パイオニアが最上位AVアンプ「SCシリーズ」、Dolby AtmosやHDRに対応

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2015/09/11 12:18

 オンキヨー&パイオニアは、「Pioneer」ブランドのネットワーク対応AVアンプ「SCシリーズ」の新モデル3機種を10月中旬に発売する。価格はオープンで、税込実勢価格は最上位モデル「SC-LX89」が39万5000円前後、「SC-LX79」が29万5000円前後、「SC-LX59」が21万円前後の見込み。


立体音響の再現性を極限まで追求した「SC-LX89」

 発表に先駆けて開催された内覧会で、マーケティング部の佐藤誠部長は、オンキヨーとパイオニアが合併した2014年9月以降の製品開発について言及。「合併によるシナジーを生み出すために、それぞれの音響メーカーのもち味とはなんだろう、ということを協議し続けている。これまでのブランドファンに満足してもらえるような製品を生み出す仕組みづくりを模索している」と、両社の高い技術力が融合することへの期待を語った。 

 そのうえで、「Pioneer」ブランドが理念として掲げる「Multi-Channel Stereophonic Philosophy」、すなわち「理想のマルチチャンネル再生の追求」は継続して研鑽することを約束。リニューアルした「SCシリーズ」でも、最新フォーマットや規格に対応しつつ、妥協なき高音質設計に取り組んだ。 
 


「パイオニア・オンキヨー合併によるシナジーに期待している」と語る佐藤誠部長

 すべてのチャンネルの音を同一条件でパワフルに出力する「ダイレクト エナジーHDアンプ」と、高精度の音場補正技術「MCACC Pro」を最大の特徴とする「SCシリーズ」。最新フォーマットの「Dolby Atmos」や「DTS:X」といったオブジェクトオーディオにも最適化しており、作品を生み出したクリエイターの意図に忠実なサラウンドサウンドを再現する(「DTS:X」にはアップデートで対応)。標準で9.2ch、別途2ch分のパワーアンプを追加することで、11.2chのプリアウトに対応。ユーザーが構築するあらゆるサラウンド環境で利用できる自由度の高さも売りだ。 
 


立体音響の最新フォーマット「Dolby Atmos」や「DTS:X」に対応

 表現力を高める新規音質パーツも多数搭載。高品位のカスタム電解コンデンサーを積んだ「ダイレクト エナジーHDアンプ」だけでなく、セパレート構成でノイズを遮断する小信号部と大電力部、アンプの高音質化をサポートする「シールドDC/DCコイル」など、徹底して音質にこだわった。 

 本体構造にもこだわりは反映されている。パワー部とシャーシの間は「インシュレーテッド・デュアルシャーシ(絶縁体によるフローティング構造)」を採用することで、回路間の干渉や振動を抑制。底面には、音の定位や音数・音階を明確にする新開発の「定位波制御インシュレーター」を配置し、空間の描写力を高めた。 
 


絶縁体によるフローティング構造で、回路間の干渉や振動を抑制

 ネットワーク機能の充実も新モデルのポイントで、Wi-Fiは2.4GHzだけでなく5GHzのデュアルバンドに対応。より高音質なネットワークオーディオによるハイレゾ再生が可能になった。 

 また、同社のBlu-rayディスクプレーヤー「BD-LX」で培った高画質技術をAVアンプにも展開。新機能「Super Resolution」で、4K映像の視聴環境でビデオクオリティを一段引き上げる。次世代規格のHDR(High Dynamic Range)やBT.2020信号の伝送にも対応し、将来的な映像の輝度や色領域の拡張にも十分耐えうるスペックに仕上がっている。 
 


HDRやBT.2020信号の伝送に対応

 内覧会では「SC-LX89」を利用し、地上波放送や映像ソフト、音楽ソフトのコンテンツのデモを実施。スポーツやコンサートの映像ソフトでは、現場に立ち会っているような音の全方位への音の広がりを肌で感じ取ることができた。一方、派手な爆発音が飛び交う映像作品では、「静」と「動」が混在するシーンにおける音のメリハリが印象的。強弱の適正なコントロールが、作品のダイナミズムを高めていた。コンテンツごとに適正な音響空間を生み出すことも「SCシリーズ」の強み。「あらゆるコンテンツや視聴環境に対応することで、より多くのユーザーに届けたい」という開発陣の思いが伝わってきた。