BCN AWARD受賞に王手、microSDを強化したトランセンドがメモリカード部門を制すか

特集

2016/12/16 18:00

 全国の主要家電量販店、パソコン販売店、ネットショップから収集した実売データ「BCNランキング」にもとづき、1年間の累計販売数量が最も多かった企業を部門ごとに表彰する「BCN AWARD」が年明けに発表される。今回はメモリカード部門で一波乱が起きそうだ。

 メモリカード部門といえば、SDカード、microSD、コンパクトフラッシュ、最新のXQDなど、多種のメモリカードが含まれるカテゴリだ。2014年の販売台数を元にした「BCN AWARD 2015」ではサンディスクが、2015年の販売台数を元にした「BCN AWARD 2016」ではアイ・オー・データ機器(IOデータ機器)が受賞した。

 2016年1月から11月まで合算したメーカー別販売数量シェアでは、トランセンドが19.8%で1位、IOデータ機器が17.3%で2位、サンディスクが14.9%で3位に。トランセンドが、昨年一昨年の王者を抑えて暫定でトップに躍り出た。
 
 

microSDを強化したトランセンド

 メモリカードといえば、以前はカメラ用のメディアが主流だったが、最近はスマートフォン(スマホ)やタブレット端末でも使えるmicroSDの人気が高まっている。直近の販売数量データで、タイプ別の構成比を見たところ、SDHCに次いで、microSDHC、microSDXCが高かった。トランセンドは市場の変化を見据え、microSDを強化している。

 トランセンドの販売しているカードの構成比をタイプ別にみると、SDHCは市場全体に比べ、構成比が低いのに対し、microSDHC、microSDXCの構成比が高かった。特に64GB以上のmicroSDXCでは、全体の構成比と比べ倍近かった。トランセンドがここまでmicroSDを強化する理由は、ただ単に時流に乗っているだけではない。
 

 デジタルカメラは頻繁にカードの抜き差しをする。PCにデータを吸い込ませる際だけではなく、メモリカードがいっぱいになったら別のカードをデジタルカメラに挿入するため、複数枚のカードを持っている人は少なくない。一方、スマホやタブレット端末は一度挿したら滅多に挿し変えることはない。保有枚数は、スマホ/タブレット端末1台に対して1枚のことが多く、そのため、メモリカードを慎重に選ぶ。

 選ぶポイントの一つは容量だ。スマホやタブレット端末用に購入する場合は、メモリ増量のために購入することが多いため、内蔵メモリと同量か、それ以上の容量のカードを選ぶ事が多い。直近のデータで、microSDの売れ筋容量を見たところ、32GBが最も多かった。一方、SDカードの売れ筋は8GB。つまり、microSDの方が大容量モデルを売りやすく、売上げに結びつきやすい。
 

三拍子揃ったトランセンドのmicroSD

 大容量のmicroSDを値頃感のある価格で提供しているのは、トランセンドの魅力の一つ。例えば32GBで見た場合、市場の税別平均単価が1960円なのに対し、トランセンドは1200円と手頃だ。さらに安かろう、悪かろうではないところにも注目したい。トランセンドは、データの高速転送ができるUHS-Iモデルもラインアップし、それが売れている。

 スマホやタブレット端末に挿入するmicroSDの使い方といえば、内蔵メモリがいっぱいになったときにmicroSDにデータを移動するというパターンや、あらかじめ設定し、カメラで撮影したデータを直接microSDに記録するというパターンもあるだろうが、どちらも転送速度は重要だ。転送速度が遅いと、データをまとめて転送する際、ストレスを感じるし、撮影の際もデータが書き込まれるまで時間がかかり、シャッターチャンスを逃してしまうこともある。

 つまり、トランセンドは大容量、手頃な価格、転送速度の三拍子が揃っているからこそ、支持を得ているというわけだ。BCN AWARD受賞に王手がかかったトランセンドは、さらに12月13日からAmazonで「Winter セール」を実施している。「microSDHCカード 16GB」だけではなく「UHS-I U3 SDXCカード 64GB」「UHS-I U3 SDXCカード 128GB」を特別価格で販売し、今年最後の攻勢をかけ、年間ナンバーワンを狙う。(BCN・山下彰子)

*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからパソコン本体、デジタル家電などの実売データを毎日収集・集計している実売データベースで、日本の店頭市場の約4割(パソコンの場合)をカバーしています。