ファーウェイの強み、ダブルレンズカメラ技術の進化とその実力は?
「HUAWEI P9 lite」などがヒットし、SIMフリースマートフォンは、この1年で、すっかり市民権を得た。家電量販店の実売データを集計した「BCNランキング」によると、2016年に売れたスマートフォンの2割弱がSIMフリー。伸び率は、キャリアが販売するSIMロックモデルを大きく上回る。
2016年のSIMフリースマホ販売台数1位はファーウェイの「HUAWEI P9 lite」だった。「P9 lite」は6月の発売直後から人気を集め、ロングセラーに。ファーウェイが4か月連続でメーカー別シェアトップを獲得する原動力になった。12月には、直近1年間で最大の35.4%のシェアを獲得。年末商戦を制し、ますます勢いに弾みがついた印象だ。
ファーウェイの強みの一つは、他社に先駆けて採用し、撮影後にピントの位置を変更できるなど、撮る楽しみをますます高めた「ダブルレンズカメラ」をスマホに搭載したことにある。今回は、ダブルレンズカメラの仕組みやメリットなどを解説しながら、最新モデル「HUAWEI Mate 9」のカメラ機能の進化点を紹介しよう。
Leica第2世代のダブルレンズカメラを搭載した「HUAWEI Mate 9」
ダブルレンズカメラ搭載スマホの目印は、縦または横に並んだ二つのレンズと二つのフラッシュ
2015年6月に発売した初のダブルレンズ搭載スマホ「honor6 Plus」は、カメラ業界からみても、とてもユニークな製品。800万画素センサを二つ搭載した平行ダブルレンズ構成で、夜間の撮影にも強い広いダイナミックレンジを確保し、約0.1秒の高速フォーカスを実現した。
その1年後、2016年6月に発売した「HUAWEI P9」は、Leicaと共同開発したダブルレンズカメラを搭載し、より機能をブラッシュアップ。画質を左右するセンサをカラーとモノクロに分け、解像度を高めた。カラーフィルターがない分、より多くの光を取り込めるモノクロセンサを併用することで、卓越した低照明撮影性能を実現。「モノクロモード」の画質も向上し、白黒の濃淡が美しいモノクロ写真を撮影できるようになった。
グローバルブランド「honor」シリーズの最新機種「honor 8」にもダブルレンズカメラを取り入れた。Leicaブランドは冠していないものの、カメラ自体の性能は「P9」とほぼ同等。カラー、モノクロとも1200万画素のセンサを搭載し、シャープで鮮やかな描写力を発揮する。「P9」同様、カメラ部分は突起がなく、背面はフラット。「honor 8」は、光の角度によって表情を変える美しいデザインも好評だ。
2016年12月16日発売の最新モデル「Mate 9」は、Leicaと共同開発したダブルレンズを搭載し、カラー1200万画素、モノクロ2000万画素の二つのセンサを組み合わせ、より細かい描写で威力を発揮する。
「Mate 9」は5.9インチの大画面。カラーフィルターの効果の違いもわかりやすい
オートフォーカス(AF)は、レーザー・フォーカス、像面位相差フォーカス、デプス・フォーカス、コントラスト・フォーカスの「4-in-1 ハイブリッドオートフォーカス」に進化。また、深度計算プロセッサを搭載し、従来比で125%の性能アップと50%の消費電力ダウンを達成した。新たに光学式手ぶれ補正、4K動画の撮影にも対応し、ファーウェイは「第2世代ダブルレンズカメラ」と位置づけている。
カラーとモノクロの二つのセンサを組み合わせた独自の仕組み
ダブルレンズカメラのメリットは、高い描写力だけではない。撮影後にピントの位置を変え、背景をぼかすことができる「ワイドアパーチャ」機能こそ、最大の強みだ。二つのカメラの位相差を活用したもので、ワイドアパーチャをオンにして撮影すると、ボケの位置を自在に操ることができ、まるでプロが撮影したような「作品」に仕上げることも可能だ。
ワイドアパーチャをオンにして撮影すると、撮影後、アイコンを操作して、フォーカスの位置を変更することができる
(編集画面で、左は手前のバックに、右は奥のクリスマスツリーにフォーカスを当てた状態)
「honor6 Plus」の発売からわずか1年半の間に改良を重ね、「Mate 9」でさらに飛躍的に進化したダブルレンズカメラ。画質はもちろんのこと、カラーフィルターや、「HDR」「夜間撮影」「ビューティ」などのさまざまな撮影モード、「ギャラリー」からアクセスできる充実した編集機能、SNSへの投稿のしやすさなどを考えると、総合的な使いやすさは、デジタル一眼カメラ以上といえるだろう。
デジカメに匹敵する圧倒的な高画質と、デジカメ以上の使いやすさを両立。
クリスマスツリーの赤や緑はより鮮やかに、夕焼けの空の陰影を深く描写した
こだわりのモノクロモードや夜間撮影、カラーフィルター効果をオンにして撮影すると、
日常のワンシーンがアートになる。
夜景は、手ぶれで失敗することもあったが、成功したこの1枚は、スマホで撮影したとは思えないクオリティだ
スマホでは、電話よりカメラをよく使う、という人も多いはず。カメラ機能に対する期待度も高まっている。薄いボディに、高画質・高性能なカメラを実装するには、さまざまな工夫が必要だが、ダブルレンズは、その一つの答えといえる。Instagram、Twitter、FacebookなどのSNSで印象に残る、見栄えのいい写真を撮りたいというニーズにもマッチする、後からピントの位置を変えられる機能もさることながら、色鮮やかな写真を簡単に撮れるダブルレンズカメラは、2017年、ますます注目度が高まることは確実。カメラ機能の進歩もけん引しそうだ。
*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからパソコン本体、デジタル家電などの実売データを毎日収集・集計している実売データベースで、日本の店頭市場の約4割(パソコンの場合)をカバーしています。
【各モデルの実機レビュー】
・HUAWEI Mate 9
・honor 8
・HUAWEI P9
・honor6 Plus
2016年のSIMフリースマホ販売台数1位はファーウェイの「HUAWEI P9 lite」だった。「P9 lite」は6月の発売直後から人気を集め、ロングセラーに。ファーウェイが4か月連続でメーカー別シェアトップを獲得する原動力になった。12月には、直近1年間で最大の35.4%のシェアを獲得。年末商戦を制し、ますます勢いに弾みがついた印象だ。
ファーウェイの強みの一つは、他社に先駆けて採用し、撮影後にピントの位置を変更できるなど、撮る楽しみをますます高めた「ダブルレンズカメラ」をスマホに搭載したことにある。今回は、ダブルレンズカメラの仕組みやメリットなどを解説しながら、最新モデル「HUAWEI Mate 9」のカメラ機能の進化点を紹介しよう。
Leica第2世代のダブルレンズカメラを搭載した「HUAWEI Mate 9」
短期間で大きく進化したファーウェイのダブルレンズカメラ
ダブルレンズカメラは、デュアルカメラとも呼ばれ、その名の通り、カメラユニットを二つ搭載する。仕組みは異なるものの、Apple、LGもデュアルカメラを採用。今後、ハイエンドモデルを中心に、搭載機種が増えそうだ。ダブルレンズカメラ搭載スマホの目印は、縦または横に並んだ二つのレンズと二つのフラッシュ
2015年6月に発売した初のダブルレンズ搭載スマホ「honor6 Plus」は、カメラ業界からみても、とてもユニークな製品。800万画素センサを二つ搭載した平行ダブルレンズ構成で、夜間の撮影にも強い広いダイナミックレンジを確保し、約0.1秒の高速フォーカスを実現した。
その1年後、2016年6月に発売した「HUAWEI P9」は、Leicaと共同開発したダブルレンズカメラを搭載し、より機能をブラッシュアップ。画質を左右するセンサをカラーとモノクロに分け、解像度を高めた。カラーフィルターがない分、より多くの光を取り込めるモノクロセンサを併用することで、卓越した低照明撮影性能を実現。「モノクロモード」の画質も向上し、白黒の濃淡が美しいモノクロ写真を撮影できるようになった。
グローバルブランド「honor」シリーズの最新機種「honor 8」にもダブルレンズカメラを取り入れた。Leicaブランドは冠していないものの、カメラ自体の性能は「P9」とほぼ同等。カラー、モノクロとも1200万画素のセンサを搭載し、シャープで鮮やかな描写力を発揮する。「P9」同様、カメラ部分は突起がなく、背面はフラット。「honor 8」は、光の角度によって表情を変える美しいデザインも好評だ。
2016年12月16日発売の最新モデル「Mate 9」は、Leicaと共同開発したダブルレンズを搭載し、カラー1200万画素、モノクロ2000万画素の二つのセンサを組み合わせ、より細かい描写で威力を発揮する。
「Mate 9」は5.9インチの大画面。カラーフィルターの効果の違いもわかりやすい
オートフォーカス(AF)は、レーザー・フォーカス、像面位相差フォーカス、デプス・フォーカス、コントラスト・フォーカスの「4-in-1 ハイブリッドオートフォーカス」に進化。また、深度計算プロセッサを搭載し、従来比で125%の性能アップと50%の消費電力ダウンを達成した。新たに光学式手ぶれ補正、4K動画の撮影にも対応し、ファーウェイは「第2世代ダブルレンズカメラ」と位置づけている。
カラーとモノクロの二つのセンサを組み合わせた独自の仕組み
ダブルレンズカメラのメリットは、高い描写力だけではない。撮影後にピントの位置を変え、背景をぼかすことができる「ワイドアパーチャ」機能こそ、最大の強みだ。二つのカメラの位相差を活用したもので、ワイドアパーチャをオンにして撮影すると、ボケの位置を自在に操ることができ、まるでプロが撮影したような「作品」に仕上げることも可能だ。
ワイドアパーチャをオンにして撮影すると、撮影後、アイコンを操作して、フォーカスの位置を変更することができる
(編集画面で、左は手前のバックに、右は奥のクリスマスツリーにフォーカスを当てた状態)
「honor6 Plus」の発売からわずか1年半の間に改良を重ね、「Mate 9」でさらに飛躍的に進化したダブルレンズカメラ。画質はもちろんのこと、カラーフィルターや、「HDR」「夜間撮影」「ビューティ」などのさまざまな撮影モード、「ギャラリー」からアクセスできる充実した編集機能、SNSへの投稿のしやすさなどを考えると、総合的な使いやすさは、デジタル一眼カメラ以上といえるだろう。
デジカメに匹敵する圧倒的な高画質と、デジカメ以上の使いやすさを両立。
クリスマスツリーの赤や緑はより鮮やかに、夕焼けの空の陰影を深く描写した
こだわりのモノクロモードや夜間撮影、カラーフィルター効果をオンにして撮影すると、
日常のワンシーンがアートになる。
夜景は、手ぶれで失敗することもあったが、成功したこの1枚は、スマホで撮影したとは思えないクオリティだ
2017年はダブルレンズカメラがトレンドになる!
「Mate 9」は、最新CPU「Kirin960」や大容量バッテリを搭載するなど、ハイエンドを追求。いつまでも続く快適な操作性も特徴だ。5.9インチの大画面ディスプレイを搭載しながら、縁がほとんどないデザインのため、横幅は5インチ台と同等。側面の音量調整ボタンに加え、事前に設定しておけば、背面の指紋認証センサをタップしてシャッターを切ることができる。カラーは、シャンパンゴールドとムーンライトシルバーの2色。税別の実勢価格は6万800円。スマホでは、電話よりカメラをよく使う、という人も多いはず。カメラ機能に対する期待度も高まっている。薄いボディに、高画質・高性能なカメラを実装するには、さまざまな工夫が必要だが、ダブルレンズは、その一つの答えといえる。Instagram、Twitter、FacebookなどのSNSで印象に残る、見栄えのいい写真を撮りたいというニーズにもマッチする、後からピントの位置を変えられる機能もさることながら、色鮮やかな写真を簡単に撮れるダブルレンズカメラは、2017年、ますます注目度が高まることは確実。カメラ機能の進歩もけん引しそうだ。
*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからパソコン本体、デジタル家電などの実売データを毎日収集・集計している実売データベースで、日本の店頭市場の約4割(パソコンの場合)をカバーしています。
【各モデルの実機レビュー】
・HUAWEI Mate 9
・honor 8
・HUAWEI P9
・honor6 Plus