糖質オフでもごはんがおいしい? アイリスオーヤマの「ヘルシーサポート炊飯器」

 アイリスオーヤマが8月7日に発売した「ヘルシーサポート炊飯器5.5合 RC-IJH50」は、普段から糖質の摂取を気にしているユーザー向けに、糖質を約20%減らしながらも、ごはんのおいしさを損なわないようにする「低糖質炊飯メニュー」を搭載する。価格はオープンで、税別の実勢価格は1万6800円前後という安さも衝撃的だが、「糖質を減らしても、ごはんがおいしい」などといううまい話が本当にあるのだろうか。実際に食べてみた。

「ヘルシーサポート炊飯器5.5合 RC-IJH50」

1年間で茶碗273杯分の糖質が減らせる仕組み

 通常の糖質カット機能を搭載する炊飯器は、ごはんに含まれる糖質を水に溶かしてカットする。文字通り、ごはんのうま味成分を排出する方法だ。

 これに対してヘルシーサポート炊飯器は、米に通常よりも水分を多く浸透させて炊くことで、同質量のごはん(例えば茶碗一杯によそったときのごはん)に含まれる糖質の量を、通常の白米の茶碗一杯よりも減らすことができるのだ。
 
右から通常炊き、10%カット、20%カットと並ぶが、見た目はあまり変わらない

 イメージとしては、ごはん100gに含まれる炭水化物(糖質)が37.3gに対して、水分が59.9gあったとすれば、低糖質炊飯メニューで炊いたときに、同じ100gでも炭水化物が約2割減の28g、水分が69.8gになるというわけだ。

 つまり、ユーザーは同じ茶碗一杯をよそっても、糖質が減り、水分を多く含んだごはんを食べていることになる。自らをだますようでありながら、普段と同じごはんの量を食べられるので満腹感も得られる。同社では、茶碗一杯(150g)を毎日3食、365日食べた場合、通常の炊飯で同量のごはんを食べた時よりも、1年間で茶碗273杯分の糖質が減らせると試算する。

 糖質が減る点は理解できたが、問題は味だ。水分を多く含んだごはんだと、単純におかゆをイメージしてしまう。やわらかすぎるごはんでは、食が進まないだろう。そこでアイリスオーヤマは、専用の炊飯工程のプログラムを開発。水分が多くても、おかゆのようにゆるくならずにごはんのおいしさや粒の食感が得られるようにしたのだ。

 残念ながら、炊飯工程の詳細についてはブラックボックスとのことだが、米に水分を含ませることから初期の浸水工程と炊き上げる際の温度変化や時間(温度上昇の角度)などに工夫があるものと思われる。

 なお、低糖質炊飯メニューはしっかり糖質をカットしたいユーザー向けの「20%カットモード」と、糖質カットとさらなるおいしさを求めるユーザー向けの「10%カットモード」が選べるようになっている。内釜に印字された水量目盛りを調節して「低糖質」のボタンを押すと、液晶パネルに「10%カット」「20%カット」の表示がされるので、選択して炊飯ボタンを押すだけだ。
 
内釜の水量目盛りを低糖質炊飯メニューの「20%」か「10%」に合わせる
 
低糖質ボタンを押して「20%」「10%」から選択して炊飯ボタンを押す

「10%カット」は思ったよりも噛み応えあり

 実際に試食してみると、通常の白米よりも10%カットモードで炊いたごはんは、粒の大きさがほどんと変わらないように感じた。噛み応えも思ったよりもしっかりしていて、通常炊きとあまり変わらなかったほどだった。ごはんの甘みも感じられたので、これで糖質を10%カットできるのならいいと感じた。

 20%カットモードのごはんは、さすがに通常の白米と比べると少しやわらかさを感じるが、それでも噛み応えは感じる。むしろ、安価なIHジャー炊飯器の「やわらかめ」で炊いたものより、べちゃつきがない。かためのごはんが好きな人なら、ちょっとやわらかく感じるだろうが、もともとやわらかめが好きなユーザーならそれほど違和感はないのではないだろうか。
 
右から通常の白米、10%カットモード、20%カットモードのごはん

 10%カットと20%カットの米粒の大きさを比較すると、20%カットのものに水分が多く含まれていることが分かる。この粒の大きさの違いが、茶碗によそったときの糖質カットにつながるのだ。
 
左が20%オフ、右が10%オフのごはん粒

 追記しておくと、ヘルシーサポート炊飯器は通常の白米も炊けるので、炊飯器を2台置かずに済んで省スペースなのもうれしい。さらに、低糖質のほかにも、もち麦、押し麦、雑穀米、胚芽米、玄米、おこわ、発芽玄米、植物繊維など全部で9種類のヘルシーメニューも同社初の試みとして搭載した。

 新型コロナウイルスによって、自炊する機会が増えている。そんな中、普段からごはんをしっかり食べても、実は20%も糖質が減っているというアイリスオーヤマのヘルシーサポート炊飯器は、無理せずに続けられる、まさに健康を支援してくれる商品といえるだろう。(BCN・細田 立圭志)