夢の機械のひとつとして古くから待ち望まれていた自動翻訳機。2017年、「Travis(トラヴィス)」と「ili(イリー)」という2つの自動翻訳機が相次いでデビュー。夢の実現へ大きく近づいた。そこで、これら2台を購入し、使用してみた第一印象をまとめた。
ディスプレイのある「Travis」は、Android端末の翻訳専用版といった印象。
一方、「ili」はとてもシンプルでボタンは3つしかない
Travisは、一言で言えばGoogle翻訳に特化したAndroid端末。利用時はインターネット環境が必要だが、およそ80か国語に対応し、多くの言語で双方向の音声翻訳が可能という機能の高さが魅力だ。
Travisのコントロールパネル。上下左右で本体表面をタッチする操作と、
本体表面を押して機械的にクリックする操作を組み合わせて使用する。使い勝手はやや複雑
翻訳の精度は、Google翻訳に依存するが、なかなかの精度だと感じた。多少長めのフレーズでも簡単な日常会話ならしっかりカバーできる。発音も、日本語や英語、中国語といった利用頻度の高い言語については、きわめて自然で、聴き取りやすい。
Travisの裏面には電源スイッチとnano SIMスロットを装備。
マイクも2つ備え、ノイズが多い環境でも利用しやすい設計
nano SIMスロットも備えており、対応するデータ通信SIMを入れれば、すぐに利用できる。またWi-Fi環境でも利用できるため、モバイルWi-Fiルーター経由やスマートフォンのテザリングでも利用可能だ。インターフェイスは、タッチ操作と物理的なクリックを組み合わせる方式でやや複雑。リリース当初のバージョンではとても使い勝手が悪かったが、1月にファームウェアが3.0にバージョンアップされ、使い勝手は大幅に改善した。一応オフラインモードも備えるが、精度はきわめて悪く、現状は実用にならない。今後のバージョンアップに期待したい。
使い方は、ボタンを押して話すだけと、とても簡単。。誰にでもすぐに利用できそうだ。本体のボタンはわずか3つで、音量調節ボタンすらない。日本語から英語、中国語、韓国語への一方通行の翻訳のみに対応し、翻訳言語は、翻訳切り替えボタンを長押しすると、切り替わる。
側面上部には電源ボタン、下部には翻訳言語の切り替えボタンを装備。
前面の丸いボタンを押しながら話し、ボタンを離すと翻訳を始める
旅行の場面で遭遇するフレーズの翻訳を得意とするが、「ワンフレーズの旅行会話」から少しはずれた翻訳では精度が悪くなる。音声が出る3か国語の旅行フレーズ集を電子化し、音声で検索できるようにしたデバイス、という印象だ。音声も合成音声そのものでやや不自然。時々聴き取りづらい場面もあるが、実用上大きな問題ないだろう。
スピーカーがあるだけのiliの背面。音量調節はできない設計だが、考えてみれば、
ある一定の音量が出るのあれば、音量調節の必要はないかもしれない
購入時の税別の価格は、Travisが早期割引で99米ドル(送料別)、iliが先行予約販売で1万7800円。18年1月現在の価格は、Travisが179米ドル(2月発送予定、送料別、専用ポーチとオランダの慈善団体 Movement on the Ground財団への10ドルの寄付を含む)、iliは1万9800円で、2月上旬受付開始予定。(BCN・道越一郎)
ディスプレイのある「Travis」は、Android端末の翻訳専用版といった印象。
一方、「ili」はとてもシンプルでボタンは3つしかない
クラウドファンディングで人気、Google翻訳に特化した「Travis」
オランダのベンチャー企業、Travis the Translatorがリリースした自動翻訳機のTravisは、クラウドファンディングサイト「INDIEGOGO」で17年4月に出資の募集をスタート。9月に製品の出荷を開始した。現在までの間に目標額の784%にのぼる182万米ドルを超える出資を集め、一躍人気商品になった。Travisをベースにしたソースネクストの「POCKETALK」も、昨年秋の発表直後から注目を浴びている。Travisは、一言で言えばGoogle翻訳に特化したAndroid端末。利用時はインターネット環境が必要だが、およそ80か国語に対応し、多くの言語で双方向の音声翻訳が可能という機能の高さが魅力だ。
Travisのコントロールパネル。上下左右で本体表面をタッチする操作と、
本体表面を押して機械的にクリックする操作を組み合わせて使用する。使い勝手はやや複雑
翻訳の精度は、Google翻訳に依存するが、なかなかの精度だと感じた。多少長めのフレーズでも簡単な日常会話ならしっかりカバーできる。発音も、日本語や英語、中国語といった利用頻度の高い言語については、きわめて自然で、聴き取りやすい。
Travisの裏面には電源スイッチとnano SIMスロットを装備。
マイクも2つ備え、ノイズが多い環境でも利用しやすい設計
nano SIMスロットも備えており、対応するデータ通信SIMを入れれば、すぐに利用できる。またWi-Fi環境でも利用できるため、モバイルWi-Fiルーター経由やスマートフォンのテザリングでも利用可能だ。インターフェイスは、タッチ操作と物理的なクリックを組み合わせる方式でやや複雑。リリース当初のバージョンではとても使い勝手が悪かったが、1月にファームウェアが3.0にバージョンアップされ、使い勝手は大幅に改善した。一応オフラインモードも備えるが、精度はきわめて悪く、現状は実用にならない。今後のバージョンアップに期待したい。
シンプル操作、インターネット接続不要の「ili」
一方、日本のベンチャー、ログバーが発売したウェアラブル翻訳デバイス「ili」は、17年1月に製品発表を行い、まずは海外渡航者向けのレンタル提供としてスタート。12月から一般向けの販売を開始した。インターネット環境がなくても利用できる海外旅行に特化した翻訳機として、こちらも大きな注目を集めている。使い方は、ボタンを押して話すだけと、とても簡単。。誰にでもすぐに利用できそうだ。本体のボタンはわずか3つで、音量調節ボタンすらない。日本語から英語、中国語、韓国語への一方通行の翻訳のみに対応し、翻訳言語は、翻訳切り替えボタンを長押しすると、切り替わる。
側面上部には電源ボタン、下部には翻訳言語の切り替えボタンを装備。
前面の丸いボタンを押しながら話し、ボタンを離すと翻訳を始める
旅行の場面で遭遇するフレーズの翻訳を得意とするが、「ワンフレーズの旅行会話」から少しはずれた翻訳では精度が悪くなる。音声が出る3か国語の旅行フレーズ集を電子化し、音声で検索できるようにしたデバイス、という印象だ。音声も合成音声そのものでやや不自然。時々聴き取りづらい場面もあるが、実用上大きな問題ないだろう。
スピーカーがあるだけのiliの背面。音量調節はできない設計だが、考えてみれば、
ある一定の音量が出るのあれば、音量調節の必要はないかもしれない
これから有望の新ジャンル「自動翻訳機」
一通り使ってみた結果、Travisは、対応言語数が多く双方向で翻訳できるので、オールマイティーの翻訳機だと感じた。渡航先でもインターネット回線が確保でき、スマホの各種設定を自分できるような人が使うなら、こちらに軍配を上げたい。一方、iliは、渡航先でネット環境の確保が必要ない上、操作もとても簡単。対応する3か国語が使われているエリアに観光に行き、とにかく気軽に使いたいなら十分だろう。いずれの製品も環境が整えば、十分に実用に値する自動翻訳機といっていい水準に仕上がっている。購入時の税別の価格は、Travisが早期割引で99米ドル(送料別)、iliが先行予約販売で1万7800円。18年1月現在の価格は、Travisが179米ドル(2月発送予定、送料別、専用ポーチとオランダの慈善団体 Movement on the Ground財団への10ドルの寄付を含む)、iliは1万9800円で、2月上旬受付開始予定。(BCN・道越一郎)