サウジの明日を担う学生が再生可能エネルギーなどについて日本の大学で研修

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2018/07/31 10:15

 サウジアラビア・リヤード市にあるミスク財団はこの夏、サウジアラビアで選抜された大学生や大学院生を初めて日本の大学に派遣し、自動車工学やソーラーカー、再生可能エネルギーなどの分野でインターンシップ研修を実施した。

 受け入れ先の大学は名古屋大学、東海大学、東京大学の3大学。愛知県の名古屋大学では、工学部・工学研究科に4名の学生が参加。自動車工学に関する最新技術を学んだ。

 神奈川県の東海大学・湘南キャンパスでは、28名の学生が参加。ソーラーカー・エンジニアリング理論の基本から応用までを学び、サウジアラビアの学生自身でのソーラーカー・レース参戦を目標とした。東京都の東京大学工学部・大学院工学系研究科には30名の学生が参加。脱石油依存経済を目指すサウジアラビアの次世代リーダーを担う人材の育成を目指す集中講義を受講した。
 
東海大学・湘南キャンパスでソーラーカーを前にサウジアラビアの研修生と開いた激励式

 今回のインターンシップを企画したのは、ミスク財団の子会社マンガプロダクションズ。同社のブカーリ・イサムCEOは「ミスク財団が推進するプログラムの目的の一つに、サウジの若者の創造力育成がある。今回、日本が得意分野とする自動車エンジニアリングや再生可能エネルギーに特化し、サウジの優秀な若者が日本で研修する機会を得た。これを機に、日本でインターンシップに参加した若者が、サウジで活躍することを願っている」と話す。

 受け入れ先のひとつ、東海大学の山田清志学長は「本学創立者の松前重義博士は『若者たちが宗教や思想を超えて、共に学ぶことが世界平和の第一歩である』と語っていた。その根底には、互いの文化の違いを尊重しながらも相互理解することが必要であるという信念がある。サウジアラビアと本学は、さまざまな交流を通じて好関係を築いてきた大変重要なパートナー。今回の研修プログラムでは、日本の文化や次世代エネルギー研究開発、本学の教育プログラムに触れることで、両国の交流や発展につながることを祈念する」と話した。

 ミスク財団は、サウジの若者の知識と創造力育成を目標に2011年、同国のムハンマド・ビン・サルマン皇太子が非営利組織として設立。特に工学や経営学、情報技術の各分野でサウジアラビアの優秀な学生を海外の有名大学に派遣するインターシップ留学プロジェクトを実施している。これまでハーバード大学やユネスコなどとパートナーシップを結び、活動した実績がある。(BCN・道越一郎)