処理性能の向上に手応えあり
新しいMacBook AirはCPUにインテルの第10世代Coreプロセッサを採用している。内蔵GPUはIris Plus Graphicsだ。店頭販売の標準モデルはデュアルコアだが、上位モデルからはMacBook Airとして初めてクアッドコアのCPUが搭載される。アップルの直販サイトから購入する場合などには、オプションとしてそれぞれに上位のCoreプロセッサとメインメモリ、最大2TBまでのSSDストレージを選んでカスタマイズもできる。今回は筆者がふだんAdobe Photoshopを使ってよく行うコンタクトシート(画像一覧のファイル)の作成処理が、新しいMacBook Airでどれぐらい速くできるようになるのか、筆者の2019年モデルと比べて試した。
今回借りることができたMacBook AirはCore i3の仕様は、デュアルコアCPU、メモリは8GBの3.733MHz/LPDDR4。筆者の愛機は第8世代Core i5のデュアルコアCPU、メモリは8GBの2.133MHz/LPDDR3。アプリケーションソフトにはAdobe Photoshop 2020を使った。デジタルカメラで撮影した30枚の写真データからコンタクトシートを生成するのに、筆者の2019年モデルは1分37秒を要したが、新しい2020年モデルは54秒という結果になった。
また、新しいMacBook Airは処理パフォーマンスを伸ばしつつ、“約1日使えるバッテリー”のスタミナ性能をキープしていることにも触れておきたい。30WのUSB-C電源アダプターと2mのUSB-C充電ケーブルが付属する。
エンタメ視聴の迫力がスケールアップしている
13.3インチのRetinaディスプレイは2019年モデルから変更されていない。ただ、内蔵グラフィックの性能等が向上したことにより、最大6K解像度の外部ディスプレイが1台までThunderbolt 3(USB-C)ポートに接続して本体ディスプレイと同時に使えるようになった。クリエイティブワークへの活用についてはMacBook Proシリーズの性能に軍配が上がるものの、新しいMacBook Airもクリエイターのサブ機として十分に活躍してくれそうだ。新しいMacBook Airはオーディオ体験が大きく向上していた。自宅やオフィスなどでMacBookの内蔵スピーカーで音楽ストリーミングをBGMとして聴きながら作業をしている方も多いと思うが、最新版のMacBook Airはスピーカー再生のステレオイメージをソフトウェア処理によって大幅にブラッシュアップしている。音の分離感と定位がとても鮮明で、音場の広がりに一段と豊かさが増した。
映像系のコンテンツを再生する場合も、新しいMacBook Airがドルビーの新たな立体音響技術であるDolby Atmosに対応したことに注目したい。Apple TV AppやNetflixで配信されているDolby Atmos対応の作品を再生すると、左右方向への広がりだけでなく、高さ方向からも包み込まれるような効果音の臨場感に思わず息をのんでしまった。エンターテインメントPCとしてもMacBook Airの魅力がまた一皮むけたようだ。
テレワークを強力にサポートする各機能
さらに本体に内蔵するマイクの数は3基と2019年のモデルと変わっていないが、指向性を高めるビームフォーミング技術に対応したことで、話者の声をより鮮明に聞き取りやすくピックアップする。ノートPCをテレワークのツールとして活用する機会の多いビジネスパーソンにとっても、新しいMacBook Airが頼もしいパートナーになってくれるはずだ。MacBook Airをテレワークに活用する際に便利な機能をもう一つ紹介しておきたい。最新モデルにも搭載されているmacOS Catalinaには、ユーザーのApple IDにひも付いて、それぞれiCloudにサインインしているiPhone、iPadなどのアップルデバイスと強力に連携できるHandoff機能がある。
MacとiPhoneを近くに置いて、各デバイスでBluetoothとWi-Fi、そしてHandoffの設定をオンにしておけば、ブラウザやメール、メモにメッセージなどのアプリケーションの作業内容がリアルタイムに共有できる。例えば移動中にiPhoneで書きかけにしていたメールの続きをオフィスに到着してからMacで仕上げたり、浮かんだアイデアをiPad miniとApple Pencilで箇条書きにして、後で落ち着いてからMacでプレゼンテーションのドキュメントを作成するといった具合に使えば仕事の効率アップが図れる。
可搬性にもすぐれる機能美を追求したデザインに最先端のキーボードとパワフルなプロセッサーを載せて、ストレージも倍に増えたMacBook Airは価格の面から見ても“初めてのMac”にも最適と言える選択肢だ。多くの人々のオフィスワーク、クリエイティブワークをサポートしてくれる1台になるだろう。(フリーライター・山本敦)