ロボット掃除機は人間よりもキレイに掃除するか、検証してみた
街中でクリスマスソングが流れ始め、大掃除のシーズンが近づいてきた。大掃除でなくても日々の掃除機がけは大変だ。掃除を楽にしてくれるアイテムとしてロボット掃除機があるが、本当にキレイに掃除してくれるか心配……。そんな心配事を抱えている人は少なくない。そこでフリーマガジン「BCNランキングマガジン」の谷畑良胤編集長が、ロボット掃除機が本当にキレイに掃除してくれるか、自宅のリビングダイニングで検証した。
「ルンバ980」は、独自のナビゲーションシステム「iAdapt(アイ・アダプト) 2.0 ビジュアルローカリゼーション」を搭載し、フロア全体のマップを作り、部屋全体の間取りとルンバの位置情報を把握しながら掃除する。そのため、効率的に掃除ができるので、スペック上の稼働面積は最大112畳(185m2)と広い。
清掃機構では、「AeroForce(エアロフォース)クリーニングシステム」を引き続き採用している。モーターにブラッシュアップした「ハイパワーモーターユニット G3」を搭載。カーペットやラグの上では自動的に吸引力を引き上げる「カーペットブースト」を搭載し、吸引力を従来モデル(ルンバ700シリーズ)の約10倍まで高めた。ゴミの多い場所を検知して集中的に掃除する「ダートディテクトモード」も引き続き搭載した。
さて、今回検証する谷畑編集長は無類の掃除好き、というよりキレイ好きだ。自宅の掃除は毎週どころか毎日、出勤前に行っている。奥さんに任せず、自分で掃除をするほどのこだわり派だ。自宅全室を掃除すると1時間、2時間あっという間に過ぎてしまうという。日々、全室を掃除するとなると面倒なのがキャニスター掃除機の移動だ。
最近人気のコードレスのスティック掃除機であれば、コンセントを差し替える手間がないが、稼働時間に限りがある。10月23日に発売したエレクトロラックスの最新モデル「Ergopower Lithium ZB5022」の連続駆動時間は60分。ただ、吸引力を高めたパワーモードにすると27分だ。全室を掃除しようとすると充電する手間と時間を必要とする。
また、LGエレクトロニクス・ジャパンの「VS84」は、交換用のバッテリーを付属し、掃除中にバッテリーが切れてしまってもバッテリーを交換して引き続き掃除ができる。バッテリーを交換することで、最大60分掃除ができるが、バッテリーを交換する手間がかかる。
その点、ロボット掃除機は、キャニスター掃除機と違いバッテリーを搭載しているので、コンセントに挿す必要がない。スティック掃除機と稼働時間を比べると、「ダイソン360 Eye」は45分とスティック掃除機よりやや長い程度だが、パナソニックの「ルーロ MC-RS1」は60分、東芝の「トルネオ ロボ VC-RVD1」は70分、「ルンバ980」は最大120分と長時間稼働が可能だ。なお、稼働時間は部屋の形状、床やバッテリーの状態などによって異なる。
「ルンバ980」のもう一つの特徴は、約2㎝の段差であれば楽々乗り越えるということ。古い住居にありがちなドア枠の段差を難なく乗り越える。後はドアを開けておけば自動で廊下、隣の部屋と移動して掃除してくれるので、キャニスター掃除機のように、本体を人が持ち上げ、運ぶ必要がない。
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「ロボット」というだけあって、自動で掃除するのは当たり前。この程度で驚く人は少ないだろう。それよりも気になるのは本当にキレイになるのか、掃除のクオリティだ。具体的にいえば、ホコリやゴミや溜まりやすい場所、人が掃除をする際に見落としがちな、意識して掃除をしないといけない場所をキレイにできるかどうかが気になるところだ。果たしてロボット掃除機はキレイに掃除できるのだろうか。
見落としがちなポイントは数多くある。まずは、リビングダイニングのケースでチェックしよう。家族で食事をとるダイニングテーブル周りは、食事時に出る食べかすが落ちていることが多い。トーストのパンかす、子どものお菓子などだ。小さい子どもがいると一日一度ではなく、食事のたびに掃除をする家庭もあるだろう。
テーブル周りの掃除で面倒なのが、イスだ。テーブルとイスの脚が乱立するテーブル周りは、掃除機のヘッドが通るよう、イスを動かさなくてはならない。谷畑家では、脚と脚の間のゴミをちゃんと取れるよう、イスをテーブルに乗せ、一気に掃除している。とはいえ、これを女性がやるとなると重労働だ。
次はダイニングからリビングに移動しよう。テレビを見ながらくつろぐことが多いリビングは、お気に入りのソファを置いている人が多いだろう。実はこのソファの下にホコリが溜まりやすいこともポイントだ。ソファと床の間には10~15cm程度の隙間があり、人が動く度に軽いホコリがこの下に潜り込みやすい。
ところが、キャニスター掃除機で掃除するとヘッドが厚いため、奥まで入って行かない。パイプを寝かせても途中でつかえてしまう。どうしてもソファ下のホコリが気になる場合はソファを動かさなくてはならないが、ソファは重たいし、引きずると床にキズをつけてしまうので諦めている人が多いだろう。
リビングダイニングに限ったことではないが、部屋の掃除で重要なポイントは端っこ、壁や窓のきわだ。キャニスター掃除機の大きなヘッドだと壁ぎわに当たり、隅のゴミがうまく吸えないことがある。その場合、ヘッドを外してパイプだけで掃除したり、隙間ノズルを装着したりしてゴミを吸い取る。
「ルンバ980」は、壁ぎわに行くと、壁に沿って掃除をする。見ると、テーブル・イスの掃除に活躍したエッジクリーニングブラシを壁の隅に当て、ゴミを吸い込み口の方にかき込んでいた。
端っこや家具の下ではないが、掃除が大変な場所といえばカーペットだろう。カーペットの毛足が長くなればなるほど、ゴミを抱き込んでしまい、なかなか取ることができない。キャニスター掃除機をかけるとき、カーペットのゴミが気になって何度もこするように往復する人は多いだろう。
気になるところをちゃんと掃除してくれる「ルンバ980」。しかし、掃除をしてほしくない場所もある。谷畑家ではネコを飼っている(オス猫のチッチ)。ネコのトイレやえさ場は、ロボット掃除機で掃除をしてほしくない場所だ。トイレ砂やえさは吸い込みにくいし、万が一ほかの場所に広げられると困る。ロボット掃除機が進入しないよう、バリケードを作ってもいいが、そうすると肝心のネコも入れなくなってしまう。
「ルンバ980」であれば、デュアルバーチャルウォールを活用できる。これまでのルンバシリーズでもバーチャルウォールがあり、最長で約2mの見えない赤外線の壁を作り、ルンバの進入を制限できた。「ルンバ980」に付属するデュアルバーチャルウォールは円形の進入禁止エリアをつくる「ヘイローモード」を備えており、ペットのえさ場などを荒らすことなく部屋を掃除できるのだ。
最後に、谷畑編集長が入念に掃除したリビングダイニングで、「ルンバ980」で再度掃除をした。隅から隅まで床のゴミやホコリを取ったつもりだったのに「ルンバ980」は一握りほどのホコリをしっかり取ってホームベースに帰ってきた。人の掃除ではソファの下や壁ぎわの掃除がしにくく、キレイにした“つもり”になってしまうのだろう。
検証に使ったのはアイロボットの「ルンバ980」
「ルンバ980」は、独自のナビゲーションシステム「iAdapt(アイ・アダプト) 2.0 ビジュアルローカリゼーション」を搭載し、フロア全体のマップを作り、部屋全体の間取りとルンバの位置情報を把握しながら掃除する。そのため、効率的に掃除ができるので、スペック上の稼働面積は最大112畳(185m2)と広い。
清掃機構では、「AeroForce(エアロフォース)クリーニングシステム」を引き続き採用している。モーターにブラッシュアップした「ハイパワーモーターユニット G3」を搭載。カーペットやラグの上では自動的に吸引力を引き上げる「カーペットブースト」を搭載し、吸引力を従来モデル(ルンバ700シリーズ)の約10倍まで高めた。ゴミの多い場所を検知して集中的に掃除する「ダートディテクトモード」も引き続き搭載した。
キャニスター掃除機と比較 部屋間の移動が楽
さて、今回検証する谷畑編集長は無類の掃除好き、というよりキレイ好きだ。自宅の掃除は毎週どころか毎日、出勤前に行っている。奥さんに任せず、自分で掃除をするほどのこだわり派だ。自宅全室を掃除すると1時間、2時間あっという間に過ぎてしまうという。日々、全室を掃除するとなると面倒なのがキャニスター掃除機の移動だ。
キャニスター掃除機を運ぶのは重労働
最近人気のコードレスのスティック掃除機であれば、コンセントを差し替える手間がないが、稼働時間に限りがある。10月23日に発売したエレクトロラックスの最新モデル「Ergopower Lithium ZB5022」の連続駆動時間は60分。ただ、吸引力を高めたパワーモードにすると27分だ。全室を掃除しようとすると充電する手間と時間を必要とする。
また、LGエレクトロニクス・ジャパンの「VS84」は、交換用のバッテリーを付属し、掃除中にバッテリーが切れてしまってもバッテリーを交換して引き続き掃除ができる。バッテリーを交換することで、最大60分掃除ができるが、バッテリーを交換する手間がかかる。
その点、ロボット掃除機は、キャニスター掃除機と違いバッテリーを搭載しているので、コンセントに挿す必要がない。スティック掃除機と稼働時間を比べると、「ダイソン360 Eye」は45分とスティック掃除機よりやや長い程度だが、パナソニックの「ルーロ MC-RS1」は60分、東芝の「トルネオ ロボ VC-RVD1」は70分、「ルンバ980」は最大120分と長時間稼働が可能だ。なお、稼働時間は部屋の形状、床やバッテリーの状態などによって異なる。
「ルンバ980」のもう一つの特徴は、約2㎝の段差であれば楽々乗り越えるということ。古い住居にありがちなドア枠の段差を難なく乗り越える。後はドアを開けておけば自動で廊下、隣の部屋と移動して掃除してくれるので、キャニスター掃除機のように、本体を人が持ち上げ、運ぶ必要がない。
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掃除のクオリティはどうか? 掃除しにくいところをチェック
「ロボット」というだけあって、自動で掃除するのは当たり前。この程度で驚く人は少ないだろう。それよりも気になるのは本当にキレイになるのか、掃除のクオリティだ。具体的にいえば、ホコリやゴミや溜まりやすい場所、人が掃除をする際に見落としがちな、意識して掃除をしないといけない場所をキレイにできるかどうかが気になるところだ。果たしてロボット掃除機はキレイに掃除できるのだろうか。
見落としがちなポイントは数多くある。まずは、リビングダイニングのケースでチェックしよう。家族で食事をとるダイニングテーブル周りは、食事時に出る食べかすが落ちていることが多い。トーストのパンかす、子どものお菓子などだ。小さい子どもがいると一日一度ではなく、食事のたびに掃除をする家庭もあるだろう。
テーブル周りの掃除で面倒なのが、イスだ。テーブルとイスの脚が乱立するテーブル周りは、掃除機のヘッドが通るよう、イスを動かさなくてはならない。谷畑家では、脚と脚の間のゴミをちゃんと取れるよう、イスをテーブルに乗せ、一気に掃除している。とはいえ、これを女性がやるとなると重労働だ。
毎回イスの移動をどかすのは大変
「ルンバ980」は脚をぐるりと回る
ソファやベッドの下にもぐいぐい潜り込む
次はダイニングからリビングに移動しよう。テレビを見ながらくつろぐことが多いリビングは、お気に入りのソファを置いている人が多いだろう。実はこのソファの下にホコリが溜まりやすいこともポイントだ。ソファと床の間には10~15cm程度の隙間があり、人が動く度に軽いホコリがこの下に潜り込みやすい。
ところが、キャニスター掃除機で掃除するとヘッドが厚いため、奥まで入って行かない。パイプを寝かせても途中でつかえてしまう。どうしてもソファ下のホコリが気になる場合はソファを動かさなくてはならないが、ソファは重たいし、引きずると床にキズをつけてしまうので諦めている人が多いだろう。
キャニスター掃除機では奥まで掃除できない
「ルンバ980」は奥まで潜り込む
掃除しにくい端っこ、きわもきっちり掃除していく
リビングダイニングに限ったことではないが、部屋の掃除で重要なポイントは端っこ、壁や窓のきわだ。キャニスター掃除機の大きなヘッドだと壁ぎわに当たり、隅のゴミがうまく吸えないことがある。その場合、ヘッドを外してパイプだけで掃除したり、隙間ノズルを装着したりしてゴミを吸い取る。
「ルンバ980」は、壁ぎわに行くと、壁に沿って掃除をする。見ると、テーブル・イスの掃除に活躍したエッジクリーニングブラシを壁の隅に当て、ゴミを吸い込み口の方にかき込んでいた。
窓ぎわの掃除ではカーテンを吸い込んでしまうことも……
ゴミを抱き込んでしまったカーペットも丹念に掃除
端っこや家具の下ではないが、掃除が大変な場所といえばカーペットだろう。カーペットの毛足が長くなればなるほど、ゴミを抱き込んでしまい、なかなか取ることができない。キャニスター掃除機をかけるとき、カーペットのゴミが気になって何度もこするように往復する人は多いだろう。
重労働のカーペット掃除 カーペットがよれることも
汚れているところは重点的に掃除をする
ペットのコーナーは入っちゃダメ 見えない壁でブロック
気になるところをちゃんと掃除してくれる「ルンバ980」。しかし、掃除をしてほしくない場所もある。谷畑家ではネコを飼っている(オス猫のチッチ)。ネコのトイレやえさ場は、ロボット掃除機で掃除をしてほしくない場所だ。トイレ砂やえさは吸い込みにくいし、万が一ほかの場所に広げられると困る。ロボット掃除機が進入しないよう、バリケードを作ってもいいが、そうすると肝心のネコも入れなくなってしまう。
「ルンバ980」であれば、デュアルバーチャルウォールを活用できる。これまでのルンバシリーズでもバーチャルウォールがあり、最長で約2mの見えない赤外線の壁を作り、ルンバの進入を制限できた。「ルンバ980」に付属するデュアルバーチャルウォールは円形の進入禁止エリアをつくる「ヘイローモード」を備えており、ペットのえさ場などを荒らすことなく部屋を掃除できるのだ。
バーチャルウォールで見えない壁をつくる
人の掃除よりも優れているルンバ 面倒な床掃除はルンバに任せる
最後に、谷畑編集長が入念に掃除したリビングダイニングで、「ルンバ980」で再度掃除をした。隅から隅まで床のゴミやホコリを取ったつもりだったのに「ルンバ980」は一握りほどのホコリをしっかり取ってホームベースに帰ってきた。人の掃除ではソファの下や壁ぎわの掃除がしにくく、キレイにした“つもり”になってしまうのだろう。
入念に掃除をした後に「ルンバ980」がこれだけのゴミを取った