Amazon Echoでのスマートホーム化には難題あり? 学習リモコン連携を試す

 eRemote miniとAlexaで利用できるスマートホームスキル「LinkJapan」は、今のところ照明のオン/オフのみに対応している。このため、テレビなど照明以外の家電を操作したい場合も、その機器を「照明」という扱いで登録する必要がある。例えばテレビのオン/オフを音声で操作したい場合、コントロールしたい家電タイプとして「照明」を選び、その照明に「テレビ」という名前を付けて、テレビリモコンの電源ボタン信号を学習させるという具合だ。

 このような機器登録を済ませた後、スマホ上でEchoの設定を行うAlexaアプリを開き、「LinkJapan」スキルを有効にした後、Echoに向かって「アレクサ、デバイスを探して」と話しかけると、スマートホームデバイスとしてようやく「テレビ」が登録される。
 

まずは、Alexaアプリ上でLinkJapanスキルを有効にし、アレクサに話しかけて、新しいスマートホームデバイスを検出。
「テレビ」という名前を付けたが、Alexaは「照明機器」として認識している

 あとは「アレクサ、テレビをつけて」「アレクサ、テレビを消して」の音声コマンドでテレビのオン/オフが可能になる。ただ、テレビのリモコンの電源ボタンは、電源をオンにするときもオフにするときも同じ信号が送信されるので、テレビの電源がオフのときに「テレビを消して」と言ってもオンになるし、その逆も同じだ。また、「音量を少し上げて」といった細かい操作はできない。

 これだけだとあまり音声操作を行う価値はないようにも思えるが、Alexaでは複数の家電をグループとして登録し、グループ名に名前を付けることができる。例えば、照明とエアコンとテレビの電源オフ信号を学習して、「リビング」という名前を付けておく。「アレクサ、リビングを消して」と言うだけですべての電源が消えるので、布団の中に入ってからしばらくテレビを見て、眠くなったらアレクサに電源オフを指示して寝るといった使い方が可能だ。
 

布団に入ってから声で電気や暖房を消す。物ぐさの極みだが、今のような寒い時期には意外とありがたい

 実は、ラトックシステムの学習リモコン「RS-WFIREX3」を利用すると、テレビの音量変更や暖房の設定温度の調整など、Alexaを経由してより細かい操作できる。価格や大きさは同等で、実勢価格は7000円前後。
 

より細かい調整が可能なラトックシステムのAlexa対応学習リモコン「RS-WFIREX3」

 しかし、この製品にも弱点がある。呼びかける際に「アレクサ、家電リモコンで、テレビの音量を4上げて」「アレクサ、家電リモコンで、暖房を24℃にして」といったように、「家電リモコンで」という一言を挟む必要がある。これは、Alexaのスマートホームスキルで現状対応できない機能をカバーするため、スマートホームスキルではなく「家電リモコン」というカスタムスキルによって操作を実現しているせいだ。直接家電の名前で指示するのではなく、家電リモコンというスキルをまず呼び出し、そのスキルに操作内容を伝えるという2ステップが必要になっている。

 今のところ、Alexa搭載スマートスピーカーで、音声で従来の家電を操作しようとすると、「Alexaの機能を使って限定された範囲で操作する」か、「独自機能を使って細かいコントロールを可能にする代わり、コマンド音声が煩雑になる」か、どちらかに甘んじる必要がある。「Alexa対応で家電の音声操作が可能!」という売り文句だけを見て学習リモコンに飛びつくと、人によっては大きく落胆をすることになりかねない。
 

対抗馬の「Google Home」にない「Amazon Echo」独自のハードウェア機能が音声出力端子。
音楽をヘッドフォンやより高音質のオーディオ機器で楽しめる

 ただ、学習リモコンは単体でも便利に使えるうえ、今後のスキルの開発次第では、よりユーザーフレンドリーな音声操作が行えるようになっていく可能性はある。過剰な期待は禁物だが、少し先の未来を見せてくれるアイテムとしては、Alexa搭載スマートスピーカーのスタンダードモデル「Amazon Echo」と学習リモコンの組み合わせは面白いものだといえるだろう。(BCN・日高 彰)

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