PayPal経由のクレームでECサイトの態度激変、1時間後に即返金
中国のECサイトは玉石混淆のおもちゃ箱のような楽しさがある。おびただしい数の商品の中から、いかに安くてちゃんとした製品を選ぶかという目利き遊びも面白い。最近では、日本向けの送料が無料のECサイトも珍しくなく、激安価格でそのまま買い物ができるのもうれしい。しかしトラブルに遭遇する確率は、日本の通販サイトに比べれば格段に高い。「なかなか届かない」「偽物を掴まされた」「不良品を送ってきた」などなど。そんなとき、トラブル解決の強い味方がネット決済サービスのPayPalだ。サービスの説明は後ほどするとして、まずはトラブルに巻き込まれるとどれだけ面倒か、一例をご紹介したい。
中国のあるECサイトで格安ノートPCを購入したときのこと。キーボードの不良に見舞われた。「I」と「L」のキーだけ戻りが遅く連続して入力できない。なんだかニチャニチャしてまともに打てなかったのだ。ノートPCだからキーボード不良なら、良品と交換するしかない。そこで、購入したECサイトのサポートセンター宛に症状を伝え交換を要求した。戦いはそこから始まった。最終的に商品の交換が完了するまで1カ月半、のらりくらりと交わされながらも交渉のためのメッセージ交換は実に21往復にも及んだ。今にして思えば意外に速く決着したとも言えるが、当時は「この交渉地獄はいつ終わるんだ」という思いで毎日を過ごしていた。
まずサポートは、不良の状況をビデオ撮影して送れ、と言ってきた。まあ理解できる要求だ。しかし、その後提示してきた条件は理解不能なものだった。当該のECサイト内でしか使えないポイント少しを出すので今の商品で我慢してくれ、だの、送料負担の上中国まで返送してくれれば支払金額相当分のポイントで返金するだの。現金での返金や良品との交換の提案はしてこなかった。この時点で、当該のノートPCの価格は購入した当時に比べ若干上がっていた。仮に支払金額相当分のポイントすべてがまともに使えたとしても、再購入すると追加の支払いが発生することになってしまう。明らかな不良品の交換に、余計な費用が発生するのは受け入れがたかった。当該製品がとても欲しかったから注文した、ということもあり、良品交換を強硬に主張し続けることにした。ただ、現金での返金提案があれば、他のサイトで購入する選択肢も生まれたため、すんなり受け入れていたかもしれない。
結局、返送してくれればより良い条件を提示するとの曖昧な約束のもと、良品交換への希望をつなぎつつ返送してみることにした。全く使えないから手許にあっても捨てるしかない商品だ。もちろん、国際郵便の返送料はこちら負担。癪だが、これは授業料と割り切ることにした。ほどなく商品が先方に届き、不良状況が現物で確認された。しかし、その後も依然としてポイントによる返金しか提示してこない。良品交換にも応じようとしなかった。そこで、同一商品を当該サイトで継続的に普通に販売していることを示し、売るぐらいなら交換しろと迫った。すると、渋々交換に応じることになった。ところが、なかなか送ってこない。聞けば「在庫がない」という。売っているわけだから在庫がないわけがない。どうしてこっちには回せないのかと問い詰めても、「在庫がない」の一点張り。売っている商品のうち1台をこっちに回せと言っても、それなら、やっぱりポイントの返金ではどうかと振り出しに戻る始末。よっぽと良品交換は都合が悪いらしい。
すったもんだの末、ようやく良品を確保し送ることになった。それでも、1週間待て5日待てと言われ、やっぱりなかなか発送しない。その状態でイライラしつつ待つことしばし。サポートからの発送連絡も何もないまま、突然良品が送られてきた。あんまりうるさく食い下がるので、あきらめて送ってきたようだ。驚いたことにメッセージをやりとりしていた相手方の担当者も発送の情報は知らなかった。結果的になんとか良品交換にこぎつけたものの、21往復ものメッセージのやりとりで精神的にかなり消耗してしまった。ここで犯した最大のミスは、クレジットカードで決済してしまったこと。日本の通販サイトならまず問題ないが、海外のサポートが怪しい通販サイトでの決済は、PayPal経由が絶対にオススメだ。
後日、同じサイトで、別のノートPCを購入した。今度はPayPal経由の決済だ。なかなか発送しないのでしびれを切らして問い合わせを入れると、今度は、決済した後にもかかわらず商品の在庫がないから発送できないという。別の商品に変更してくれないかと言ってきた。またあのメールのやりとりをしなければならないのかとげんなりしながら、返金を要求。またポイントの返金とか言い出すと交渉がやっかいなので、念のために、PayPalの「問題解決センター」にも報告して、ここでも返金の要求を出しておいた。すると、その1時間後にPayPal経由で返金が確認された。それまではのらりくらりとしてきたECサイトだけに、想定外の素早い反応。返品・交換対応と在庫切れの対応ではそもそも条件はかなり異なるものの、PayPalにはどれだけの力あるのかと、とても驚いた。後日PayPalの担当者に直接聞いたところ、取引量が多いので、取引停止などされると困るため、PayPal経由のクレーム処理要求は素早く対応されるのではないか、ということだった。
PayPalは、今流行のナントカPayとかなり異なる。インターネット上での決済サービスの老舗で、2000年代初頭、米ネット通販大手であるeBayの子会社だった時期もある。決済はPayPalが仲介するので、ECサイト側にクレジットカード情報や口座番号を渡す必要がなく、安全に決済できるサービスとして定評がある。以前は日本語サービスがなかったが、07年から本格的に日本語対応を始め、使い勝手が向上した。最近では、クレジットカードが無くても銀行口座の登録で利用できるようになった。クレジットカードを持ちたくないという人でも、銀行号座があれば利用できる。特に海外通販サイトで商品を購入するなら、PayPalはとても強い味方になってくるはずだ。(BCN・道越一郎)
中国のあるECサイトで格安ノートPCを購入したときのこと。キーボードの不良に見舞われた。「I」と「L」のキーだけ戻りが遅く連続して入力できない。なんだかニチャニチャしてまともに打てなかったのだ。ノートPCだからキーボード不良なら、良品と交換するしかない。そこで、購入したECサイトのサポートセンター宛に症状を伝え交換を要求した。戦いはそこから始まった。最終的に商品の交換が完了するまで1カ月半、のらりくらりと交わされながらも交渉のためのメッセージ交換は実に21往復にも及んだ。今にして思えば意外に速く決着したとも言えるが、当時は「この交渉地獄はいつ終わるんだ」という思いで毎日を過ごしていた。
まずサポートは、不良の状況をビデオ撮影して送れ、と言ってきた。まあ理解できる要求だ。しかし、その後提示してきた条件は理解不能なものだった。当該のECサイト内でしか使えないポイント少しを出すので今の商品で我慢してくれ、だの、送料負担の上中国まで返送してくれれば支払金額相当分のポイントで返金するだの。現金での返金や良品との交換の提案はしてこなかった。この時点で、当該のノートPCの価格は購入した当時に比べ若干上がっていた。仮に支払金額相当分のポイントすべてがまともに使えたとしても、再購入すると追加の支払いが発生することになってしまう。明らかな不良品の交換に、余計な費用が発生するのは受け入れがたかった。当該製品がとても欲しかったから注文した、ということもあり、良品交換を強硬に主張し続けることにした。ただ、現金での返金提案があれば、他のサイトで購入する選択肢も生まれたため、すんなり受け入れていたかもしれない。
結局、返送してくれればより良い条件を提示するとの曖昧な約束のもと、良品交換への希望をつなぎつつ返送してみることにした。全く使えないから手許にあっても捨てるしかない商品だ。もちろん、国際郵便の返送料はこちら負担。癪だが、これは授業料と割り切ることにした。ほどなく商品が先方に届き、不良状況が現物で確認された。しかし、その後も依然としてポイントによる返金しか提示してこない。良品交換にも応じようとしなかった。そこで、同一商品を当該サイトで継続的に普通に販売していることを示し、売るぐらいなら交換しろと迫った。すると、渋々交換に応じることになった。ところが、なかなか送ってこない。聞けば「在庫がない」という。売っているわけだから在庫がないわけがない。どうしてこっちには回せないのかと問い詰めても、「在庫がない」の一点張り。売っている商品のうち1台をこっちに回せと言っても、それなら、やっぱりポイントの返金ではどうかと振り出しに戻る始末。よっぽと良品交換は都合が悪いらしい。
すったもんだの末、ようやく良品を確保し送ることになった。それでも、1週間待て5日待てと言われ、やっぱりなかなか発送しない。その状態でイライラしつつ待つことしばし。サポートからの発送連絡も何もないまま、突然良品が送られてきた。あんまりうるさく食い下がるので、あきらめて送ってきたようだ。驚いたことにメッセージをやりとりしていた相手方の担当者も発送の情報は知らなかった。結果的になんとか良品交換にこぎつけたものの、21往復ものメッセージのやりとりで精神的にかなり消耗してしまった。ここで犯した最大のミスは、クレジットカードで決済してしまったこと。日本の通販サイトならまず問題ないが、海外のサポートが怪しい通販サイトでの決済は、PayPal経由が絶対にオススメだ。
後日、同じサイトで、別のノートPCを購入した。今度はPayPal経由の決済だ。なかなか発送しないのでしびれを切らして問い合わせを入れると、今度は、決済した後にもかかわらず商品の在庫がないから発送できないという。別の商品に変更してくれないかと言ってきた。またあのメールのやりとりをしなければならないのかとげんなりしながら、返金を要求。またポイントの返金とか言い出すと交渉がやっかいなので、念のために、PayPalの「問題解決センター」にも報告して、ここでも返金の要求を出しておいた。すると、その1時間後にPayPal経由で返金が確認された。それまではのらりくらりとしてきたECサイトだけに、想定外の素早い反応。返品・交換対応と在庫切れの対応ではそもそも条件はかなり異なるものの、PayPalにはどれだけの力あるのかと、とても驚いた。後日PayPalの担当者に直接聞いたところ、取引量が多いので、取引停止などされると困るため、PayPal経由のクレーム処理要求は素早く対応されるのではないか、ということだった。
PayPalは、今流行のナントカPayとかなり異なる。インターネット上での決済サービスの老舗で、2000年代初頭、米ネット通販大手であるeBayの子会社だった時期もある。決済はPayPalが仲介するので、ECサイト側にクレジットカード情報や口座番号を渡す必要がなく、安全に決済できるサービスとして定評がある。以前は日本語サービスがなかったが、07年から本格的に日本語対応を始め、使い勝手が向上した。最近では、クレジットカードが無くても銀行口座の登録で利用できるようになった。クレジットカードを持ちたくないという人でも、銀行号座があれば利用できる。特に海外通販サイトで商品を購入するなら、PayPalはとても強い味方になってくるはずだ。(BCN・道越一郎)