MacBook Airがシリーズ誕生から10年の節目を迎えて待望のリニューアルを遂げた。MacBook Airのユーザーである筆者が最新機種の実力を検証した。
まずはMacBook Airを象徴する独特な“くさび形”のデザインが踏襲されたことを歓迎したい。バッグからスムーズに出し入れできる実用性の高いデザインだ。本体の質量は約100g軽くなった。厚みも10%ほど薄型化している。当面は13.3インチの前機種が併売されるようなので、ストアで手にとって比べてみるといいだろう。
カラーバリエーションがシルバー1色から、スペースグレイとゴールドも加わって華やかになった。10月末にAppleが米国で開催した記者発表会では、本体のマテリアルにAppleが開発した100%再生アルミ合金が使われていることが強調されていた。その質感も気になってはいたが、仕上げの美しさや強度にまったく差は感じられなかったので安心した。バックライトの透過光によって光るAppleロゴではなくなったものの、落ち着いた輝きを放つステンレス製のロゴも悪くない。かえって全体に統一感が生まれたようにも思う。
CPUにはインテルの第8世代 Core i5シリーズ 1.6GHzデュアルコアプロセッサを採用。オプションの選択肢は設けていない。メインメモリは8GBが標準。16GBにアップグレードできる。ストレージも標準の128GBから、256GB/512GB/1.5TBまで揃う。税別の価格はオプションの選択によって13万4800円から28万8800円まで幅広い。もっと安価なMacBook Airを求めるのであれば、税別販売価格が10万円を切る旧来のモデルを今のうちに購入しておいた方が良いかもしれない。
2560×1600ピクセル(400万画素)の解像度を持つディスプレイはIPS方式の液晶パネルを使っているので視野角も広い。だから画面を横からのぞき込んでも色や明暗のコントラストが褪せない。sRGBのカラースペースをフルカバーしているので自然な色合いが再現できる。ディスプレイがキレイになったことだけでも、新しいMacBook Airを選ぶ価値はあると感じた。
キーボードは以前にレポートした2018年の新しい「MacBook Pro」(https://www.bcnretail.com/news/detail/20180721_78413.html)と同世代のバタフライキーボードになった。打鍵感はしなやかで心地よい。タイピング音を静かに抑えられるので、筆圧ならぬタイピング圧が強めな筆者も周囲に迷惑をかけないで済みそうだ。少し暗い場所に移動すると環境光センサーが明るさを検知して自動的にLEDバックライトを点灯させる。ひとつずつのキーにバックライトが内蔵されているので、光がぼんやりと滲まないのが特徴だ。
トラックパッドも同様に前のMacBook Airから大きく変わった。面積は20%広がってゆったりと操作できる。MacBook Proも搭載する感圧式トラックパッドなので、例えばファイルのアイコンにカーソルを当ててグッと力を込めて押し込むと、ファイルの内容がファインダー上でプレビューできて便利だ。
なお最新のmacOSを搭載しているので、watchOS 3以降のApple Watchを身に着けていれば、Macに近づくだけで自動的にアンロック/ログインできる便利な機能にも対応する。システム環境設定から「セキュリティとプライバシー」を開いて、Apple WatchによるMacのロック解除にチェックを入れるだけでセットアップ完了だ。
外部機器とのインターフェースはThunderbolt 3対応のUSB Type-C端子を左側に2基搭載する。最大スループットが40Gbpsにも到達するので、例えば4Kディスプレイを2台同時に、5Kディスプレイは1台まで外付けできる。MacBookをクラムシェルモードに切り替えて動画編集やグラフィックデザイン、3D CADの作業にも活用できるだろう。
世間にはまだUSB-Aコネクタで接続する外部機器が多くあるので、Macを買い換えたらUSB Type-C端子だけでやっていけるのか気がかりかもしれないが、Apple純正品も含めた変換アダプターはもうかなり出そろってきた。
iPhoneと直結して充電やデータ転送ができる「USB-C-Lightningケーブル」や、SDカードに保存したデジタルカメラの写真を取り込むときに役立つ「USB-C-SDカードリーダー」もある。新しいiPad Proのデジタル接続はUSB Type-C端子に変更されたが、iPad Proに同梱されているUSB Type-Cケーブルを使って接続すれば、iTunesを使ったバックアップやデータの同期・充電もできた。
新しいMacBook Airの内蔵バッテリーは約12時間のワイヤレスインターネット閲覧に対応していることが公式にうたわれている。筆者も実機を外出先に持ち出して、原稿を書いたり写真の編集や動画再生に使い倒してみたが、バッテリーのスタミナは余裕たっぷりだった。CPUが強化されて駆動に必要な電力消費も上がっていることを考えれば、前機種と同レベルの駆動時間を実現した点は見事と言える。
内蔵スピーカーも強化されている。キーボードの両側面にスピーカーの開口部が配置されたので、Netflixのコンテンツを再生してみると明らかにダイアローグが聞こえやすくなっている。スピーカーは音量ベースで25%アップしていて、特に低音の強化が図られた。ステレオ再生のセパレーションが向上しているので、効果音に包まれる立体感も鮮明になった。
内蔵マイクは2基から3基に増えている。FaceTimeのビデオ通話などは相手に音声をよりクリアに伝えられるだろう。海外出張の時には家族とよくMacでビデオ通話もするのでありがたい。Apple T2セキュリティチップが搭載されたことによって、MacBook Airとしては初めてHey Siriをサポートした。音声コマンドに対する反応は驚くほどに鋭く正確だ。
新しいMacBook Airは見違える進化を遂げていた。カスタマイズの自由度においてはMacBook Proの総合力に譲る部分もあるが、いまMacBook Airにとってベストな先進機能を選別しながら惜し気もなく詰め込み、誰が使ってもすぐに便利さを実感できるPCとして最良の形にまとめ上げている。筆者のようにシンプルなテキストライティングと写真の編集、時々エンターテインメントに活用するぐらいのライトなユーザーから、本格的なクリエイティブワークにMacを使うプロフェッショナルのサブ機としても最高の相棒になってくれそうだ。(フリーライター・山本敦)
光るAppleロゴがなくなった
現在筆者が使っている機種は2016年に生産が完了した11.6インチのMacBook Air/Early 2015だ。今回も11.6インチの新機種が発表されなかったことは残念だが、出来映えによってはこの機に13.3インチにサイズアップするのもありかもしれない。まずはMacBook Airを象徴する独特な“くさび形”のデザインが踏襲されたことを歓迎したい。バッグからスムーズに出し入れできる実用性の高いデザインだ。本体の質量は約100g軽くなった。厚みも10%ほど薄型化している。当面は13.3インチの前機種が併売されるようなので、ストアで手にとって比べてみるといいだろう。
カラーバリエーションがシルバー1色から、スペースグレイとゴールドも加わって華やかになった。10月末にAppleが米国で開催した記者発表会では、本体のマテリアルにAppleが開発した100%再生アルミ合金が使われていることが強調されていた。その質感も気になってはいたが、仕上げの美しさや強度にまったく差は感じられなかったので安心した。バックライトの透過光によって光るAppleロゴではなくなったものの、落ち着いた輝きを放つステンレス製のロゴも悪くない。かえって全体に統一感が生まれたようにも思う。
CPUにはインテルの第8世代 Core i5シリーズ 1.6GHzデュアルコアプロセッサを採用。オプションの選択肢は設けていない。メインメモリは8GBが標準。16GBにアップグレードできる。ストレージも標準の128GBから、256GB/512GB/1.5TBまで揃う。税別の価格はオプションの選択によって13万4800円から28万8800円まで幅広い。もっと安価なMacBook Airを求めるのであれば、税別販売価格が10万円を切る旧来のモデルを今のうちに購入しておいた方が良いかもしれない。
待望のRetinaディスプレイで没入感を体験
多くのMacBook Airユーザーが長年待ちわびていたRetinaディスプレイが遂に搭載された。筆者が所有するモデルは11.6インチなのであくまで参考程度の比較だが、写真や動画を表示した時の精彩感は別格。文字もエッジがシャープに感じられて読みやすい。画面周囲のベゼルもシルバーからブラックに変更されたので、Netflixの映画コンテンツを表示してみたら高い没入感が得られて満足した。2560×1600ピクセル(400万画素)の解像度を持つディスプレイはIPS方式の液晶パネルを使っているので視野角も広い。だから画面を横からのぞき込んでも色や明暗のコントラストが褪せない。sRGBのカラースペースをフルカバーしているので自然な色合いが再現できる。ディスプレイがキレイになったことだけでも、新しいMacBook Airを選ぶ価値はあると感じた。
キーボードは以前にレポートした2018年の新しい「MacBook Pro」(https://www.bcnretail.com/news/detail/20180721_78413.html)と同世代のバタフライキーボードになった。打鍵感はしなやかで心地よい。タイピング音を静かに抑えられるので、筆圧ならぬタイピング圧が強めな筆者も周囲に迷惑をかけないで済みそうだ。少し暗い場所に移動すると環境光センサーが明るさを検知して自動的にLEDバックライトを点灯させる。ひとつずつのキーにバックライトが内蔵されているので、光がぼんやりと滲まないのが特徴だ。
トラックパッドも同様に前のMacBook Airから大きく変わった。面積は20%広がってゆったりと操作できる。MacBook Proも搭載する感圧式トラックパッドなので、例えばファイルのアイコンにカーソルを当ててグッと力を込めて押し込むと、ファイルの内容がファインダー上でプレビューできて便利だ。
新搭載のTouch IDも便利
11月7日に発売されたiPad Proは、Touch ID搭載のホームボタンがなくなり、Face IDによる顔認証に対応したことが話題を呼んだ。MacBook Airには新しくTouch IDボタンが付いた。キーボードの右上端に搭載するTouch IDは電源ボタンを兼ねていて、指紋を登録しておくとスリープ状態からのアンロック、iTunes StoreやApp Store、Webサイトでのショッピング時の決済が素速くできる。なお最新のmacOSを搭載しているので、watchOS 3以降のApple Watchを身に着けていれば、Macに近づくだけで自動的にアンロック/ログインできる便利な機能にも対応する。システム環境設定から「セキュリティとプライバシー」を開いて、Apple WatchによるMacのロック解除にチェックを入れるだけでセットアップ完了だ。
外部機器とのインターフェースはThunderbolt 3対応のUSB Type-C端子を左側に2基搭載する。最大スループットが40Gbpsにも到達するので、例えば4Kディスプレイを2台同時に、5Kディスプレイは1台まで外付けできる。MacBookをクラムシェルモードに切り替えて動画編集やグラフィックデザイン、3D CADの作業にも活用できるだろう。
世間にはまだUSB-Aコネクタで接続する外部機器が多くあるので、Macを買い換えたらUSB Type-C端子だけでやっていけるのか気がかりかもしれないが、Apple純正品も含めた変換アダプターはもうかなり出そろってきた。
iPhoneと直結して充電やデータ転送ができる「USB-C-Lightningケーブル」や、SDカードに保存したデジタルカメラの写真を取り込むときに役立つ「USB-C-SDカードリーダー」もある。新しいiPad Proのデジタル接続はUSB Type-C端子に変更されたが、iPad Proに同梱されているUSB Type-Cケーブルを使って接続すれば、iTunesを使ったバックアップやデータの同期・充電もできた。
新しいMacBook Airの内蔵バッテリーは約12時間のワイヤレスインターネット閲覧に対応していることが公式にうたわれている。筆者も実機を外出先に持ち出して、原稿を書いたり写真の編集や動画再生に使い倒してみたが、バッテリーのスタミナは余裕たっぷりだった。CPUが強化されて駆動に必要な電力消費も上がっていることを考えれば、前機種と同レベルの駆動時間を実現した点は見事と言える。
内蔵スピーカーも強化されている。キーボードの両側面にスピーカーの開口部が配置されたので、Netflixのコンテンツを再生してみると明らかにダイアローグが聞こえやすくなっている。スピーカーは音量ベースで25%アップしていて、特に低音の強化が図られた。ステレオ再生のセパレーションが向上しているので、効果音に包まれる立体感も鮮明になった。
内蔵マイクは2基から3基に増えている。FaceTimeのビデオ通話などは相手に音声をよりクリアに伝えられるだろう。海外出張の時には家族とよくMacでビデオ通話もするのでありがたい。Apple T2セキュリティチップが搭載されたことによって、MacBook Airとしては初めてHey Siriをサポートした。音声コマンドに対する反応は驚くほどに鋭く正確だ。
新しいMacBook Airは見違える進化を遂げていた。カスタマイズの自由度においてはMacBook Proの総合力に譲る部分もあるが、いまMacBook Airにとってベストな先進機能を選別しながら惜し気もなく詰め込み、誰が使ってもすぐに便利さを実感できるPCとして最良の形にまとめ上げている。筆者のようにシンプルなテキストライティングと写真の編集、時々エンターテインメントに活用するぐらいのライトなユーザーから、本格的なクリエイティブワークにMacを使うプロフェッショナルのサブ機としても最高の相棒になってくれそうだ。(フリーライター・山本敦)