スマホレベルを完全に超越! 写真も動画も規格外のHUAWEI Mate 30 Proレビュー

レビュー

2019/09/27 18:30

最大の魅力は変幻自在の“動画性能” プロ機材並みの実力

 静止画以上にMate 30 Proの特性がよく表れるのが動画だ。発表会で示されたスペックで最も驚かされた部分でもある。4K/60fpsの動画撮影に対応、ISOは最大5万1200、最大7680fpsのスローモーション撮影、4K HDR+によるタイムラプス撮影など、これまでのスマホ動画の基準を大きく更新。特にシネカメラを採用した広角カメラのクオリティは、プロ機材と比較しても遜色ないレベルになっている。

 動画を撮るだけでも、クオリティの高さは一目瞭然だ。先ほども紹介したマリエン広場の時計台を作例にあげる。ここでは特定の時刻に時計盤下のからくり人形が動く仕掛けがあるので、それを10倍ズーム(動画撮影の最大値)で撮影してみた。動画は静止画以上に手ぶれにシビアだ。手持ち&10倍だったので、正直見ているだけで酔いそうになるぶれぶれの映像を覚悟していた。
 
マリエン広場にある時計台のからくり時計を撮影(1倍)。
写真には豆粒大の大きさで、時計の下に人形のステージがある

 しかし、動画を確認するとわずかな揺れはあるものの、ぶれは撮影していたときの予想をはるかに下回った。解像度も高く、からくり人形の細部までしっかりと認識できる。これは二つのレンズに搭載された光学式手ぶれ補正の恩恵だ。倍率が最大でも十分に使える動画を撮影できることが確認できた。
 
10倍で撮影した動画のキャプチャ。それぞれの人形の動きが細かく確認できる。
搭載する光学式手ぶれ補正で手ぶれを大幅に軽減

 続いて試したのは、最大7680fpsという完全にスマホレベルを超えたスローモーション。ミュンヘン市街にあるカールス門の噴水で作例を撮影した。フォーカスしたのは噴水の水の吹き出し口だ。通常のスローであればただ水がゆっくりと吹き出しているように見えるだけだが、7680fpsまでいくと、広がっていくときの水滴同士のぶつかりまでつぶさに捉えた。
 
ミュンヘン市街にあるカールス門の噴水
 
最大値の7680fpsでスローモーション撮影すると、
水滴同士がぶつかりある様までつぶさに観察できた

 長時間撮影した映像を早送りする「タイムラプス撮影」のスペックも極めて高い。4K HDR+に対応し、星空や夜景の推移など暗所でも満足のいく映像を記録できる。タイムラプスの被写体は何気ないものでも構わない。歩道橋の上から数分間、道路を走る自動車を撮影してみたが、それだけでも十分に楽しめた。コマがぬるぬると滑らかに動くので、何気なくてもアーティスティックにみえるのだ。
 
歩道橋の上から道路を撮影した動画もアーティスティックに

個人的なイチオシ! ポジション自在のセルフィ―シャッター

 最後に紹介しておきたいのが、ちょっとした(でも画期的な)ギミックだ。セルフィ―限定で使えるのだが、シャッターの位置を指でスライドして任意の位置に設定することができる。本来のシャッターである音量ボタンがなくなったことによる代替案かと思いきや、使ってみるとすさまじく実用的。記者は手が小さく縦長のスマホだと片手で端末を持ちながらシャッターを切るのが難しい。しかし、Mate 30 Proはシャッター位置を下げることで、従来のスマホで撮影することができなかった体勢でもセルフィ―することができた。
 
個人的に一番響いた新ギミック。
シャッターの位置が自由自在なので、セルフィ―の幅も広がる

 ハイスペックは活用シーンがなかったり利用が難しかったり、持ち腐れになることも多々あるが、Mate 30 Proのさまざまな撮影モードは設定がシンプルで誰でも苦労せずに試すことができる。記者は普段から動画を頻繁に撮影するほうではないが、Mate 30 Proはテクニックも不要で、さまざまな被写体に思わずカメラを向けてしまった。現時点では日本での販売の予定は発表されていないが、昨今高まりつつある動画投稿のニーズから注目を浴びることは間違いない。(BCN・大蔵 大輔)

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