【CES ASIA】上海に車とIoTの最新機器が集結、気がかりな日本企業不在
【上海発】全米家電協会(CEA)がアジアで初めて開催するコンシューマー・エレクトロニクス・ショー・アジア(CES ASIA)が中国・上海で5月25日から3日間行われ、250社以上が出展し1万5000人以上が参加した。27日は一般にも公開された。
会場は上海浦東新区にある「上海新国際博覧センター(SNIEC)」。室内の総展示面積20万平方メートル、室外の総展示面積10万平方メートルにおよぶ巨大な国際展示場だ。全部で17あるホールのうち2つのホールを使っての開催。同時開催の金属切削機械や金型などの見本市「Die & Mould China 2015」が5つのホールを使って行っているのに比べ、かなり小規模だ。ラスベガスで開催される本家のCESやベルリンで開催されるIFAに比べても相当小ぶりだが、会場は中国市場の熱気を象徴するように多くの来場者であふれていた。
今回の「CES ASIA」の最大のテーマは車とIoT(モノのインターネット)だ。フォルクスワーゲンやフォード、アウディといった自動車メーカーのブースは、中国有数の家電メーカーであるハイセンスや、IoTをけん引するインテルよりも大きい。世界の自動車メーカーが中国市場に寄せる期待の大きさを物語っている。
中国市場での新車販売の勢いは一時期に比べ鈍化しているともいわれている。だが、その分、中古車市場が拡大しており、モータリゼーションの勢いは持続しているという。車とテクノロジーが融合する中国市場は、世界最大の消費市場ともいうことができるだろう。
自動車各社が前面に押し出しているのは、自動運転や自動車庫入れのような自動制御の進化だ。もちろん自動車がインターネットにつながるIoTの流れは根底にあるものの、焦点はそれを応用し、さらに進んだ完全自動運転が当たり前の時代。実現はもう目前に迫っている。
奇しくもメルセデスベンツは映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー2」、アウディは映画「アイロボット」を引き合いに出して、まさに「Science Fiction Comes True」を表現していた。アウディは今回発表した自動運転のコンセプトカー「R8 e-トロン」を、上海でテスト走行した動画をブース公開しており、中国で一気に自動運転車の普及が進む可能性を感じさせた。
もちろん、車以外にもウェアラブル機器や3Dゴーグル、ホームオートメーション機器やドローンなどの出展も多数あった。しかし、PCやスマートフォン(スマホ)、タブレットといった汎用情報デバイスの出展は少なく人もまばら。IT技術がディスプレイから飛び出して、一気に現実の世界に拡散し始めた感を新たにした。
ここで気がかりなのは日系企業の少なさだ。今回出展しているのは「Dentsu Aegis(Shanghai)Investment」と「オーディオテクニカ」の2社だけ。こうした見本市のキーノートスピーチの会場で、幕間に流すスライドショーには、各国語で「ようこそ」の文字を表示させる演出がよく見られるが、CES ASIAには日本語の表記はない。
インターネットの発達で見本市の役目は終わったとの意見もあるが、IoTの進展で「モノ」が主役になりはじめた。現物を見る場の重要度は再び増している。初回ということもあり、日系企業各社は様子見をしているのかもしれないが、アジア初のCESに日本企業の存在感がないというのは、ある種、危機的な状況ではないだろうか。
一方頑張っていたのは、日本でも有数のオーディオメーカーで6年連続、BCN AWARDを受賞しているヘッドホン・イヤホンのトップシェアメーカー、オーディオテクニカ。2つのホールにそれぞれブースを構える熱の入れようだ。歴代の製品の展示なども通じて伝統ある日本企業であることを表現、これからさらに中国市場に切り込んでいく意気込みが感じられた。(道越一郎)
入場者でごった返すCES ASIA会場の上海新国際博覧センター
会場は上海浦東新区にある「上海新国際博覧センター(SNIEC)」。室内の総展示面積20万平方メートル、室外の総展示面積10万平方メートルにおよぶ巨大な国際展示場だ。全部で17あるホールのうち2つのホールを使っての開催。同時開催の金属切削機械や金型などの見本市「Die & Mould China 2015」が5つのホールを使って行っているのに比べ、かなり小規模だ。ラスベガスで開催される本家のCESやベルリンで開催されるIFAに比べても相当小ぶりだが、会場は中国市場の熱気を象徴するように多くの来場者であふれていた。
まずは車で「Science Fiction Comes True」
今回の「CES ASIA」の最大のテーマは車とIoT(モノのインターネット)だ。フォルクスワーゲンやフォード、アウディといった自動車メーカーのブースは、中国有数の家電メーカーであるハイセンスや、IoTをけん引するインテルよりも大きい。世界の自動車メーカーが中国市場に寄せる期待の大きさを物語っている。
中国市場での新車販売の勢いは一時期に比べ鈍化しているともいわれている。だが、その分、中古車市場が拡大しており、モータリゼーションの勢いは持続しているという。車とテクノロジーが融合する中国市場は、世界最大の消費市場ともいうことができるだろう。
フォルクスワーゲンは外の展示スペースを使って自動車庫入れをデモンストレーション
自動車各社が前面に押し出しているのは、自動運転や自動車庫入れのような自動制御の進化だ。もちろん自動車がインターネットにつながるIoTの流れは根底にあるものの、焦点はそれを応用し、さらに進んだ完全自動運転が当たり前の時代。実現はもう目前に迫っている。
奇しくもメルセデスベンツは映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー2」、アウディは映画「アイロボット」を引き合いに出して、まさに「Science Fiction Comes True」を表現していた。アウディは今回発表した自動運転のコンセプトカー「R8 e-トロン」を、上海でテスト走行した動画をブース公開しており、中国で一気に自動運転車の普及が進む可能性を感じさせた。
開幕前日に発表されたアウディの自動運転コンセプトカー「R8 e-トロン」
ITがディスプレイを飛び出した。しかし熱気の渦に日本企業は不在
もちろん、車以外にもウェアラブル機器や3Dゴーグル、ホームオートメーション機器やドローンなどの出展も多数あった。しかし、PCやスマートフォン(スマホ)、タブレットといった汎用情報デバイスの出展は少なく人もまばら。IT技術がディスプレイから飛び出して、一気に現実の世界に拡散し始めた感を新たにした。
時計型のウェアラブルデバイスは数多くさまざまな種類の製品が出展されていた
3Dゴーグルもさまざまな出展が見られた
ここで気がかりなのは日系企業の少なさだ。今回出展しているのは「Dentsu Aegis(Shanghai)Investment」と「オーディオテクニカ」の2社だけ。こうした見本市のキーノートスピーチの会場で、幕間に流すスライドショーには、各国語で「ようこそ」の文字を表示させる演出がよく見られるが、CES ASIAには日本語の表記はない。
日本語の「ようこそ」がないことが、日本企業の不在を象徴
インターネットの発達で見本市の役目は終わったとの意見もあるが、IoTの進展で「モノ」が主役になりはじめた。現物を見る場の重要度は再び増している。初回ということもあり、日系企業各社は様子見をしているのかもしれないが、アジア初のCESに日本企業の存在感がないというのは、ある種、危機的な状況ではないだろうか。
一方頑張っていたのは、日本でも有数のオーディオメーカーで6年連続、BCN AWARDを受賞しているヘッドホン・イヤホンのトップシェアメーカー、オーディオテクニカ。2つのホールにそれぞれブースを構える熱の入れようだ。歴代の製品の展示なども通じて伝統ある日本企業であることを表現、これからさらに中国市場に切り込んでいく意気込みが感じられた。(道越一郎)
2つのブースを構え存在をアピールするオーディオテクニカ