売れ行き好調、高コスパSIMフリースマホ「ZenFone 3」、最大の特徴“DSDS”とは?
10月7日発売のASUSのSIMフリースマートフォン「ZenFone 3(ZE520KL)」が売れている。同じASUSから、10月28日には、5.7インチの「ZenFone 3 Deluxe(ZS570KL)」、5.5インチの「ZenFone 3 Deluxe(ZS550KL)」も発売になり、世界で高い評価を得ている「ZenFone 3」シリーズの国内販売モデルがすべて出揃った。
好調なスタートを切った「ZenFone 3(ZE520KL)」。
一部の店舗では在庫切れ・入荷待ちも発生しているという
総務省が「格安SIM」と呼ばれるMVNOサービスの普及促進を後押ししていることもあり、MVNOと組み合わせて使えるSIMフリースマホは伸び続けている。家電量販店の実売データを集計した「BCNランキング」によると、販売台数は3年前の10倍以上、2年前に比べても3倍以上に拡大。今や、スマートフォン全体の2割弱を占めるまでに成長した。さらに、ここにきて、SIMフリースマホの特徴を活かす「デュアルSIMデュアルスタンバイ(DSDS)」に注目が集まっている。
今回は、「ZenFone 3」シリーズの主力モデル「ZenFone 3」をお借りし、メイン回線のドコモのSIMと、サブ回線として音声通話のみ利用している別のドコモのSIMを入れ、この機能の存在を知って以来、気になっていたDSDSを試してみた。
画面サイズは、Androidとしてはやや小さめの5.2インチ
背面のカメラ部分の下部には指紋認証センサ(左中央)を搭載。
側面には5マグネットスピーカーを備え、充電端子にはUSB3.0 Type-Cを採用する
DSDSと並び、進化したカメラも特徴。新たに4K動画を撮影できるようになり、超高速AFや光学式の手ぶれ補正、リアルタイムHDRなどに対応する。マニュアル撮影のほか、QRコード、夜景、美人エフェクト、子どもの顔を検出すると自動的に撮影する「キッズ」など、撮影モードも豊富だ。また、あらかじめ指紋を登録し、「タッチコントロール」で設定しておけば、指紋認証センサをダブルタップしてカメラを起動し、そのまま指紋認証センサをタップしてシャッターを切ることが可能。自然なポーズで、さっと自分撮りができる。
「ZenFone 3(ZE520KL)」で撮影した写真。カメラは高機能で、画質も美しい
パフォーマンスとグラフィックス性能はPC級と謳われており、実際に使ってみた印象として、アプリの起動やブラウザのスクロールは速く、現在一般的に使われているスマホよりも、明らかに1世代上のスペックだと感じた。音質もいい。内蔵スピーカーやBluetoothヘッドホンを使用し、ストリーミング配信の「Spotify」の音楽や有料動画配信サービスの音声を聴いたところ、とてもクリアな音に感心した。ハイレゾ音源の再生もサポートしているので、別売りの対応ヘッドホンを手に入れれば、さらにイイ音を楽しむこともできる。__RCMS_CONTENT_BOUNDARY__
例えば、主要キャリアの音声通話(3G)とMVNOのデータ通信(LTE)、プライベートで使用しているメイン回線(LTE)と仕事で使用している回線(3G)など、nanoSIMサイズとmicroSIMサイズの2枚のSIMを組み合わせ、LTE通信中に別の番号の着信を受けたり、通話先にあわせて発信する番号を使い分けたりといった使い方が可能だ。
毎日、2台の携帯電話を持ち歩いているビジネスパーソンにとって、2つの番号を1台の端末にまとめられるDSDSの恩恵は大きく、この機能のために買い替えても損はないはず。DSDS対応機種はまだ少ない。iPhoneはまだ対応しておらず、AndroidスマホでもMotorolaの「Moto G4 Plus」やZTEの「Axon 7/Axon 7 mini」など、数えるばかりだ。
「ZenFone 3」のSIMスロット。SIMカードはトレイに載せて挿入する
注意点は、SIMカードの対応周波数とカードサイズ。SIMが本体の周波数(バンド)に対応していなければ、当然ながら利用できない。au系MVNOは、au VoLTE SIMのみ。また、nanoSIMカードとmicroSDカードはカードトレイの形状の制限から、同時に入れることができない。microSDカードを挿しっぱなしで使いたい場合は、DSDSの利用は諦めるしかない。
「設定」の「デュアルSIMカード設定」から設定する。SIMスロットにSIMカードを挿入すると、自動的に表示された
nanoSIMカードは、市販のアダプタを装着すればmicroSIMカードサイズになるが、取り出せなくなる恐れがある。手元にあるドコモのSIMカードは、2枚ともnanoSIMだったため、やむを得ず、メーカー非推奨だが、片方にアダプタを装着してmicroSIMサイズに変換した。新規にMVNOサービスを契約する際は、SIMカードのサイズに要注意だ。
音声通話は、SIMカードを入れるだけ。取扱説明書をしっかり読めば、出し入れは難しくない。2枚のSIMカード挿入時は、電話アプリに自動的にSIM1/SIM2の切り替えボタンが表示され、1枚にすると通話ボタンは一つになる。「設定」の「デュアルSIMカード設定」で、音声呼び出し、データネットワークに関し、優先するSIMを選択でき、発信時にもどちらの電話番号から発信するかを任意で選択できる。着信履歴にも、SIM1/SIM2が色と数字で表示され、どちらのSIMへの着信なのかも分かるようになっている。
2つの電話番号を切り替えて音声通話を利用できる
SIM1は旧Xi契約の従量課金、SIM2は音声通話定額のカケホーダイライトプラン。
着信履歴からかける場合も番号を選べるが、誤って、カケホーダイではないSIM1で発信してしまったことも……__RCMS_CONTENT_BOUNDARY__ データ通信は、SIMカードを入れただけでは使えず、APNを設定する必要がある。とはいえ、主要なMVNOサービスのAPN設定はプリセットされており、該当するサービス名を選ぶだけで完了するので難しくない。今回試したドコモのように、プリセットにない場合は、手動で入力する必要があり、初心者にはややハードルが高いかもしれない。
主要なMVNOサービスのAPN設定はプリセット済み
「ZenFone 3」の魅力は、カメラとDSDS対応だけではない。省電力設定や「メモリ解放」「やることリスト」「MiniMovie」など、独自のアプリや機能も多く、使い込めば使い込むほど便利になりそうだ。背面にある指紋認証センサの感度もよく、読み取りエラーもほとんど発生しない。同じGoogleアカウントを使えば、以前に使っていたAndroid端末のデータから、アプリなどを簡単に復元可能。Android間なら移行はスムーズだ。
独自のアプリは、最初から「ASUS」フォルダにまとめられている
デュアルフロントスピーカー、最長約11時間使える大容量バッテリなどを搭載し、パーソナルからファミリーまで、幅広く使える小型タブレットだ。音声通話SIMを入れれば大画面スマホとしても使える。税別価格は3万6800円。
通話機能も利用できるAndroidタブレット「ZenPad 3 8.0」
手に持ってみると、イメージより軽い。背面はツルツルではなく、凸凹しているので持ちやすく、汚れも目立ちにくそうだった。
解像度の高さと、ウリにしているサウンド機能を確認するため、動画を再生してみたところ、確かに音はよく、発色は非常に鮮やかで動きも滑らかだった。ごく普通のWebサイトの表示すら美しい。1~2万円台と廉価タブレットと比較すると、本体の質感も処理性能もまったく異なり、実用性は高いと感じた。
本体カラーはブラックで、背面のロゴが目立つ重厚感のあるデザイン。
「ZenFone 3」と「ZenPad 3 8.0」を比較すると、デザインテイストの違いがよくわかる
DSDSのメリットは、面倒な機種変更やMNPの手続きをせず、SIMカードを入れるだけで、いまの携帯電話番号のまま音声通話を利用できるという点。「ZenFone 3」のヒットを機に、DSDSの便利さが広く知られるようになると、メイン端末としてSIMフリースマホを選ぶ流れが今以上に強まりそうだ。
*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからパソコン本体、デジタル家電などの実売データを毎日収集・集計している実売データベースで、日本の店頭市場の約4割(パソコンの場合)をカバーしています。
好調なスタートを切った「ZenFone 3(ZE520KL)」。
一部の店舗では在庫切れ・入荷待ちも発生しているという
総務省が「格安SIM」と呼ばれるMVNOサービスの普及促進を後押ししていることもあり、MVNOと組み合わせて使えるSIMフリースマホは伸び続けている。家電量販店の実売データを集計した「BCNランキング」によると、販売台数は3年前の10倍以上、2年前に比べても3倍以上に拡大。今や、スマートフォン全体の2割弱を占めるまでに成長した。さらに、ここにきて、SIMフリースマホの特徴を活かす「デュアルSIMデュアルスタンバイ(DSDS)」に注目が集まっている。
今回は、「ZenFone 3」シリーズの主力モデル「ZenFone 3」をお借りし、メイン回線のドコモのSIMと、サブ回線として音声通話のみ利用している別のドコモのSIMを入れ、この機能の存在を知って以来、気になっていたDSDSを試してみた。
進化したカメラを搭載 ASUSのハイエンドスマホの新スタンダード
「ZenFone 3(ZE520KL)」の税別実勢価格は、「ZenFone 3」シリーズ中、最も安い3万9800円前後。税込みだと4万円を超えるが、5.2インチのフルHD液晶ディスプレイ、明るいF2.0のレンズを採用した1600万/800万画素のカメラ、32GBのストレージを搭載し、ネット閲覧や写真撮影といった一般的な使い方なら十分。コストパフォーマンスの高いモデルだ。カラーはサファイアブラックとパールホワイトの2色。本体のみでの販売に加え、多くのMVNOがSIMカードとのセット販売も行っている。画面サイズは、Androidとしてはやや小さめの5.2インチ
背面のカメラ部分の下部には指紋認証センサ(左中央)を搭載。
側面には5マグネットスピーカーを備え、充電端子にはUSB3.0 Type-Cを採用する
DSDSと並び、進化したカメラも特徴。新たに4K動画を撮影できるようになり、超高速AFや光学式の手ぶれ補正、リアルタイムHDRなどに対応する。マニュアル撮影のほか、QRコード、夜景、美人エフェクト、子どもの顔を検出すると自動的に撮影する「キッズ」など、撮影モードも豊富だ。また、あらかじめ指紋を登録し、「タッチコントロール」で設定しておけば、指紋認証センサをダブルタップしてカメラを起動し、そのまま指紋認証センサをタップしてシャッターを切ることが可能。自然なポーズで、さっと自分撮りができる。
「ZenFone 3(ZE520KL)」で撮影した写真。カメラは高機能で、画質も美しい
パフォーマンスとグラフィックス性能はPC級と謳われており、実際に使ってみた印象として、アプリの起動やブラウザのスクロールは速く、現在一般的に使われているスマホよりも、明らかに1世代上のスペックだと感じた。音質もいい。内蔵スピーカーやBluetoothヘッドホンを使用し、ストリーミング配信の「Spotify」の音楽や有料動画配信サービスの音声を聴いたところ、とてもクリアな音に感心した。ハイレゾ音源の再生もサポートしているので、別売りの対応ヘッドホンを手に入れれば、さらにイイ音を楽しむこともできる。__RCMS_CONTENT_BOUNDARY__
iPhoneは非対応、Androidでも数少ない「DSDS」に対応
「ZenFone 3」シリーズは、共通の特徴として、2枚のSIMカードを本体に入れて、4G(LTE)/3G同時待受が可能なDSDSに対応する。また、日本独自仕様として、au VoLTEとキャリアアグリゲーションに対応し、ドコモ系MVNOだけではなく、UQ mobileやmineo、IIJmio(タイプA)など、最近、増えてきたau系MVNOでも使える。例えば、主要キャリアの音声通話(3G)とMVNOのデータ通信(LTE)、プライベートで使用しているメイン回線(LTE)と仕事で使用している回線(3G)など、nanoSIMサイズとmicroSIMサイズの2枚のSIMを組み合わせ、LTE通信中に別の番号の着信を受けたり、通話先にあわせて発信する番号を使い分けたりといった使い方が可能だ。
毎日、2台の携帯電話を持ち歩いているビジネスパーソンにとって、2つの番号を1台の端末にまとめられるDSDSの恩恵は大きく、この機能のために買い替えても損はないはず。DSDS対応機種はまだ少ない。iPhoneはまだ対応しておらず、AndroidスマホでもMotorolaの「Moto G4 Plus」やZTEの「Axon 7/Axon 7 mini」など、数えるばかりだ。
「ZenFone 3」のSIMスロット。SIMカードはトレイに載せて挿入する
注意点は、SIMカードの対応周波数とカードサイズ。SIMが本体の周波数(バンド)に対応していなければ、当然ながら利用できない。au系MVNOは、au VoLTE SIMのみ。また、nanoSIMカードとmicroSDカードはカードトレイの形状の制限から、同時に入れることができない。microSDカードを挿しっぱなしで使いたい場合は、DSDSの利用は諦めるしかない。
「設定」の「デュアルSIMカード設定」から設定する。SIMスロットにSIMカードを挿入すると、自動的に表示された
nanoSIMカードは、市販のアダプタを装着すればmicroSIMカードサイズになるが、取り出せなくなる恐れがある。手元にあるドコモのSIMカードは、2枚ともnanoSIMだったため、やむを得ず、メーカー非推奨だが、片方にアダプタを装着してmicroSIMサイズに変換した。新規にMVNOサービスを契約する際は、SIMカードのサイズに要注意だ。
音声通話は、SIMカードを入れるだけ。取扱説明書をしっかり読めば、出し入れは難しくない。2枚のSIMカード挿入時は、電話アプリに自動的にSIM1/SIM2の切り替えボタンが表示され、1枚にすると通話ボタンは一つになる。「設定」の「デュアルSIMカード設定」で、音声呼び出し、データネットワークに関し、優先するSIMを選択でき、発信時にもどちらの電話番号から発信するかを任意で選択できる。着信履歴にも、SIM1/SIM2が色と数字で表示され、どちらのSIMへの着信なのかも分かるようになっている。
2つの電話番号を切り替えて音声通話を利用できる
SIM1は旧Xi契約の従量課金、SIM2は音声通話定額のカケホーダイライトプラン。
着信履歴からかける場合も番号を選べるが、誤って、カケホーダイではないSIM1で発信してしまったことも……
主要なMVNOサービスのAPN設定はプリセット済み
「ZenFone 3」の魅力は、カメラとDSDS対応だけではない。省電力設定や「メモリ解放」「やることリスト」「MiniMovie」など、独自のアプリや機能も多く、使い込めば使い込むほど便利になりそうだ。背面にある指紋認証センサの感度もよく、読み取りエラーもほとんど発生しない。同じGoogleアカウントを使えば、以前に使っていたAndroid端末のデータから、アプリなどを簡単に復元可能。Android間なら移行はスムーズだ。
独自のアプリは、最初から「ASUS」フォルダにまとめられている
スマホ同様、惜しげもなく最新技術を注ぎ込んだ「ZenPad 3 8.0」
続けて、あわせてお借りした、タブレット端末としては最高峰の2048×1536ドット(QXGA)7.9インチの液晶ディスプレイを搭載したSIMフリーのタブレット端末「ZenPad 3 8.0(Z581KL-BK32S4)」についても簡単に紹介しよう。デュアルフロントスピーカー、最長約11時間使える大容量バッテリなどを搭載し、パーソナルからファミリーまで、幅広く使える小型タブレットだ。音声通話SIMを入れれば大画面スマホとしても使える。税別価格は3万6800円。
通話機能も利用できるAndroidタブレット「ZenPad 3 8.0」
手に持ってみると、イメージより軽い。背面はツルツルではなく、凸凹しているので持ちやすく、汚れも目立ちにくそうだった。
解像度の高さと、ウリにしているサウンド機能を確認するため、動画を再生してみたところ、確かに音はよく、発色は非常に鮮やかで動きも滑らかだった。ごく普通のWebサイトの表示すら美しい。1~2万円台と廉価タブレットと比較すると、本体の質感も処理性能もまったく異なり、実用性は高いと感じた。
本体カラーはブラックで、背面のロゴが目立つ重厚感のあるデザイン。
「ZenFone 3」と「ZenPad 3 8.0」を比較すると、デザインテイストの違いがよくわかる
さらに自由に、さらに便利に
「SIMフリー」は、キャリアの縛りをなくす。さらに、DSDSは、従来の1端末1番号という縛りをなくす。MVNOに限らず、好きな通信キャリアの音声通話・データ通信サービスを組み合わせて利用でき、スマホがより自由に、よりフレキシブルになるのだ。DSDSのメリットは、面倒な機種変更やMNPの手続きをせず、SIMカードを入れるだけで、いまの携帯電話番号のまま音声通話を利用できるという点。「ZenFone 3」のヒットを機に、DSDSの便利さが広く知られるようになると、メイン端末としてSIMフリースマホを選ぶ流れが今以上に強まりそうだ。
*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからパソコン本体、デジタル家電などの実売データを毎日収集・集計している実売データベースで、日本の店頭市場の約4割(パソコンの場合)をカバーしています。