ビック初の自転車店、若い客層狙う、9月4日のオープンは好調

ニュース

2015/09/08 18:50

 ビックカメラが9月4日にオープンした「ビックカメラ アウトレット町田店」は、店舗に入ってすぐに同社初の自転車専門店「BIC CYCLE 町田店」をレイアウトしたところに、新しい店舗戦略が反映されている。


開店の午前11時時点で約600人が集まった「ビックカメラ アウトレット町田店」


1階と2階のアウトレット売り場は多くの人でにぎわった

若い客層とリピーターの獲得狙う

 BCNランキングで既報したとおり、「ビックカメラ アウトレット町田店」は東京・町田のJR町田駅近くの「Tip´s町田ビル(7階)」内の1階と2階(総売場面積約1200平方メートル)にテナントで入る。アウトレットのほか自転車専門店「BIC CYCLE 町田店」とワインやビール、酒などを販売する「ビック酒販 町田店」の3社合同で運営する。 
 


店舗の入口正面に広がる「BIC CYCLE 町田店」

 中でも若い年代の客層とリピーターの獲得を狙ってオープンした「BIC CYCLE 町田店」の戦略が目を引く。町田駅は、大学が多い八王寺市から近く、同じく大学が多い私鉄の小田急線も乗り入れていることもあり、駅周辺は学生などの若い客でにぎわう。 

 そこで今回、看板も新しくして「BIC CYCLE 町田店」として専門店をオープンした。店内は、若者に人気のクロスバイクやロードバイクなど、スポーツサイクルやアクセサリー類の品揃えを意識して増やしている。サドルやハンドル、車輪周りのアクセサリー類の展示は、メンテナンスやリピート客の来店頻度を増やす効果も生む。 

 「アクセサリーの展示場は、ほかの店の倍のスパン(展示列)をとっていて、ハイエンドのユーザーにも対応できる。若い女性が気軽に立ち寄ってもらえるように、カラフルにしておしゃれに見えるコーナーづくりを目指した」と、売り場づくりの狙いについて「BIC CYCLE 町田店」の安部浩史担当は語る。 
 


自転車安全整備士の資格を持つ「BIC CYCLE 町田店」の安倍浩史担当

20年前とは自転車ユーザーの環境も変化

 安部担当はこれまでも池袋本店でスポーツを担当し、自転車安全整備士の資格を持つ。ほかにも、スポーツ用自転車の整備ができるSBBAという有資格者1人も含めて計3人体制で運営する。 

 もちろん、ファミリー層や子育て層向けの電動自転車も取り扱う。だが、家電量販店の次世代の新しいターゲットを創出するためにも、若い客層の囲い込みは急務で、そうした層を意識した品揃えを前面に押し出している。 

 ビックカメラでは約20年前から池袋本店で自転車を扱い始めたが、当時は子育て層をターゲットにした自転車や電動自転車がメインで、スポーツサイクルは今ほどブームではなかった。しかし、今では若い人だけでなく、定年後のアクティブエルダー層も健康を維持する目的でロードバイクなどを乗りこなす。当時よりも健康のためにサイクリングを楽しむ人口が増えている変化をとらえた戦略というわけだ。 
 


カラフルな売り場づくりとアクセサリー類の充実で若い女性の集客やリピートを狙う

アウトレットは「価格」でヨドバシに対抗?

 「アウトレット町田店」は同社最大級の約2万アイテム以上の品揃えで、新商品の入れ替えに伴う旧モデルの展示品などを安価で提供する。プライスカードは簡単にめくれるようになっており、下にはビックカメラで新品で売られたときの価格が表示してある。 

 たとえば、昨年11月に発売された東芝の4K対応テレビ「43J10X」の表示価格9万9800円(税抜)をめくると、下には24万9800円の文字が。店頭展示品とはいえ15万円も安くなっている。町田駅の反対側の南口にはヨドバシカメラのマルチメディア町田店がそびえたつ。「アウトレットなのでヨドバシカメラとすみわけができる」(同社)と語るが、「衝撃価格」からは明らかに価格でヨドバシに挑もうとする対決姿勢が伝わってくる。 
 


「未使用開封品」や「展示品」などアウトレットの理由を分かりやすく表示

 ほかにも、お客宅に運んだけどサイズが合わずに返却された「未使用開封品」や、初期の不具合をメーカーが少し直した「リファービッシュ品」(調整品)などのステッカーが貼ってあり、商品を見ただけで「品質」が分かる仕組みになっている。 

 売り場のポイントについてビックアウトレット町田店の関根俊介店長は、「高校生や大学生などの若い客層を意識してビューティ家電を池袋本店の約1.2倍の品揃えをしている」と説明する。 
 


ビックアウトレット町田店の関根俊介店長

 関根店長はアウトレット有楽町店(JR高架工事のため閉店)のオープン当時のにぎわいも知るが、「オープン初日はそのときと同じぐらいの活気がある。午前中だけでもビューティ家電のほか、テレビとレコーダーもよく売れた」と手ごたえを感じている。社員は15人体制。総売場面積1200平方メートルのうちアウトレット店は1000平方メートルと多くを占める。 
 

酒販では豊富なビールの品揃えと試飲イベントも

 最後にビック酒販町田店では世界各国のクラフトビールを揃えるなど、こちらも若者を意識した品ぞろえ。フルーティな味わいで若い女性から人気の国産クラフトビール「水曜日のネコ」などは、目線の高さのゴールデンゾーンに展示されていた。ワインやウイスキー、日本酒など約2000種類の豊富な品ぞろえだ。 
 


若い女性客を意識したフルーティな味わいの国産クラフトビール「水曜日のネコ」をPOP付きで訴求

 ビック酒販はエスカレーターで2階に上った正面にあり、ワインの試飲イベントを実施するなどして来店客とのコミュニケーションを図る。たまったポイントを酒類の購入に使うことも可能だ。 
 


オープンの9月4日~6日はワイン試飲会を実施


ビック酒販 町田店の松野範成担当

 町田駅周辺にはアウトレット店がなく、競合は見当たらない。自転車専門店とアウトレット、酒類販売によるビックカメラのグループ総力戦で、どこまでユーザーを囲い込めるか。次の店舗展開の試金石としても重要な店舗であることは間違いない。(BCNランキング 細田立圭志)