一部の古いケータイが「モバイルSuica」非対応に、サーバー証明書更新が影響

サービス

2016/08/23 17:00

 携帯電話事業者各社は、従来型携帯電話(フィーチャーフォン)の一部の機種において、インターネット接続する際、暗号化通信を利用している一部サイト・サービスが利用できなくなる可能性があるとし、影響を受ける機種一覧を公開している。暗号化通信を利用しているサービスの一つ、「モバイルSuica」は、2016年8月24日から、該当機種では利用できなくなる。影響を受ける機種数は多く、事前の告知不足によるクレームの発生も懸念される。

 オンラインショップやインターネットバンキングなどでは、通信の内容を安全に保護するため、暗号化通信(SSL/TLS)を利用している。世界的な取り組みとして、暗号化通信に利用するサーバー証明書を、従来のSHA-1からより安全性の高いSHA-2への切り替えが進められており、切り替えに伴い、携帯電話や10年以上前の古いPCなど、SHA-2非対応機種では、暗号化通信を利用したサイトが表示できなくなる可能性がある。
 

暗号化通信利用不可時の画面表示(例)

 影響を受ける主な機種は、NTTドコモが「F-02A」など、KDDI(au)が2008年12月以前に発売した「W52CA」など、ソフトバンクが「830SH」など、ワイモバイル(Y!mobile)は「WX01SH」など。このうち、一部機種は、ソフトウェアアップデートで、新しいサーバー証明書に対応する。音声通話やキャリアメール、暗号化通信を使用しないインターネット接続は、引き続き、問題なく、利用できる。

「モバイルSuica」や「楽天Edy」のケータイ向けサービスが終了へ

 「モバイルSuica」を提供するJR東日本は、8月24日以降、SHA-2方式/TLS1.0以上に対応していない携帯情報端末では「モバイルSuica」を利用できなくなると案内し、利用者に対し、個別にメールで通知している。なお、新規チャージや新規の定期券の購入などはできなくなるが、チャージ済みの電子マネー、8月24日以前に購入した「定期券」「Suicaグリーン券」、ダウンロード済みの「モバイルSuica特急券」は、引き続き利用できる。
 

JR東日本からユーザーに届いた案内メール

 「楽天Edy」は、11月15日をもって、「モバイルEdy支払いサービス」の提供を終了する。店頭でのEdy支払いや現金チャージは、引き続き、提供する。

 内閣府の調査によると、2人以上の世帯でのスマートフォンの普及率は7割弱にとどまり、数年前に購入したフィーチャーフォンを使い続けている人は多いとみられる。家電量販店の実売データを集計した「BCNランキング」によると、新規に販売した携帯電話のうち、OSにAndroidを搭載した、いわゆる「ガラホ」を含む従来型携帯電話の比率は1割程度を占め、今も根強い人気をもつ。

 「モバイルSuica」をはじめとする「おサイフケータイ」は、ほとんどのフィーチャーフォンが対応し、日本のケータイの定番機能だった。今も、iPhoneや一部のスマートフォンには搭載されていないため、従来型のケータイの強みの一つになっている。しかし、今回、セキュリティの強化というやむを得ない理由から、「おサイフケータイ」の代名詞的なサービス、「モバイルSuica」が終了することになった。これを機に、古いケータイから新しいケータイ、ケータイからスマートフォンへの買い替えが進みそうだ。(BCN・嵯峨野 芙美)

*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからパソコン本体、デジタル家電などの実売データを毎日収集・集計している実売データベース(パソコンの場合)で、日本の店頭市場の約4割をカバーしています。