音質はトップクラス! 場所に応じてベストサウンドを生成
スピーカーとしての音質は「スマートスピーカー」と呼ばれるジャンルの製品の中でもトップクラスの出来映えであると感じた。HomePodは室内の置いた場所に合わせて音の鳴り方を自動的に最適化してくれる「空間認識」や、再生中の楽曲に合わせて低音のバランスを自動調節する「スタジオレベルダイナミックプロセッシング」という、それぞれの機能によってスピーカーが賢くベストなリスニングコンディションを保ってくれる。従来のオーディオ機器のように、ユーザーが操作メニューを開いて自分で音場設定を行う手間を意識する必要がなく、アップル独自の「A8」チップや高性能マイクアレイ、低音EQマイク、加速度センサーなど最先端のプロセッサーとセンシングデバイスを内蔵する「自分で考えられるスピーカー」のサウンドは、本機を置いた部屋のどの場所に立っても均一に心地よいリスニング感が得られることが最大の特徴だ。
中高域はクリアでヌケが良く、女性ボーカルやクラシックピアノは音の輪郭が鮮明で余韻の抜け味がとても爽やかだ。メロディに力強さもある。中低域との分離が鮮明で、音場感がとても立体的なところもライバルであるグーグルやアマゾンの純正スマートスピーカーの音とひと味ちがう。
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そして最大の強みが弾力感あふれるしなやかな低音再生だ。コンパクトな筐体から想像も付かないほど、厚みと強いインパクトのある低音が出せる。その分、スピーカーの置き場所は硬くしっかりとした素材のオーディオラックや家具の上などを確保した方が音楽再生的にも本領が発揮されると思う。
余裕があればオーディオ用として販売されているスピーカースタンドや調音ボードなどのアクセサリーを導入するとさらに引き締まった「いい音」が楽しめると思う。
なお、2台のHomePodを揃えると、左右チャンネルの分離さらに鮮明で立体的な音場感が楽しめるステレオ再生ができるようになる。別々の部屋に置いた2台のスピーカーに同じ音源を飛ばしてマルチルームリスニングに使ったり、それぞれに異なる音源を再生することも可能だ。初期設定を済ませた後は、これらのスピーカーの各種機能の操作はiOS標準の「ホーム」アプリで行えるようになる。
Apple機器との連携に最適化 一部、注意点も
アップルの「HomeKit」に対応するスマート家電の操作性については、筆者宅にフィリップスのスマート照明「Hue」があったので簡単に試してみた。スマート家電機器との接続設定なども「ホーム」アプリで行う。HomeKitに対応するスマートデバイスはまだ少なめと言われているが、例えばLGエレクトロニクスとソニーが2019年モデルとして発売するスマートテレビについてはソフトウェアのアップデートによりHomeKitに対応する。音声操作で電源やチャンネルの切り替え操作などができるようになりそうだ。各家電メーカーの対応も徐々に進んでいくことが期待できると思う。MacBookとiTunesの組み合わせはAirPlay経由でHomePodに接続できる。iTunesでApple Music以外にもCDから取り込んだり、iTunesストアで購入した楽曲を一元管理しているという方も多いと思うが、HomePodを使っていい音で楽しめるので安心して欲しい。
Apple Music以外の音楽系アプリサービスについては、AirPlayに対応していればSpotifyやAmazon Music、TuneInラジオにYouTubeの音声などがiOSデバイスからワイヤレスでHomePodに飛ばして聴ける。Siriによる音声操作は今のところ非対応だが、今後パートナーシップが拡大していくことをぜひ期待したい。
AndroidスマホやBluetoothオーディオ機能を搭載するオーディオプレーヤー機器は基本的にHomePodとのBluetooth接続ができないので注意したい。プレーヤー機器をケーブルで有線接続するための外部音声入力端子もHomePodには設けられていない。
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HomePodはそのデザインや音へのこだわりが既存のスマートスピーカーの中でも図抜けていると感じた。特にその良質なサウンドはiPhoneをはじめとするiOSデバイスのユーザーに注目してもらいたい。これからオーディオメーカーのワイヤレススピーカーを購入することを考えていたという方にも、ぜひ選択肢の一つとして本機を比較検討してみてほしい。(フリーライター・山本敦)