翻訳機かスマホか、言葉のわからない海外で通訳代わりに使うならどっち?

【上海発】初めての海外渡航で、翻訳機「POCKETALK(ポケトーク)」とスマートフォン(スマホ)アプリ「Google翻訳」を使用してみた。場所は中国。なお、中国でも他国と変わらずにGoogleを使える“香港SIM”をスマホに挿入している。

翻訳機「POCKETALK (ポケトーク)」vs.「Google翻訳」

 はじめに使ってみたのはポケトークのWi-Fiモデル。ポケトーク本体下部の操作盤はタッチ操作式で、左右の矢印が1回タップで翻訳モード、2回で言語選択。上下は1回で音量調節。上を2回タップすると設定画面が出て、Wi-Fiなどが設定できる。
 
現在のポケトークの最新バージョンは63言語の音声・文字翻訳に対応

 まずは上海の地下鉄の入り口を尋ねようと、通行人に「Excuse me(すみません)!」と声をかけた。その後、「I can't speak Chinese and English. Bat I have a translator.(中国語と英語が話せません。でも、通訳機をもっています)」と伝えてからポケトークを見せた。すると、「OK(わかりました)!」と事情を理解してもらえた。

 ポケトークの使い方はいたってシンプル。自分の言語と相手の言語を左右それぞれで選んでトップ画面に設定し、話者側の国を選択して話すだけ。まずは日本語を選んで、「地下鉄の入り口はどこにありますか?」とポケトークに向かって話すと、中国語の文字と音声に翻訳してくれる。翻訳された音声を聞いた相手がすぐに返答しようとするので、「Please Wait(待ってください)」と話してからポケトークで中国語の設定されたボタンを押し、相手にマイク部分を向けた。相手が何やら中国語で話すと、ポケトークが「何号線ですか?」と音声と文字で話の内容を教えてくれた。その後は、いくつかやり取りして無事に地下鉄の入り口を見つけることができた。

 ポケトークの翻訳は、クラウドを介して行われることからWi-Fiモデルだと状況によって翻訳に時間がかかる。海外で使うW-Fiと同時に借りる際や空港で単体をレンタルする場合には、世界各国で使えるSIMカード入りのモデルも選べる。Wi-Fiの設定に手間取りそうなら、SIMモデルを選ぶのが得策だろう。

 また、地下鉄の改札や構内といったにぎやかな場所でポケトークを使おうとすると、他の音を拾ってしまい、話し声が取り込めないこともある。そういった際には、Google翻訳の出番だ。あくまで個人的な感想だが、にぎやかな場所ではスマホのマイクのほうが音声を取り込みやすく感じた。

 Google翻訳は、ネットワークに接続していなくても、あらかじめ指定の言語の翻訳データをダウンロードしておけば、オフラインでも使用できる。利便性と音声の取り込みやすさはすぐれているものの、肝心の翻訳機能と言語認識機能はポケトークに比べて正確さを欠いているようだ。

 実際に使ってみると、音声は取り込めても、正確に取り込めなかったり、少し違う意味の訳になったり。話し相手になってくれた中国人は、首をかしげながらGoogle翻訳に向かって何度か言葉を発していた。日本語も同じような状況だった。そこで、お互いにジェスチャーなどを交えつつ思いを汲み取りあうことで、なんとか意思疎通はできた。

 海外で使うならポケトークかGoogle翻訳か。結論は、「時と場合による」。翻訳機能や言語認識機能などソフト面ですぐれているのはポケトーク。音声の取り込みやすさやなどのハード面で強いのはGoogle翻訳だ。

 もちろん、かなり騒がしくなければ、ポケトークも音声を正確に拾うことができる点は留意したい。ほかにも、「スマホを他人にあまり近づけたくない」といった思いや、スマホの設定難易度などを考慮すると、ポケトークのほうが便利といえそうだ。もし、話せないのにもかかわらず、出張や旅行で海外に頻繁に行かなければならない場合は、個人で購入するのも、ありかもしれない。(BCN・南雲 亮平)