窓拭きロボットは普及するか、大本命「ウインドウメイト」が発売

 自動で床掃除をしてくれるロボット掃除機の認知は、市場の拡大とともにかなりの水準まで高まってきた。だが“窓拭きロボット”についてはまだまだこれから。数年前から家電量販店などで販売されているものの、一般にはほとんど知られていない。1月24日に日本総代理店セールス・オンデマンド(SODC)が発表した韓国RF社の「ウインドウメイト」は、黎明期にある同市場の起爆剤になるかもしれない。


満を持してコンシューマ市場に投入される窓拭きロボット「ウインドウメイト」
(左から製造元RF社の李順馥社長、日本総代理店セールス・オンデマンドの室﨑肇社長)

ルンバ販売の知見を生かす 新カテゴリ開拓に自信

 セールス・オンデマンド(SODC)はロボット掃除機「ルンバ」の日本上陸から販売代理店を担ってきたが、2017年4月に販売事業を製造元のアイロボット社に売却。新たな商材として選んだのが、まだ日本では馴染みのない窓拭きロボット「ウインドウメイト」だった。

 室﨑肇 社長は「『ルンバ』で培ったロボット掃除機を日本の家庭に普及してきた知見を生かし、ロボットによる窓拭きを習慣化したい」と、新カテゴリの開拓に自信をみせた。
 

「ロボット掃除機の普及で培った知見を窓拭きロボットでも生かしたい」と語る室﨑肇 社長

 すでにB2Bモデルは16年9月に販売を開始しており、ホテルや外食チェーン、ビル清掃会社などで実績をあげている。今回のコンシューマ向けモデルでは、磁力が自動調整できるようになったほか、専用洗剤以外に対応、クリーニングパッドの取り回しが楽になるなど、カスタマイズされている。

目指すのは「窓拭きの習慣化」 年間販売目標は3万台

 しかし、ロボット掃除機が普及してきたとはいえ、利用頻度の高い床の掃除と違い、窓掃除の自動化がどれほどの需要があるのかは未知数だ。製品を担当する執行役員の小野寺英幸 事業本部 本部長は、事前にリサーチした窓掃除に関する調査の結果を紹介した。
 

製品を担当する小野寺英幸 事業本部 本部長

 SODCの調査によると、一般家庭の約9割が「窓掃除をしている」と回答。頻度は半年に1回が過半数を超えたが、約25%が「月に1回以上」と回答した。この結果について小野寺本部長は「予想より高い結果が得られた」とコメントした。

 「窓掃除の不満」でトップとなった項目は「準備が面倒」だった。以下は「手の届かない窓がある」「時間がかかる」「冬は寒く、夏は暑い」「きれいにならない」が僅差で続く。人の手で行う窓掃除に対して、さまざまな不満を抱えていることがわかった。
 

SODCがリサーチした「窓拭き掃除の実態」

 こうした実態を踏まえて、SODCが掲げる年間販売目標は3万台。まずは、百貨店や家電量販店などリアル店舗を主要販売チャネルに据えて、新カテゴリへの理解を促進していく。
 

リアル店舗を中心に展開し、年間3万台の販売を目指す

 小野寺本部長は「いきなり窓拭きロボットを訴求するのではなく、窓→窓掃除→窓拭きロボットと段階を経て、消費者にメリットを伝えていく。最終的にはロボットによる窓拭きの習慣化を目指したい」と対顧客の戦略を説明。「ロボット掃除機に対する意識はルンバ上陸時とはだいぶ異なる。ロボットに掃除をまかせることに抵抗がない消費者は増えている」と期待を示した。

 ラスベガスのCESやベルリンのIFAなど、世界最大規模の展示会でも好意的に受け止められている「ウインドウメイト」だが、拠点を置く韓国ではまだ試験的に販売しているにすぎず、日本は実質的に本格展開の先駆けとなる。先行事例が少ないなかで、いかに市場を切り開き、ルンバの成功を再現できるかに注目したい。(BCN・大蔵 大輔)