11月13日に発売したパナソニックのブルーレイディスクレコーダー「DIGA(ディーガ)」のプレミアムモデル「DMR-UBZ1」は、世界初のUltra HDブルーレイ(UHDブルーレイ)に対応した。本機は9月にドイツで開催された世界最大の家電見本市「IFA」でお披露目されて以降、国内外で大きなトピックとして注目されてきた。
UHDブルーレイとは、現行のブルーレイに代わる新しいディスク規格のこと。DVDの登場が1996年、ブルーレイの登場が2006年。ちょうど10年サイクルで新しい規格が発表されている。UHDブルーレイもこの系譜に連なる標準規格化が期待されている。
DVDからブルーレイへの移行時も、高画質化は飛躍的に進んだが、UHDブルーレイはその再現領域をさらに拡張する。4K解像度(3840×2160ドット)はもちろん、映像業界でトレンドになりつつあるHDR(ハイダイナミックレンジ)にも対応する。4K/8K放送向けに策定された「BT.2020」の広色域信号をサポートするなど、全面的にスペックが引き上がった。
しかし、現時点でUHDブルーレイのコンテンツはまだ登場していない。先行してパナソニックが対応レコーダーを出した狙いはどこにあるのだろうか?「DMR-UBZ1」のマーケティングを担当するAVC商品部テレビ・ビデオ商品課の中西智紀氏に、製品の開発背景を聞いた。
「UBZ1」は、13年11月に発売した「BZT9600」の後継機にあたる。これまでプレミアムモデルは、9000番台をナンバリングしてきたが、UHDブルーレイ対応の初号機として新たな名称に変更したという。
「UHDブルーレイでもっともキャッチーなのは4K解像度だが、業界関係者のなかではHDRの注目が高い。階調表現が豊かになるので、映像作品を制作するときの画づくりが根本的に変わる。輝度の表現範囲が0~100nitから0~1000nitに拡張されるので、表現の幅は圧倒的に広がる」(中西氏)と、視聴者側だけでなく制作者側にも大きな変化をもたらす技術との見解を示した。
業界に先駆けてUHDブルーレイ対応機を発売したのは、レコーダー市場をリードするパナソニックのブランド力を高めるのが狙いだ。「ユーザーがDIGAを選択する理由に挙げる“高機能”と“信頼性”をさらに追及するために世界初にこだわった」(同氏)と語る。
世界初ゆえに、新規格の狙いやポイントを予測しなければならない難しさもあった。中西氏は事例として「HDRの定義づけ」を挙げる。「コンテンツメーカーが技術をどのように生かすのか見極める必要があった。どこに価値があるのかが定まらなければ、良い画を生み出すことはできない」。 基準となるサンプルもまだなく、通常の製品開発以上の苦労があったが、レコーダーの頭脳であるプロセッサを自社開発するDIGAの蓄積したノウハウがここで生きた。「単に再生できるレコーダーではなく、新規格の可能性を十分に引き出すマシンに仕上がった」と、その完成度に自信をみせる。
モデルチェンジでアップデートしたのは、UHDブルーレイ対応という側面だけではない。ベースとなる機能の進化にも特筆すべき点がある。
本機に新搭載する4K対応エンジン「4Kリアルクロマプロセッサplus」は、NetflixやYoutubeで配信している4Kネット動画に業界初対応。独自のクロマ処理で、圧縮された色情報を補間し、自然な質感と立体感をもつ映像として出力する。
音質面では、きょう体の設計やパーツを改善。デジタルメイン基板とオーディオ基板、ドライブが分離した3ブロック独立構成や、底面を固定するハイカーボン鋳鉄インシュレータの採用で、ディスクの回転で発生する振動を抑制する。ハイレゾ音源は、これまでは再生のみの対応だったが、保存もできるようになり、同じく新機能の4K60p動画の保存・再生と合わせて、NASとしての機能も向上した。
来たる年末商戦では、プレミアムモデルとレギュラーモデルで異なる訴求軸を用意する。「UBZ1」は“最高の画質と音質”という特出した性能をプッシュするが、全自動録画タイプの「BRX」シリーズやそのほかのモデルは、使いやすさにフォーカスを当てる。
「10月に発売した『BRG2010』は6チューナーを内蔵するモデルだが、単に『チューナー数が多い』というだけではユーザーは魅力を感じない。何ができるのか、どこが便利なのか、という使い方をアピールしていく」(同氏)。
具体的には、複数人でレコーダーを使用する家族をターゲットに、家族それぞれでのチューナーの使い分けを提案する。「家族が何人いるのか?」という切り口から、多チューナーモデルの利便性や安心感を、これまで以上に身近に感じてもらおうという考えだ。
「UHDブルーレイ対応」という最先端技術への目配せだけでなく、こうした一般ユーザーのニーズを深堀りした新しい提案ができるのも「DIGA」の強み。幅広い攻め手でさらなるユーザーの拡大を狙う(BCNランキング 大蔵大輔)
世界初のUltra HDブルーレイ対応レコーダー「DIGA DMR-UBZ1」
UHDの標準規格化に期待
UHDブルーレイとは、現行のブルーレイに代わる新しいディスク規格のこと。DVDの登場が1996年、ブルーレイの登場が2006年。ちょうど10年サイクルで新しい規格が発表されている。UHDブルーレイもこの系譜に連なる標準規格化が期待されている。
DVDからブルーレイへの移行時も、高画質化は飛躍的に進んだが、UHDブルーレイはその再現領域をさらに拡張する。4K解像度(3840×2160ドット)はもちろん、映像業界でトレンドになりつつあるHDR(ハイダイナミックレンジ)にも対応する。4K/8K放送向けに策定された「BT.2020」の広色域信号をサポートするなど、全面的にスペックが引き上がった。
しかし、現時点でUHDブルーレイのコンテンツはまだ登場していない。先行してパナソニックが対応レコーダーを出した狙いはどこにあるのだろうか?「DMR-UBZ1」のマーケティングを担当するAVC商品部テレビ・ビデオ商品課の中西智紀氏に、製品の開発背景を聞いた。
「DMR-UBZ1」のマーケティングを担当するパナソニックAVC商品部テレビ・ビデオ商品課の中西智紀氏
レコーダー市場をリードする企業のプライド
「UBZ1」は、13年11月に発売した「BZT9600」の後継機にあたる。これまでプレミアムモデルは、9000番台をナンバリングしてきたが、UHDブルーレイ対応の初号機として新たな名称に変更したという。
「UHDブルーレイでもっともキャッチーなのは4K解像度だが、業界関係者のなかではHDRの注目が高い。階調表現が豊かになるので、映像作品を制作するときの画づくりが根本的に変わる。輝度の表現範囲が0~100nitから0~1000nitに拡張されるので、表現の幅は圧倒的に広がる」(中西氏)と、視聴者側だけでなく制作者側にも大きな変化をもたらす技術との見解を示した。
業界に先駆けてUHDブルーレイ対応機を発売したのは、レコーダー市場をリードするパナソニックのブランド力を高めるのが狙いだ。「ユーザーがDIGAを選択する理由に挙げる“高機能”と“信頼性”をさらに追及するために世界初にこだわった」(同氏)と語る。
世界初ゆえに、新規格の狙いやポイントを予測しなければならない難しさもあった。中西氏は事例として「HDRの定義づけ」を挙げる。「コンテンツメーカーが技術をどのように生かすのか見極める必要があった。どこに価値があるのかが定まらなければ、良い画を生み出すことはできない」。 基準となるサンプルもまだなく、通常の製品開発以上の苦労があったが、レコーダーの頭脳であるプロセッサを自社開発するDIGAの蓄積したノウハウがここで生きた。「単に再生できるレコーダーではなく、新規格の可能性を十分に引き出すマシンに仕上がった」と、その完成度に自信をみせる。
世界初へのこだわりを語る中西氏
モデルチェンジでアップデートしたのは、UHDブルーレイ対応という側面だけではない。ベースとなる機能の進化にも特筆すべき点がある。
本機に新搭載する4K対応エンジン「4Kリアルクロマプロセッサplus」は、NetflixやYoutubeで配信している4Kネット動画に業界初対応。独自のクロマ処理で、圧縮された色情報を補間し、自然な質感と立体感をもつ映像として出力する。
音質面では、きょう体の設計やパーツを改善。デジタルメイン基板とオーディオ基板、ドライブが分離した3ブロック独立構成や、底面を固定するハイカーボン鋳鉄インシュレータの採用で、ディスクの回転で発生する振動を抑制する。ハイレゾ音源は、これまでは再生のみの対応だったが、保存もできるようになり、同じく新機能の4K60p動画の保存・再生と合わせて、NASとしての機能も向上した。
年末商戦では「BRX」シリーズの使いやすさも訴求
来たる年末商戦では、プレミアムモデルとレギュラーモデルで異なる訴求軸を用意する。「UBZ1」は“最高の画質と音質”という特出した性能をプッシュするが、全自動録画タイプの「BRX」シリーズやそのほかのモデルは、使いやすさにフォーカスを当てる。
「10月に発売した『BRG2010』は6チューナーを内蔵するモデルだが、単に『チューナー数が多い』というだけではユーザーは魅力を感じない。何ができるのか、どこが便利なのか、という使い方をアピールしていく」(同氏)。
具体的には、複数人でレコーダーを使用する家族をターゲットに、家族それぞれでのチューナーの使い分けを提案する。「家族が何人いるのか?」という切り口から、多チューナーモデルの利便性や安心感を、これまで以上に身近に感じてもらおうという考えだ。
「UHDブルーレイ対応」という最先端技術への目配せだけでなく、こうした一般ユーザーのニーズを深堀りした新しい提案ができるのも「DIGA」の強み。幅広い攻め手でさらなるユーザーの拡大を狙う(BCNランキング 大蔵大輔)