<IFA2015レポート>4K・ハイレゾの見所を振り返る
毎年IFAが開催されるドイツ・ベルリンの展示会場メッセ・ベルリン
欧州市場にも着実に浸透する4K HDRも次のトレンドに
「コンテンツがないのに、4Kテレビなんていらない」。日本でもつい最近まで4Kテレビの必要性に対して、こう懐疑的になっていた人々も、いまではちょっと贅沢な暮らしをかなえてくれる4Kテレビが欲しいと思っているのではないだろうか。もちろん生産がこなれて値段が落ち着いてきたからという理由が背景にはあるのだが、それでも国内での4Kテレビの普及、認知の拡大は速かった。ヨーロッパでも同じことがいま、起こりつつある。
ベルリン市内にあるサターンやメディアマルクトといった、日本国内でいうところの大手家電量販店のテレビコーナーに足を運ぶと、代表的なテレビメーカーのさまざまな薄型テレビが並んでいるが、店頭に視聴機が置かれ、イチオシの商品として紹介されているのは各ブランドの4Kテレビだ。
IFAで4Kテレビが展示され始めたのは2012年頃からのことだが、当時は各社とも先進技術の粋を集めたフラグシップとして紹介していた。ところが今年のIFAではテレビメーカーの中上位に位置づく主力機種はほぼ4Kモデル。反対に、フルHDの製品をわざわざこのIFAで紹介しているメーカーは少なかった。
4Kテレビのネクスト・ステップとして、各社が取り上げていた「HDR(ハイダイナミックレンジ)」の技術についてはそれぞれのブースに技術解説と現行機種とのイメージ比較のスペースを設けている。さすがにHDRについてはまだコンテンツが十分に揃っておらず、既に対応しているテレビも少ないが、サムスン電子はIFAを舞台に同社の主力ラインアップである4Kテレビの「SUHDシリーズ」を近く全機種アップデートによりHDR対応としていくことを宣言した。
サムスンの4Kテレビも近くアップデートでHDR対応になる予定
次世代BDディスクに関連する発表もあった
HDRといえば8月24日に規格のライセンシングがスタートした「Ultra HD Blu-ray」について、パナソニックやソニーがどんな発表を行うのか期待されていたが、パナソニックは試作機のモックアップを展示するまでに留め、ソニーについてはハードもソフトも関連する発表はなかった。
パナソニックのブースに展示されたHDRのデモンストレーションとUltra HD Blu-ray対応プレーヤーの試作機のモックアップ
サムスンが展示したUltra HD Blu-ray対応プレーヤーは試作機ながら映像を見せるデモも行っていた
パナソニックが高画質4K有機ELテレビをヨーロッパで発売へ
もうひとつ4Kまわりの製品で、今年のIFAで大いに注目を浴びた製品がある。パナソニックが10月にヨーロッパで発売する有機ELテレビ「TX-65CZ950」だ。
パナソニックの有機ELテレビ「TX-65CZ950」
これまで有機ELテレビといえばLG電子が力を入れてきたカテゴリー。今年のブースも壁面いっぱいに有機ELを並べたインスタレーションを実施
パナソニックのブースの入口に展示されていた実機には期間中人だかりが途絶えることがなかったほど。有機ELの家庭用テレビといえば、日本国内でもLGエレクトロニクスが商品を発売しているが、ここにパナソニックが加わって、とくにハイエンド画質のテレビとして人気が定着してくれば、他社も黙って手をこまねいていないはずだ。HDRとともにテレビ市場を活性化する先進技術の発展に期待したい。
ハイレゾ対応の手頃なポータブルオーディオプレーヤーが目白押し
オーディオのハイライトは何と言っても「ハイレゾ」である。ハイレゾの人気は日本を中心としたアジア地域だけのものと言われることもあるが、少なくともIFAに集まってくる来場者はハイレゾ関連の商品を大いに気にしているし興味を持っている。ブースの試聴展示の賑わい振りを見れば明らかだ。
テクニクスブランドからまた注目の新製品が登場する
コンパクトサイズと臨場感溢れる音を再現する“OTTAVA”(オッターバ)
ヘッドホン新製品「EAH-T700」
ソニーのウォークマン「NW-ZX100」
エントリーモデルの後継機となる「NW-A20」
h.earシリーズのオンイヤーヘッドホン
ウォークマンとヘッドホン、イヤホンのカラーマッチを狙っている
オンキヨーのハイレゾ対応ポータブルオーディオプレーヤー「DP-X1」
パイオニアも初のハイレゾ対応コンパクトプレーヤー「XDP-100R」を11月に発売する