ドコモの四つの新技術、独自機能で差別化図る

 NTTドコモは、5月11日、2016年夏モデルとしてスマートフォン(スマホ)5機種とタブレット端末1機種、モバイルWi-Fiルータ1機種を発表。新モデルから対応する四つの新技術を紹介した。


2016年夏モデルから対応する四つの新技術を語る代表取締役の加藤薫社長

 新モデルの要となるのは「VoLTE(HD+)」「Premium 4G」「スグ電」「おすすめ使い方ヒント」の四つの新技術だ。音声と通信のレベルを一段階引き上げるとともに、ユーザーからのフィードバックにもとづく使い勝手のブラッシュアップを行った。 

 「VoLTE(HD+)」は、2014年6月に日本で初めてドコモが導入した音声サービス「VoLTE」の次世代規格。ドコモが標準化に参画した次世代通話用コーデック技術EVSを活用することで、「VoLTE」よりさらに広帯域の音声周波数を音声で伝えられるようになった。 
 


「VoLTE」と「VoLTE(HD+)」の音声周波数の比較

 代表取締役の加藤薫社長はその差を「FOMA(3G)は固定電話相当、VoLTEはAMラジオ相当、VoLTE(HD+)はFMラジオ相当」と表現。「コミュニケーションは感情の伝達だが、“テレ”コミュニケーションはそれを音声のみで伝えなければならない。われわれが音声サービスの分野でやっていかなければいけないことは多い」とコメントした。 

 「Premium 4G」は、現在のLTEネットワークで利用している帯域に3.5GHzが加わることで実現。既存周波数と組み合わせて最大370Mbpsの高速データ通信を実現する。またキャリアアグリゲーションを強化し、2GHz帯と1.7GHz帯に800MHz帯を束ねることで、国内最速の受信時最大375Mbpsも実現。3.5GHz帯は6月下旬から全国主要都市で導入、375Mbpsは5月19日から当初は東京・新宿周辺、愛知・栄市、大阪・USJに絞って導入する。 
 


3.5GHz帯/375Mbpsの導入エリア

 タップレスで電話の着信・受信ができる「スグ電」は、「従来のフィーチャーフォンと比較してスマホは電話しにくいのでは?」という着眼点から生まれた技術。スマホでの電話を不便にしているのは「画面タッチの多さ」と「両手を使う必要性」という結論から、電話をかけるときの作業を4ステップ(ロック解除→電話アイコンをタップ→連絡先選択→発信)から2ステップ(端末を振る→耳に当てる)に減らした。 
 


電話をかけるときの手間を半減

 発信だけでなく、応答・切断・消音・拒否のアクションも画面にタッチすることなくジェスチャーだけで可能。ショートカットでの発信は左右の耳どちらに当てるかで2人まで登録できる。 
 


さまざまなアクションをタップレスで実現

 ユーザーの声から誕生した「おすすめ使い方ヒント」は、問い合わせの多いスマホの使い方を実際の使用時にお知らせするというものだ。例えば、ユーザーがWi-Fi接続の画面を開くとアイコンがポップアップし、接続方法をレクチャーしてくれる。ユニークなのは独自のアルゴリズムでアドバイスを必要なユーザーを見極め、本当に必要としているユーザーにだけ通知する点だ。これならスマホ慣れしたユーザーがわずらわしく感じることはない。サービス開始時のアドバイスは30程度で、随時アップデートしていく。 
 


ユーザーに必要な情報か見極めて、ポップアップでアドバイスする

 加藤社長は、端末のラインアップ数の減少と各キャリアで取り扱う端末が均一化していることに対して「メーカーとの協議のうえ、これまでの半年スパンから1年スパンにモデルチェンジの間隔を変更していく。端末だけでなく連動する機能・サービスで独自の強みを打ち出し、差別化を図る」と今後の戦略を表明した。(BCN・大蔵 大輔)