電子ペーパーの課題を巧みに克服! キングジムのデジタルノート「フリーノ」

レビュー

2020/08/12 18:00

ファイルはPDFでDropboxに保存も可能。カレンダーとしても使える

 作成した手書きのドキュメントは32GBの内蔵メモリーに最大約8万7000ページ分が保存できる。さらに外付けストレージとして最大32GBのmicroSDHCカード、最大2GBのmicroSDカードも記憶媒体に使える。
 
内蔵メモリーやmicroSD、Dropboxを経由してPDFファイルを読み込んでから書き込みができる

 だがやはり書いたメモは定期的にバックアップしておきたい。フリーノはUSBケーブルでPCにつないで内蔵メモリーにアクセスすると、PDF/PNG形式で保存したノートのファイルにアクセスしてバックアップが取れる。対応するOSはWindows 10、macOS 10.15(Catalina)以降だ。
 
Wi-Fi経由でDropboxに保存、ファイルの読み出しも可能。

 ファイルのバックアップ先にはmicroSDカードも指定できる。あるいはWi-Fi機能を使ってDropboxのクラウドストレージにもアクセスできる。アカウントからアクセスすると、フリーノで作ったファイルがDropboxの中の「アプリ」フォルダに保存される。ただ、最も手間がかからないのはやはりmicroSDカードへのバックアップだろう。

 デジタルペーパーはバックライトを持っていないため、暗い場所で使おうとすると画面が見えづらい。そこでフリーノは明るさや色味調整ができるフロントライトを搭載している。この機能がとても良いと思う。暗いイベント会場や展示会でフリーノを使ってメモを取るときに大変便利だからだ。
 
電子ペーパー自体にバックライトは搭載できないため、フレームの側面にフロントライトを設けた。
明るさの色温度も変えられる。

 フリーノは新規にメモを書き起こすだけでなく、内蔵メモリーにPC経由、またはDropboxやmicroSDカード経由でTXT形式、PDF形式のファイルが読み込める。PDF形式のファイルについては読み込んでからメモを書き足せるので、企画書や提案書に校正メモを書き足したり、署名を入れたりする用途にも使えそうだ。

 カレンダー機能もよく考えられている。電子ペーパーに手書きでスケジュールが書き込めると言っても、ただテンプレートの余白を工夫するだけでは限界がある。フリーノの場合は予定のある日付を選択すると入力画面に切り替わり、1日分の情報をたっぷりと書き込める。

 カレンダー表示の画面には日次のヘッドラインだけが並ぶので効率が良い。もちろん紙のスケジュール帳の方が使いやすいところもあるが、デジタルノートのカレンダーとして、フリーノはその特徴を十分に活かしきったインターフェースを練り上げた。
 
月次のカレンダーから、日にちごとにさらに多くの情報が書き込める。

デジタルペーパーの課題を上手にクリア。シリーズ化にも期待

 フリーノは他社が先行発売した電子ペーパーのトレンドをキャッチアップした上で、弱点や課題として残るポイントもうまくつぶした完成度の高いデジタルノートだ。あとは現在のサイズ感ではやはり大きな文字を書き殴ってしまうとすぐに改ページが必要になるため、「メモ」としての使用感を超えてこない手応えがあった。より本格的にノートとして使うのであれば、やはり最低でもA5判以上のサイズ展開がほしい。その上で価格を手頃な範囲に押さえ込めたら勝機は十分にありそうだ。ぜひシリーズ展開にもチャレンジしてほしい。(フリーライター・山本敦)

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