユーザビリティを最優先に考えた製品に進化している。歴代モデルと比較すると、しっかりと洗濯できるにも関わらず、洗剤は長持ち、手入れも最小で汚れづらく、さらに洗濯時間は短いと文句なしの仕上がりだった。
きちんと使わないと恩恵が得られないドラム式洗濯乾燥機
手入れしながら使わないとどんどん性能が落ちていってしまうのが、ドラム式洗濯機のデメリットだった。特に乾燥機能は、フィルター清掃の手間が面倒なのに手抜きをするとどんどん乾かなくなっていく。手入れ不足で恩恵がしっかり得られていないユーザーは潜在的に多いのではないだろうか。なかには乾燥機能自体を使わないというユーザーもいるかもしれない。前述した通り、乾燥フィルターや糸くずフィルターを毎回清掃するのはひと手間だった。しかし、ほとんどが自動化されている本モデルからは、その余裕が出てくる。フィルターが掃除しやすくなったのも相まって、「毎回手入れをする→ずっと高効率で稼働してくれる」という好循環が生まれるようになった。
電気代も、乾燥まで含めて1回47円とそう高くはない。毎日洗濯?乾燥しても月間1500円弱だ。この程度の金額で外に干す手間が軽減できるのであれば、洗濯から乾燥まですべてを洗濯機に任せてしまう方がいいだろう。その分毎回、フィルター等の手入れをする方が圧倒的に効率もいいし、時間にも余裕が生まれる。ちなみに筆者宅では風アイロンで仕上がったシャツをLG Stylerに入れることでアイロンの手間すらゼロになっている。
今までのドラム式とは“別物” 洗濯が楽になったと実感
洗濯機はそう頻繁に買い換えるものではない。筆者が元々使っていたものは2018年製と新しかったので買い換えるのに躊躇したが、BD-NX120Eを使ってみて、古い考えだったと痛感させられた。とにかく洗濯が楽になるし、洗濯機自体のメンテもしやすい、時間を作り出してくれる、という感覚が体感として得られたのだ。参考として、実際に感じた点を列記しておく。・以前は衣類が少なくても長かった乾燥時間が最適化され、かなり短時間で仕上がる
・乾燥までかけてもドラム内のホコリが断然少ない
・洗剤を手動で入れないので誤って本体にこぼしたりして汚れない(この汚れ、意外と取れない)
・シワが以前より伸びる
・フィルターの掃除がしやすい。圧倒的にしやすい
・仕上がり時間を決められるので家事に合わせて洗濯ができるのが便利
・仕上がり後に予運転をしてくれるので少しほっておいてもふわふわのまま
・仕上がったことをアプリで通知してくれる機能は意外に重宝する。
以上、ざっと示したが率直に「今までのドラム式洗濯乾燥機とは別物」と感じた。今回紹介したBD-120Eの後継機として今月中旬に「BD-NX120F」が発売されたが、こちらはマイナーアップデートのようなので、残っていれば安くなっているBD-NX120Eを購入するのもいいだろう。余談だが洗濯機は例年9月ごろ新製品が発売されるので、安く買いたい方は6~7月ごろに量販店で交渉するのが良い。とはいえ、新型に革新的な機能が搭載される可能性もあるので、新モデル発表後、比較した上で旧モデルを探してみるのもありだ。(ROSETTA・木村ヒデノリ)
■Profile
木村ヒデノリ
ROSETTA株式会社CEO/Art Director、スマートホームbento(ベントー)ブランドディレクター、IoTエバンジェリスト。
普段からさまざまな最新機器やガジェットを買っては仕事や生活の効率化・自動化を模索する生粋のライフハッカー。2018年には築50年の団地をホームハックして家事をほとんど自動化した未来団地「bento」をリリースして大きな反響を呼ぶ。普段は勤務する妻のかわりに、自動化した家で1歳半の娘の育児と家事を担当するワーパパでもある。
【新きむら家】
https://www.youtube.com/rekimuras
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