レンズ交換型カメラが楽しいのは、何といってもレンズが選べる、ということだ。レンズを変えると、写真はガラッと変わる。選択肢は、500mm、1000mmクラスの超望遠から、20mm、10mmといった超広角まで幅広い。選んだレンズで印象的な写真を撮ろうと頑張るのも写真の楽しみの一つだ。あまたある交換レンズの中でも、ある意味で究極の交換レンズは「飛び道具」ともいえる「魚眼レンズ」だ。そこで、円周魚眼縛りで夏の丸の内を撮り歩いた。
特に、激しい画像のゆがみをものともせず、180度以上の画角をカバーして円形の写真に収める「円周(全周)魚眼」で撮った写真は、一度見たら忘れられないインパクトがある。何といっても丸い写真が撮れるのは、円周魚眼ならでは。その強烈な画像ゆえに、撮るのはなかなか難しいが、その分、面白い写真が撮れる。
魚が水中から陸を見ると、ものが丸くゆがんで見えるといい、その状態で撮れることから魚眼レンズという名前がついた。もともとは、気象観測用で空を一枚の写真に収めるために開発されたレンズだ。独特のゆがみは「樽型収差」というもの。普通のレンズは、これを補正するのだが、補正しないため、激しくゆがんだ写真になるわけだ。
フィルムカメラ時代の円周魚眼といえば、カメラが隠れるほど巨大で超高額。素人は手を出せない特殊なレンズ、という印象が強かった。最近は、中国のメーカーから安価なレンズが出ていたりして、気軽に楽しめるようになってきた。マイクロフォーサーズのようにセンサーサイズが小ぶりの規格では円周魚眼の選択肢はほとんどないが、今回は中国のMEIKEというメーカーの「MK-3.5mm f/2.8」という円周魚眼レンズを購入して撮影した。
ピントも絞りも完全マニュアルなので、税別でおよそ1万7000円と安価だが、魚眼レンズならではの丸い写真が撮れる。画角は220度で、レンズより後にあるものまで映り込んでしまう。カメラを構えた手が映り込んだり、正面を撮っても出っ張った腹まで写ってしまったりするので注意が必要だ。
画質は価格相応。周辺に色にじみが出たり、ピント位置によっては画像の円がやや欠けたりすることも多いが、楽しみで撮ってみるには十分だろう。メインの被写体に極端に寄ると、距離感がより強調されて、独特の写真になるので、おすすめ。頭上を含め取り囲まれるような空間では、全体を収めることができて面白い。
魚眼レンズには、実はもう1種類ある。「対角(線)魚眼レンズ」だ。180度以上の画角をカバーするのは同じだが、写真が通常の四角いフォーマットに収まるよう設計されている。画像が激しくゆがむのは円周魚眼と同じだが、やや普通に近い写真が撮れる。試しに、同じ場所で、円周魚眼、対角魚眼、普通の広角ズームレンズで撮り比べた。それぞれ、全く違う写真になっている。
比較のために普通の広角ズームレンズ、パナソニックの「LUMIX G VARIO 7-14mm / F4.0 ASPH.」の焦点距離7mmで撮影した場所を、MEIKEの円周魚眼レンズと、韓国メーカーSAMYANGの対角魚眼レンズ「7.5mm F3.5 FISH-EYE」でも撮影した。魚眼レンズのゆがみがいかに強烈か、分かっていただけるだろう。
円周魚眼と対角魚眼を比較すると、形状にも大きな違いがある。円周魚眼は焦点距離が極端に短いこともあり、かなりレンズが飛び出している。このため、キャップもレンズを覆う形状だ。飛び出したレンズ故、普段使いでも傷がつきやすいので注意が必要。今回撮影したレンズはほぼ1cmまで寄ることができるが、うっかりするとレンズの先端が被写体に触れてしまうこともある。その点も注意が必要だ。
魚眼レンズで撮れる写真はインパクトが強すぎて、購入しても頻繁に使う機会はなかなかないかもしれない。しかし、新型コロナの影響でなかなか遠出することもままならない昨今、見慣れた風景も全く違って見える魚眼レンズはオススメ。ぜひ一度試してみてほしい。(BCN・道越一郎)
特に、激しい画像のゆがみをものともせず、180度以上の画角をカバーして円形の写真に収める「円周(全周)魚眼」で撮った写真は、一度見たら忘れられないインパクトがある。何といっても丸い写真が撮れるのは、円周魚眼ならでは。その強烈な画像ゆえに、撮るのはなかなか難しいが、その分、面白い写真が撮れる。
魚が水中から陸を見ると、ものが丸くゆがんで見えるといい、その状態で撮れることから魚眼レンズという名前がついた。もともとは、気象観測用で空を一枚の写真に収めるために開発されたレンズだ。独特のゆがみは「樽型収差」というもの。普通のレンズは、これを補正するのだが、補正しないため、激しくゆがんだ写真になるわけだ。
フィルムカメラ時代の円周魚眼といえば、カメラが隠れるほど巨大で超高額。素人は手を出せない特殊なレンズ、という印象が強かった。最近は、中国のメーカーから安価なレンズが出ていたりして、気軽に楽しめるようになってきた。マイクロフォーサーズのようにセンサーサイズが小ぶりの規格では円周魚眼の選択肢はほとんどないが、今回は中国のMEIKEというメーカーの「MK-3.5mm f/2.8」という円周魚眼レンズを購入して撮影した。
ピントも絞りも完全マニュアルなので、税別でおよそ1万7000円と安価だが、魚眼レンズならではの丸い写真が撮れる。画角は220度で、レンズより後にあるものまで映り込んでしまう。カメラを構えた手が映り込んだり、正面を撮っても出っ張った腹まで写ってしまったりするので注意が必要だ。
画質は価格相応。周辺に色にじみが出たり、ピント位置によっては画像の円がやや欠けたりすることも多いが、楽しみで撮ってみるには十分だろう。メインの被写体に極端に寄ると、距離感がより強調されて、独特の写真になるので、おすすめ。頭上を含め取り囲まれるような空間では、全体を収めることができて面白い。
魚眼レンズには、実はもう1種類ある。「対角(線)魚眼レンズ」だ。180度以上の画角をカバーするのは同じだが、写真が通常の四角いフォーマットに収まるよう設計されている。画像が激しくゆがむのは円周魚眼と同じだが、やや普通に近い写真が撮れる。試しに、同じ場所で、円周魚眼、対角魚眼、普通の広角ズームレンズで撮り比べた。それぞれ、全く違う写真になっている。
比較のために普通の広角ズームレンズ、パナソニックの「LUMIX G VARIO 7-14mm / F4.0 ASPH.」の焦点距離7mmで撮影した場所を、MEIKEの円周魚眼レンズと、韓国メーカーSAMYANGの対角魚眼レンズ「7.5mm F3.5 FISH-EYE」でも撮影した。魚眼レンズのゆがみがいかに強烈か、分かっていただけるだろう。
円周魚眼と対角魚眼を比較すると、形状にも大きな違いがある。円周魚眼は焦点距離が極端に短いこともあり、かなりレンズが飛び出している。このため、キャップもレンズを覆う形状だ。飛び出したレンズ故、普段使いでも傷がつきやすいので注意が必要。今回撮影したレンズはほぼ1cmまで寄ることができるが、うっかりするとレンズの先端が被写体に触れてしまうこともある。その点も注意が必要だ。
魚眼レンズで撮れる写真はインパクトが強すぎて、購入しても頻繁に使う機会はなかなかないかもしれない。しかし、新型コロナの影響でなかなか遠出することもままならない昨今、見慣れた風景も全く違って見える魚眼レンズはオススメ。ぜひ一度試してみてほしい。(BCN・道越一郎)