アップルがディスプレイ一体型のオールインワン・デスクトップ機「iMac」の27インチモデルを刷新した。オフィスワークからクリエイティブ、エンタテインメントまであらゆる用途に上質を追求した最新モデルの満足度をレビューする。
プロセッサはインテルの第10世代Intel Core iシリーズ。最上位モデルは標準仕様を8コアのCore i7プロセッサとして、オプションに3.6GHz 10コア構成のCore i9プロセッサが選べる。Turbo Boost使用時で最大5.0GHzの処理をこなす。ライターである筆者の仕事の範疇といえばPhotoshopを使った静止画加工や、iMovieによる簡易な動画編集ぐらいのものだが、新しい27インチのiMacはこれらのタスクを当たり前のようにスムーズにこなしてくれる。
なお、メインメモリは8GBの2666MHz DDR4メモリ搭載を基本として、オプションは最大128GBまで搭載できる。最大256GBまでサポートするiMac Proに迫るキャパシティだ。なお27インチのiMacは本体背面に設ける4基のSO-DIMMスロットにユーザーがアクセスできる。
ストレージは高速アクセスと静音駆動に優位なフラッシュストレージのSSDに統一した。最上位モデルはオプションとして初めて8TBのSSDを用意する。21.5インチのiMac向けに用意するSSDとHDDによるハイブリッド仕様のFusion Driveストレージは選択できず、オプションもすべてSSDになった。
グラフィックスはGDDR6メモリを搭載するAMD Radeon Pro 5000シリーズ。最上位は16GBのオプションを提供する。27インチ・5Kのディスプレイと合わせて、動画編集やゲームソフトの開発、雑誌のエディトリアルデザインなどグラフィックスに関わるプロフェッショナルの仕事に最適なiMacだ。
27インチのiMacには三つのマイクによるアレイユニットが搭載されている。ファーフィールド音声キャプチャやビームフォーミングに対応する高性能マイクなので、話者の声にフォーカスしてクリアに会話の声が拾える。Hey Siriの反応もかなり良くなった。
アップルが設計するApple T2 Securityチップに組み込まれているSecure Enclaveコプロセッサにより、FaceTime通話の顔検出やHey Siriの快適なレスポンスを確保した。ディスプレイ部分の底面に設けたスリットから音を出力する内蔵スピーカーも、T2チップのイコライジング処理により低音のレスポンスを高めたことでサウンドの土台が安定して聞きやすくなった。
筆者も今回のテスト期間中にiMacをビデオ会議に使ってみたが、別途オーディオ機器をペアリングしなくてもiMac単体で音・映像ともに快適なコミュニケーションができた。在宅ワークの母艦PCとしてiMacを導入する価値も大いにありそうだ。
Nano-textureガラスは2019年に発売された32インチ・6Kのアップル純正フラグシップ・ディスプレイ「Pro Display XDR」に初めて採用された、ディスプレイの視認性を高めるための技術だ。見た目にはつや消しタイプのノングレア液晶ディスプレイのように見えるが、Nano-textureは標準的なフィルムによるマットコーティングとは異なるものだ。目に見えないナノメートル単位の彫り加工をガラスパネルに施すことにより、映像のシャープネスやコントラストのレベルを落とすことなく光の映り込みを減らすところに独自性がある。
画面に映像が表示されている状態はもちろん、電源をオフにして画面を暗転させて光の映り込みをチェックするとその実力がよくわかる。日光と照明光、どちらの光も特殊な処理を施したガラスが拡散させてディスプレイの視認性を落とさない。アプリケーションの背景設定をブラックにした状態で静止画・動画の編集作業を行う場合も、環境光が映り込まないのでストレスがない。27インチのiMacは本体が大きいので、置き場所にそれなりの工夫も必要なマシンだが、光の映り込みを気にせず設置できる自由度が増している。
カスタマイズ価格がプラス5万円とそれなりに高価だが、iMacを快適に長く使うため真っ先に購入を検討してもいいオプションだと思う。仕事からエンターテインメントコンテンツの鑑賞まで、あらゆる用途に絶大な効果を発揮してくれる。
なおNano-textureガラスのオプションを追加すると、iMacの商品パッケージに専用のポリッシングクロスが同梱される。Nano-textureガラスには微細な加工が施されているので、画面にホコリや汚れが付着した場合はこの付属クロスで拭き取ることが推奨されている。ほかの布やティッシュペーパーで拭いてしまうと彫り加工の箇所に細かいホコリが付着したり、画面を傷つけてしまうことも有り得るからだ。専用のポリッシングクロスが古くなったり紛失した場合はAppleのサポートから交換品が注文できる。
オプションとして10Gbps対応のイーサーネットポートも選択できるので、職場や自宅に高速光回線を引いている場合、iMacを有線LANケーブルでインターネットに接続すれば、オンライン経由でファイルをスムーズにやり取りしたり、ビデオ会議の安定感もさらに高まる。在宅ワークのメインマシンにも打って付けだ。
アップルは今年の6月に開催した世界開発者会議「WWDC 20」で自社製のAppleシリコンを次世代のMacへ徐々に投入することを発表した。将来に発売されるiMacシリーズの次世代機にも当然Appleシリコンの採用が広がるものと思われるが、第10世代のIntel Core iシリーズをベースに最高の性能を追求した新しい27インチのiMacは、現時点で文句の付けようがないほどハイ・パフォーマンスなマシンに仕上がっている。本機に興味を引かれている方は、まさしく今が買いどきを迎えている最新iMacの購入を真剣に吟味しても良いだろう。(フリーライター・山本敦)
充実の基本性能 オプションを盛ればiMac Proにも匹敵
新しい27インチのRetina 5Kディスプレイを搭載するiMacはベーシックモデルの価格が税別19万4800円から。基本スペックを充実させながら、プロセッサやメインメモリ、ストレージなど豊富に揃うオプションを追加するとシリーズのフラグシップ「iMac Pro」に匹敵するほどの高性能マシンにカスタマイゼーションができる。プロセッサはインテルの第10世代Intel Core iシリーズ。最上位モデルは標準仕様を8コアのCore i7プロセッサとして、オプションに3.6GHz 10コア構成のCore i9プロセッサが選べる。Turbo Boost使用時で最大5.0GHzの処理をこなす。ライターである筆者の仕事の範疇といえばPhotoshopを使った静止画加工や、iMovieによる簡易な動画編集ぐらいのものだが、新しい27インチのiMacはこれらのタスクを当たり前のようにスムーズにこなしてくれる。
なお、メインメモリは8GBの2666MHz DDR4メモリ搭載を基本として、オプションは最大128GBまで搭載できる。最大256GBまでサポートするiMac Proに迫るキャパシティだ。なお27インチのiMacは本体背面に設ける4基のSO-DIMMスロットにユーザーがアクセスできる。
ストレージは高速アクセスと静音駆動に優位なフラッシュストレージのSSDに統一した。最上位モデルはオプションとして初めて8TBのSSDを用意する。21.5インチのiMac向けに用意するSSDとHDDによるハイブリッド仕様のFusion Driveストレージは選択できず、オプションもすべてSSDになった。
グラフィックスはGDDR6メモリを搭載するAMD Radeon Pro 5000シリーズ。最上位は16GBのオプションを提供する。27インチ・5Kのディスプレイと合わせて、動画編集やゲームソフトの開発、雑誌のエディトリアルデザインなどグラフィックスに関わるプロフェッショナルの仕事に最適なiMacだ。
FaceTime HDカメラが1080p対応、マイクも進化
フロント側に搭載するFaceTime HDカメラはiMac Proと同じ1080p対応になり、撮影画質が向上した。画角も広いので、2~3名がiMacの前に座って一緒にビデオ会議に参加したとしてもフレームインできる。ビデオ会議の相手にも実感してもらえるほど画質も鮮明だ。テレワーク活用を考えれば、現在720p画質のFaceTime HDカメラを搭載するノートタイプの16インチ・13.3インチMacBook Proも、今後ぜひ1080p対応にアップグレードしてほしい。27インチのiMacには三つのマイクによるアレイユニットが搭載されている。ファーフィールド音声キャプチャやビームフォーミングに対応する高性能マイクなので、話者の声にフォーカスしてクリアに会話の声が拾える。Hey Siriの反応もかなり良くなった。
アップルが設計するApple T2 Securityチップに組み込まれているSecure Enclaveコプロセッサにより、FaceTime通話の顔検出やHey Siriの快適なレスポンスを確保した。ディスプレイ部分の底面に設けたスリットから音を出力する内蔵スピーカーも、T2チップのイコライジング処理により低音のレスポンスを高めたことでサウンドの土台が安定して聞きやすくなった。
筆者も今回のテスト期間中にiMacをビデオ会議に使ってみたが、別途オーディオ機器をペアリングしなくてもiMac単体で音・映像ともに快適なコミュニケーションができた。在宅ワークの母艦PCとしてiMacを導入する価値も大いにありそうだ。
光の映り込みを抑える「Nano-textureガラス」が効果大
新しい27インチのiMacには、Retina 5Kディスプレイの優位性をいつ、いかなる場所でも最大限まで発揮できるようにガラスパネルの仕様を「Nano-textureガラス」に変更できるオプションが用意された。Nano-textureガラスは2019年に発売された32インチ・6Kのアップル純正フラグシップ・ディスプレイ「Pro Display XDR」に初めて採用された、ディスプレイの視認性を高めるための技術だ。見た目にはつや消しタイプのノングレア液晶ディスプレイのように見えるが、Nano-textureは標準的なフィルムによるマットコーティングとは異なるものだ。目に見えないナノメートル単位の彫り加工をガラスパネルに施すことにより、映像のシャープネスやコントラストのレベルを落とすことなく光の映り込みを減らすところに独自性がある。
画面に映像が表示されている状態はもちろん、電源をオフにして画面を暗転させて光の映り込みをチェックするとその実力がよくわかる。日光と照明光、どちらの光も特殊な処理を施したガラスが拡散させてディスプレイの視認性を落とさない。アプリケーションの背景設定をブラックにした状態で静止画・動画の編集作業を行う場合も、環境光が映り込まないのでストレスがない。27インチのiMacは本体が大きいので、置き場所にそれなりの工夫も必要なマシンだが、光の映り込みを気にせず設置できる自由度が増している。
カスタマイズ価格がプラス5万円とそれなりに高価だが、iMacを快適に長く使うため真っ先に購入を検討してもいいオプションだと思う。仕事からエンターテインメントコンテンツの鑑賞まで、あらゆる用途に絶大な効果を発揮してくれる。
なおNano-textureガラスのオプションを追加すると、iMacの商品パッケージに専用のポリッシングクロスが同梱される。Nano-textureガラスには微細な加工が施されているので、画面にホコリや汚れが付着した場合はこの付属クロスで拭き取ることが推奨されている。ほかの布やティッシュペーパーで拭いてしまうと彫り加工の箇所に細かいホコリが付着したり、画面を傷つけてしまうことも有り得るからだ。専用のポリッシングクロスが古くなったり紛失した場合はAppleのサポートから交換品が注文できる。
ハコから出してすぐに使える安心感、納得の高パフォーマンス
27インチのiMacを購入するとワイヤレス対応のMagic KeyboardとMagic Mouse 2がパッケージに同梱された状態で届く。それぞれに電源を入れるだけで速やかにワークスペースを構築できる手軽さもオールインワン・デスクトップ機ならではの魅力だ。背面に緩やかな曲線を付けてスリムに仕上げた上質なデザインは、オフィスや住まいのインテリアと自然に調和する。オプションとして10Gbps対応のイーサーネットポートも選択できるので、職場や自宅に高速光回線を引いている場合、iMacを有線LANケーブルでインターネットに接続すれば、オンライン経由でファイルをスムーズにやり取りしたり、ビデオ会議の安定感もさらに高まる。在宅ワークのメインマシンにも打って付けだ。
アップルは今年の6月に開催した世界開発者会議「WWDC 20」で自社製のAppleシリコンを次世代のMacへ徐々に投入することを発表した。将来に発売されるiMacシリーズの次世代機にも当然Appleシリコンの採用が広がるものと思われるが、第10世代のIntel Core iシリーズをベースに最高の性能を追求した新しい27インチのiMacは、現時点で文句の付けようがないほどハイ・パフォーマンスなマシンに仕上がっている。本機に興味を引かれている方は、まさしく今が買いどきを迎えている最新iMacの購入を真剣に吟味しても良いだろう。(フリーライター・山本敦)