この夏欲しいロボット掃除機 編集長が「ルンバ654」を徹底チェック

レビュー

2016/06/28 13:26

 そろそろ夏のボーナスが支給される。フリーマガジン「BCNランキングマガジン」で実施した読者アンケートでは、この夏、欲しい生活家電の1位に掃除機が輝いた。なかでもロボット掃除機の人気が高かった。ロボット掃除機の購入を検討している「BCNランキングマガジン」の細田 立圭志編集長が、人気のロボット掃除機「ルンバ」を徹底チェックした。

 


細田編集長と「ルンバ654」

 この春、子どもの就学や卒業などで、ライフスタイルがガラリと変わった家庭は多いだろう。細田編集長宅もこの春、子どもが小学校に入学し、奥さんが働き始め、共働きになった。すると、自然にロボット掃除機への関心が高まった。しかし、どのメーカーも10万円前後もするため、二の足を踏んでいた。 

 そこで、価格帯別のラインアップが豊富な「ルンバ」に目がとまった。ルンバは最上モデルの「ルンバ980」を始め、「ルンバ885」「ルンバ876」「ルンバ654」と4モデルをラインアップする。なかでもスタンダードモデルの「ルンバ654」は税別実勢価格が5万4000円前後と手が出しやすい価格だ。 
 


手頃な価格の「ルンバ654」

 とはいえ、安くても性能が低いのでは話にならない。実機をお借りして、どれだけ使えるのか検証した。この夏、ロボット掃除機の購入を検討している人は一緒に性能をチェックしてほしい。 
 

ロボット掃除機のチェックポイント 掃除性能を見る


 ロボット掃除機を選ぶ際のポイントは、どれだけキレイになるかという掃除性能だ。ロボット掃除機で掃除したあと、仕上げを人がやるようでは意味がない。 

 検証は戸建ての1階のリビングルームで行った。リビングルームはソファとテーブル、テレビを設置している。このなかで汚れが気になる場所といえば、子どもがテレビを見ながらお菓子を食べるテーブル周辺だ。 
 


検証を実施したリビングルーム

 ルンバを起動し、掃除を開始する。ランダムに走行していたルンバだが、テーブルのそばにくると同じところを円を描きながら走行した。これは汚れを発見すると自動的に作動する「ダートディテクトモード」だ。汚れた場所がキレイになるまで入念に掃除をしてくれた。 
 


汚れた場所は何度も掃除する

 さらに、テーブルの脚周りをぐるりと回りながら掃除を始めた。ルンバは右前にある「エッジクリーニングブラシ」でゴミをかき出し、吸込口に送る。この「エッジクリーニングブラシ」を中心に時計回りに回転する。 

 ルンバは数十のセンサーを備え、部屋の状況を把握し、「高速応答プロセス iAdapt」によって、状況に合わせて掃除をする。脚周りの掃除の仕方もこのセンサーと「iAdapt」によるもの。人が掃除する場合、テーブルやソファ、椅子などを動かさないとなかなか脚周りはキレイにならないが、ルンバは「エッジクリーニングブラシ」でしっかり際のゴミをかき出すので、テーブル周りがスッキリした。 
 


脚周りを回って掃除

ロボット掃除機ならでは ソファやテレビ台の下を掃除する


 ロボット掃除機を使って驚いたのが、ソファやテレビ台の下までぐいぐい進んでいくことだ。手持ちのキャニスターで掃除する場合、ヘッドブラシがなかなか台の下に入らず、ゴミも見えないからまあいいか、と諦めていた。 
 


ソファを移動せずにソファ下をキレイにした

 ルンバはぐいぐいと奥に入り、ソファの奥、壁ぎわまで潜り込んで行き、これまで見ないようにしていたホコリをキャッチ。床からの隙間が10cmほどのテレビ台の下も潜り込んでいった。 
 


10cmの隙間でもぐいぐい潜り込む

 人が行う掃除では手が届かないところもロボット掃除機なら届く。これが一番の強みだと感じた。 
 

スタンダードモデルながら豊富なオプション


 「ルンバ654」は、スタンダードモデルながら、付属品をしっかり備える。なかでも便利なのが、赤外線で見えない壁を作る「オートバーチャルウォール」だ。 

 リビングとダイニング、キッチンがつながっているLDKでは、リビングを掃除するつもりでもキッチンまでルンバが侵入してしまう。調理中にルンバがキッチンに入ってしまうと、足下が非常に危なっかしい。そこで、キッチンの入り口に「オートバーチャルウォール」を置き、見えない壁でルンバの侵入を回避する。 
 


赤外線で見えない壁を作る

 また、最近はバスルームの段差がない住宅も多いので、ルンバを濡らさないようにするため、バスルームの入り口に設置するのもお勧めだ。 
 

ルンバの性能は高いのか? 他社の上位モデルと比較


 ここまで使って、「ルンバ654」が十分な掃除性能を持っていることがわかった。それでは他社の製品と比べるとどうなのだろうか。パナソニックの「RULO MC-RS200」(税別実勢価格10万円前後)と比較した。 
 


パナソニックの「RULO MC-RS200」

 検証したのは社内の10畳ほどの会議室。会議室には机と椅子、後は電話台のみのシンプルな部屋だ。そこに擬似ゴミを撒いて、どれだけピックアップするかを比較した。壁ぎわと四隅に赤いカラーサンドを、机や椅子の下には青いカラーサンドを30gずつ散布した。また、ホコリに見立てて0.5gの綿を会議室全体に撒いた。 
 


散布したゴミの種類と量


擬似ゴミを散布した状態

 「RULO MC-RS200」は、掃除が完了して充電台に戻るまでに20分46秒かかった。掃除後の会議室は目に見えてゴミが残っており、掃除が完了したというより、ダストボックスがいっぱいになったため、戻って来たようだ。取れたゴミの量は45gだった。 

 一方「ルンバ654」は、充電台に戻るまでに43分44秒かかった。何度も同じところを掃除していただけあり、掃除後の会議室はほとんどゴミが目立たなかった。壁ぎわにわずかなカラーサンドが残っていたが、ここはキャニスターでもノズルを使わないと取れなかったので、仕方がないといえるだろう。 

 結果、取れたゴミの量は61gだった。カラーサンドを60g、綿を0.5g撒いたことを考えると、テスト用に撒いたゴミ以外もピックアップしたようだ。 
 


取れたゴミの比較(左がルンバ654)

 スタンダードモデルながら、掃除性能は他社の上位モデルを上回った。ルンバの上位モデルは、「ルンバ654」より掃除能力が高く、スマートフォンで操作できたり、円形の進入禁止エリアをつくる「ヘイローモード」を追加した「デュアルバーチャルウォール」が付属したりと、より多機能だ。こういった機能を求めるなら上位モデルを選んだほうがいいが、手軽にロボット掃除機の便利さを体感したいなら「ルンバ654」でも十分だろう。(BCN・山下彰子)