今回はiPhoneやAndroidスマホと一緒に使えるボーズの“スマート耳栓”「Bose Noise-Masking sleepbuds」(以下:Bose sleepbuds)を紹介しよう。本機は基本的に睡眠をサポートするためのデバイスだが、“眠るため”はもちろんのこと、そのほかにも便利な使い方が見つかった。
「スマートデバイス」といえば、約5年前あたりは健康増進・維持を目的としたリストバンドタイプのウェアラブルデバイスが人気だった。その後にAIやクラウドサービスにつながるデバイスが台頭してきて、テレビやスピーカー、白物家電のスマート化が進んだ。
ところがこれらの製品のスマートな活用方法が今ひとつはっきりとせず、進化が足踏みしているように感じられてきた昨今、入れ替わるようにしてまた欧米を中心にユーザーの健康的な生活を支援するパーソナルなスマートデバイスが脚光を浴びるようになってきた。例えばBose sleepbudsのような睡眠改善を目的としたデバイスは海外の大手ブランドからスタートアップまで、さまざまなブランドが開発に取り組んでいる。
Bose sleepbudsはそんな流れの中でボーズが新たに取り組むスマートデバイスだ。一見すると音楽を聴くためのイヤホンのようにも見えるが、実は入眠を妨げる隣家の騒音、パートナーの“いびき”などが聞こえにくくなる特殊な音を再生することに特化したデバイスなのだ。
ボーズが誇るアクティブ・ノイズキャンセリングヘッドホン「QCシリーズ」はあまりにも有名だが、Bose sleepbudsには内蔵するマイクで周囲の騒音をモニタリングして、逆位相の音をぶつけて打ち消すといった高度な技術は搭載されていない。
なぜならBose sleepbudsは入眠サポート用のデバイスであるため、本体を可能な限りコンパクトにして装着感を高めることを優先したからだ。専用のイヤーピース「StayHear+ Sleep tips」を取り外した本体のサイズは1円玉よりも小さい。片側の質量もわずか約1.4gだ。
入眠時に不快に感じる音を聞こえにくくするための仕組みは、商業・公共施設の手洗いで見かける擬音発生装置のものとよく似ている。本体には全10種類の特殊なノイズをマスキングして聞こえにくくするための音源がプリセットされている。
その内容は「さざ波」「小川のせせらぎ」や「木の葉のざわめき」などリラックスできそうなトラックのほか、なぜか「飛行機のエンジン音」や「タービン音」など本来は打ち消したいはずのノイズっぽい音も収録されている。特にこの環境ノイズはこのトラックを選ばないと効果がないというものでもないので、アプリからプレビューして好みで選べばいいと思う。
好みの音源を決めたらベッドに横たわる前に再生をスタートする。1つの音源がつなぎ目を意識させることなく何度もループ再生される。うまく眠りについた後は、音が鳴りっぱなしであることの方が気持ち的に落ち着かないということもあるだろう。ループ再生の長さはアプリから「スリープタイマー」を設定して、最短30分から最長6時間まで任意に選択できる。これとは別に、設定した時間にビープ音を鳴らして起こしてくれる便利な「アラーム」機能もある。
バッテリーはフル充電から約16時間の連続再生が可能だ。バッテリーがヒートアップしないよう、安全性も考慮して酸化銀電池を使っている。そのため専用ケースに入れてからフル充電にかかる時間が約8時間とやや長めだが、目覚めてからケースに戻して眠る時までチャージしておけば、いざ使うタイミングではいつも満充電というサイクルがキープできる。ケースのフル充電には約3時間かかる。
それよりも筆者は集合住宅に暮らしているが、夜中もけっこう静かな環境なので本機で打ち消さなければならないノイズが特にないことの方が困っている。そして夜はたいてい疲れ切っているので、本機を装着する前に寝落ちしていることも多くある。Bose sleepbudsは海外では富裕層が注目するデバイスなのだそうだが、彼らは日ごろからどんな過酷な騒音環境にさらされながら、不眠と闘っているのか知りたくなってくる。
それならば就寝時以外でもBose sleepbudsを活用できそうなシーンを開拓してみたところ、いくつか絶好の場面が見つかった。
例えば通勤電車の中でも、周囲の騒がしさを軽減しながら読書などに集中できる。もし運良く座ることができたら、うっかり眠ってしまった時の場合に備えて、降車駅に着く手前でアラームが鳴るようにセットしておけば安心だ。
筆者の場合は最近、カフェで原稿を書く時にBose sleepbudsを使う機会も増えている。文字を書く仕事なので、日本語の歌詞が入った音楽やラジオ番組は言葉を並べる作業の妨げになる。
本機であれば環境音を鳴らしっぱなしにしておけば適度に周囲の騒がしさが気にならないし、通常のイヤホンやヘッドホンのように長時間身につけて疲れることもなかった。作業時間を1時間、1時間半と決めてからアラームを設定しておくと集中力が高まるし、座りっぱなしも防げて健康にも気を配れる。
生まれたてのスマートデバイスであるBose sleepbudsは「こう使わなければならない」という約束事が設けられていない分、ユーザーが自分に合った便利な使い方を見つけられる伸び代があるデバイスと言えそうだ。(フリーライター・山本敦)
全10種類の心地よい「ノイズ」で入眠をいざなう
Bose sleepbudsは今年の夏にアメリカやカナダで先行発売され、日本には秋に上陸した新製品だ。それにしても、なぜ今、ボーズがスマート耳栓を開発したのだろうか。「スマートデバイス」といえば、約5年前あたりは健康増進・維持を目的としたリストバンドタイプのウェアラブルデバイスが人気だった。その後にAIやクラウドサービスにつながるデバイスが台頭してきて、テレビやスピーカー、白物家電のスマート化が進んだ。
ところがこれらの製品のスマートな活用方法が今ひとつはっきりとせず、進化が足踏みしているように感じられてきた昨今、入れ替わるようにしてまた欧米を中心にユーザーの健康的な生活を支援するパーソナルなスマートデバイスが脚光を浴びるようになってきた。例えばBose sleepbudsのような睡眠改善を目的としたデバイスは海外の大手ブランドからスタートアップまで、さまざまなブランドが開発に取り組んでいる。
Bose sleepbudsはそんな流れの中でボーズが新たに取り組むスマートデバイスだ。一見すると音楽を聴くためのイヤホンのようにも見えるが、実は入眠を妨げる隣家の騒音、パートナーの“いびき”などが聞こえにくくなる特殊な音を再生することに特化したデバイスなのだ。
ボーズが誇るアクティブ・ノイズキャンセリングヘッドホン「QCシリーズ」はあまりにも有名だが、Bose sleepbudsには内蔵するマイクで周囲の騒音をモニタリングして、逆位相の音をぶつけて打ち消すといった高度な技術は搭載されていない。
なぜならBose sleepbudsは入眠サポート用のデバイスであるため、本体を可能な限りコンパクトにして装着感を高めることを優先したからだ。専用のイヤーピース「StayHear+ Sleep tips」を取り外した本体のサイズは1円玉よりも小さい。片側の質量もわずか約1.4gだ。
入眠時に不快に感じる音を聞こえにくくするための仕組みは、商業・公共施設の手洗いで見かける擬音発生装置のものとよく似ている。本体には全10種類の特殊なノイズをマスキングして聞こえにくくするための音源がプリセットされている。
その内容は「さざ波」「小川のせせらぎ」や「木の葉のざわめき」などリラックスできそうなトラックのほか、なぜか「飛行機のエンジン音」や「タービン音」など本来は打ち消したいはずのノイズっぽい音も収録されている。特にこの環境ノイズはこのトラックを選ばないと効果がないというものでもないので、アプリからプレビューして好みで選べばいいと思う。
音量やアラーム、タイマーはアプリで設定
Bose sleepbudsはユーザーの入眠をサポートすることを最優先にしたデバイスなので、通常のイヤホンで当たり前に搭載している音楽再生の機能が潔く取り払われている。ならばスマホをわざわざペアリングして何のために使うのかと思うかもしれないが、専用のモバイルアプリ「Bose sleep」から入眠に適したプリセット音源を選択したり、音量やアラームなどいくつかのセッティングをアプリから行うようにしている。好みの音源を決めたらベッドに横たわる前に再生をスタートする。1つの音源がつなぎ目を意識させることなく何度もループ再生される。うまく眠りについた後は、音が鳴りっぱなしであることの方が気持ち的に落ち着かないということもあるだろう。ループ再生の長さはアプリから「スリープタイマー」を設定して、最短30分から最長6時間まで任意に選択できる。これとは別に、設定した時間にビープ音を鳴らして起こしてくれる便利な「アラーム」機能もある。
バッテリーはフル充電から約16時間の連続再生が可能だ。バッテリーがヒートアップしないよう、安全性も考慮して酸化銀電池を使っている。そのため専用ケースに入れてからフル充電にかかる時間が約8時間とやや長めだが、目覚めてからケースに戻して眠る時までチャージしておけば、いざ使うタイミングではいつも満充電というサイクルがキープできる。ケースのフル充電には約3時間かかる。
寝るとき以外の活用シーンを考えてみた
Bose sleepbudsは本当にサイズが小さくて、身につけたまま枕に耳を押し当ててもゴツゴツとした不快感がないし、朝、目が覚めたら耳から外れてしまったイヤホンが見当たらないということもほとんどないぐらい外れにくい。それよりも筆者は集合住宅に暮らしているが、夜中もけっこう静かな環境なので本機で打ち消さなければならないノイズが特にないことの方が困っている。そして夜はたいてい疲れ切っているので、本機を装着する前に寝落ちしていることも多くある。Bose sleepbudsは海外では富裕層が注目するデバイスなのだそうだが、彼らは日ごろからどんな過酷な騒音環境にさらされながら、不眠と闘っているのか知りたくなってくる。
それならば就寝時以外でもBose sleepbudsを活用できそうなシーンを開拓してみたところ、いくつか絶好の場面が見つかった。
例えば通勤電車の中でも、周囲の騒がしさを軽減しながら読書などに集中できる。もし運良く座ることができたら、うっかり眠ってしまった時の場合に備えて、降車駅に着く手前でアラームが鳴るようにセットしておけば安心だ。
筆者の場合は最近、カフェで原稿を書く時にBose sleepbudsを使う機会も増えている。文字を書く仕事なので、日本語の歌詞が入った音楽やラジオ番組は言葉を並べる作業の妨げになる。
本機であれば環境音を鳴らしっぱなしにしておけば適度に周囲の騒がしさが気にならないし、通常のイヤホンやヘッドホンのように長時間身につけて疲れることもなかった。作業時間を1時間、1時間半と決めてからアラームを設定しておくと集中力が高まるし、座りっぱなしも防げて健康にも気を配れる。
生まれたてのスマートデバイスであるBose sleepbudsは「こう使わなければならない」という約束事が設けられていない分、ユーザーが自分に合った便利な使い方を見つけられる伸び代があるデバイスと言えそうだ。(フリーライター・山本敦)