自動運転の次を狙うDeNA、まずは不安の払拭と理解促進から
DeNAは5月28日、先日発表した自動運送技術を活用した旅客運送事業「ロボットタクシー」の具体的な戦略と、スマートフォン(スマホ)向けカーナビアプリ「ナビロー」の提供を発表した。
DeNAは、新たな注力事業の一つとして自動車関連事業を位置付けている。5月12日に、ロボットベンチャー企業・ZMPとともに、ロボットタクシーの設立を発表し、新規事業への参入を宣言した。今回の会見では、さまざまな業界から挙がった「DeNAがなぜいま自動車産業?」という疑問に、事業戦略を交えて回答した。
オートモーティブ事業を統括する中島宏執行役員は「自動車産業は、いま遅れてきた“IT革命”に晒されている」と、業界の現状を説明。「携帯電話でいうと、まだiモードが登場したような段階。ソフトウェアや周辺産業はまだ発展途上で、ここに大きなビジネスチャンスがあると考えた」と新規参入の理由を語った。また、日本社会の根幹を支える自動車産業に貢献したいという思いもある。「自動車産業が崩壊すれば、日本は大きなダメージを受ける。多くのパートナー企業と盛り上げていくことで、世界と勝負できる」と、ジャパンブランドの競争力強化を大きな目標に掲げた。
DeNAが事業を展開する分野は、自動車周辺のソフトウェアやサービスだ。「自動運転技術はすでに各国で開発が進んでおり、近い将来に確立される技術だと考えている。これが当たり前になると、今度は“自動運転技術”の競争から“ユーザー体験領域”の競争に移行するはずだ」と、次世代の自動車産業がたどる道筋を提示。「われわれが勝負していくのはこの領域。DeNAはグローバル企業、例えば自動運転カー開発を進めるGoogleにも対抗できると考えている」と、自動運転が実現した未来の先を見据えた戦略を語った。
マネタイズやビジネスモデルの確立はまだこれからだが、DeNAの得意とする横(パートナー企業)との連携を生かした事業展開を模索するという。「まずは実績を積み重ね、われわれと協業したいという企業を増やしていきたい」と長期的なプランを明かした。最大の課題として挙げたのは「法令の規制」。世界では改正に向けて大きく動いているが、日本ではこれがいつの時期になるか、ということを不安視しているという。また、社会で受容してもらえるかという点も不安材料として挙げ、「無人自動車を怖いと感じる人を減らし、いかに便利で、安全で、楽しい技術か理解を促すことも重要だ」と付け加えた。
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自動車事業の戦略を説明した後には、28日から提供を開始するスマートフォン向けカーナビアプリ「ナビロー」を紹介。ナビローを開発するDeNAロケーションズの津島越朗社長は「カーナビ以上を無料のアプリで」というコンセプトを説明し、従来のナビアプリとは一線を画すものであることを強調した。「目的地設定や自動地図更新など、カーナビとしての基本機能はもちろん、スマホだからこそ搭載できるソーシャル要素やエンタテインメント要素など、独自の機能を盛り込んだ」と魅力を語った。
まず、リアルタイムでのVICS渋滞情報やイラストによる分岐案内、音声案内などナビに必要な機能を搭載。さらに、スマホならではの特徴として、最新地図の自動更新やGPS情報の高精度での表示に対応し、車を降りた後の徒歩でのルートまで案内してくれるのが特徴だ。
また、スマートフォンに内蔵するカメラをフルに活用し、運転中の映像や音声を記録するドライブレコーダー機能や、スマホ画面に映る前方道路上にルート案内を重ねるARモードも備える。特許を取得した「ビーラインテクノロジー」により、既存のナビアプリと比較してパケット通信料を1/10に抑制するので、通信費を気にせずにナビを利用することができる。
ユニークなのは、DeNAならではの強みを生かしたソーシャル機能。ハチの巣のように正六角形のタイルを並べたハニカム構造のUI(ユーザーインターフェース)を採用し、現在地を中心に一度訪問した場所や目的地の距離と方角を直感的に表示する。おすすめの場所やドライブコースはハニカムに集約してシェアすることができる。今夏から対応予定なのが、ルート案内の音声をカスタマイズできる「ナビ声」。方言や著名人の声を用意しており、ナビを楽しみながらドライブできるようなる。
OSはAndroid 4.0.3以降、iOS 7.0以降に対応。価格は無料で、将来的には有料コンテンツも実装する予定だ。Android版は配信中で、iOS版は近日中にリリースする。
株式会社ロボットタクシー(仮)の谷口会長(ZMP代表取締約社長)と中島宏社長(DeNA執行役員)
DeNAが狙うのは自動運転の“ユーザー体験領域”
DeNAは、新たな注力事業の一つとして自動車関連事業を位置付けている。5月12日に、ロボットベンチャー企業・ZMPとともに、ロボットタクシーの設立を発表し、新規事業への参入を宣言した。今回の会見では、さまざまな業界から挙がった「DeNAがなぜいま自動車産業?」という疑問に、事業戦略を交えて回答した。
自動車事業参入の狙いを語る中島執行役員
オートモーティブ事業を統括する中島宏執行役員は「自動車産業は、いま遅れてきた“IT革命”に晒されている」と、業界の現状を説明。「携帯電話でいうと、まだiモードが登場したような段階。ソフトウェアや周辺産業はまだ発展途上で、ここに大きなビジネスチャンスがあると考えた」と新規参入の理由を語った。また、日本社会の根幹を支える自動車産業に貢献したいという思いもある。「自動車産業が崩壊すれば、日本は大きなダメージを受ける。多くのパートナー企業と盛り上げていくことで、世界と勝負できる」と、ジャパンブランドの競争力強化を大きな目標に掲げた。
DeNAが事業を展開する分野は、自動車周辺のソフトウェアやサービスだ。「自動運転技術はすでに各国で開発が進んでおり、近い将来に確立される技術だと考えている。これが当たり前になると、今度は“自動運転技術”の競争から“ユーザー体験領域”の競争に移行するはずだ」と、次世代の自動車産業がたどる道筋を提示。「われわれが勝負していくのはこの領域。DeNAはグローバル企業、例えば自動運転カー開発を進めるGoogleにも対抗できると考えている」と、自動運転が実現した未来の先を見据えた戦略を語った。
マネタイズやビジネスモデルの確立はまだこれからだが、DeNAの得意とする横(パートナー企業)との連携を生かした事業展開を模索するという。「まずは実績を積み重ね、われわれと協業したいという企業を増やしていきたい」と長期的なプランを明かした。最大の課題として挙げたのは「法令の規制」。世界では改正に向けて大きく動いているが、日本ではこれがいつの時期になるか、ということを不安視しているという。また、社会で受容してもらえるかという点も不安材料として挙げ、「無人自動車を怖いと感じる人を減らし、いかに便利で、安全で、楽しい技術か理解を促すことも重要だ」と付け加えた。
DeNAの培ったソフトウェアに関する技術を生かし、自動車分野においても多岐にわたるビジネスを同時に展開していく
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「カーナビ以上」を無料アプリで! スマホだからできるナビを提供
自動車事業の戦略を説明した後には、28日から提供を開始するスマートフォン向けカーナビアプリ「ナビロー」を紹介。ナビローを開発するDeNAロケーションズの津島越朗社長は「カーナビ以上を無料のアプリで」というコンセプトを説明し、従来のナビアプリとは一線を画すものであることを強調した。「目的地設定や自動地図更新など、カーナビとしての基本機能はもちろん、スマホだからこそ搭載できるソーシャル要素やエンタテインメント要素など、独自の機能を盛り込んだ」と魅力を語った。
「スマホだからできる機能を追求した」とナビローの特徴を説明する津島社長
まず、リアルタイムでのVICS渋滞情報やイラストによる分岐案内、音声案内などナビに必要な機能を搭載。さらに、スマホならではの特徴として、最新地図の自動更新やGPS情報の高精度での表示に対応し、車を降りた後の徒歩でのルートまで案内してくれるのが特徴だ。
スマホ向けカーナビアプリ「ナビロー」
また、スマートフォンに内蔵するカメラをフルに活用し、運転中の映像や音声を記録するドライブレコーダー機能や、スマホ画面に映る前方道路上にルート案内を重ねるARモードも備える。特許を取得した「ビーラインテクノロジー」により、既存のナビアプリと比較してパケット通信料を1/10に抑制するので、通信費を気にせずにナビを利用することができる。
特許取得の「ビーラインテクノロジー」で省パケットを実現
ユニークなのは、DeNAならではの強みを生かしたソーシャル機能。ハチの巣のように正六角形のタイルを並べたハニカム構造のUI(ユーザーインターフェース)を採用し、現在地を中心に一度訪問した場所や目的地の距離と方角を直感的に表示する。おすすめの場所やドライブコースはハニカムに集約してシェアすることができる。今夏から対応予定なのが、ルート案内の音声をカスタマイズできる「ナビ声」。方言や著名人の声を用意しており、ナビを楽しみながらドライブできるようなる。
DeNAらしくソーシャル要素を実装している
OSはAndroid 4.0.3以降、iOS 7.0以降に対応。価格は無料で、将来的には有料コンテンツも実装する予定だ。Android版は配信中で、iOS版は近日中にリリースする。