メルコ、2015年3月期の決算は減収増益、高付加価値製品で巻き返しを図る
メルコホールディングス(牧寛之社長)が4月27日に発表した2015年3月期の決算は、主力機器の低迷で苦戦したが経費削減効果で減収増益となった。売上高は前年同期比18.4%減の826億円、営業利益が24.9%増の35億円、経常利益が24.6%減の45億円、純利益が49.6%増の32億円。国内における消費増税後の買控えや海外向けに展開している低収益製品を自主的に販売抑制したことで、周辺機器の売上高が大幅に減ったが、高付加価値製品の販売強化や販管費削減が奏功し増益になった。
中核となるブランドメーカーのバッファローやシー・エフ・デー販売などが展開するメイン事業の周辺機器部門の売上高は791億円で、前年同期に比べ19.9%の減収。消費増税後の余波で個人消費の低迷や、子会社の決算期変更、海外向けの低収益製品の販売の戦略的抑制が影響した。主に外付けHDDは、欧州を中心に海外向けで、コンシューマ向けの低収益製品の販売を抑制し、高付加価値の法人向けにシフト転換してきた。来期以降は、法人向けを強化することで増収に転じるという。
15年3月期は、コンシューマ向け法人向けともに利益率の改善を重点的に取り組んだ。PCやテレビの周辺機器、ネットワーク関連機器など、各分野で開発した最先端のテクノロジや規格に対応する高付加価値製品が利益増に貢献した。また、円安対策として原価低減活動も継続的に実施し、コストダウン・ロスコストで約8億円、販管費削減で約20億円を削減した。
来期の年間業績見通しは、市況や消費傾向の変化を考慮し、今期と比較して回復基調にあると予測。16年3月期の売上高は同期比5.4%増の870億円、営業利益が36.7%増の48億円、経常利益が25.2%増の56億円、純利益が13.7%増の36億円を見込む。消費増税反動の収束に加え、4Kを中心にテレビが国内・海外ともに回復傾向にあるため、HDDを中心に需要が伸長するとみている。データ容量の大きい4Kコンテンツやハイレゾ音源の拡大も、この流れを後押しする要因として期待を寄せている。
決算会見で松尾民男副社長は「従来はPCやテレビの周辺機器を中心に事業を推進してきたが、PCやテレビ自体が伸び悩むなかで、周辺機器が伸びるはずはない。今後はIoT(Internet of Things)時代を見据えて、ネットワーク関連の機器やサービスを成長の柱としたい」と、注力分野を拡大していく方針を示した。来期の増収にも、このネットワーク関連機器が大きく寄与すると予測しており、継続して無線LANやNASなどの分野で競争力のある製品を投入していく。
新規カテゴリで拡大している分野としてクローズアップしたのは、無線LANの「中継器」だ。中継機市場は、14年に月100台以下だったが、月8000台程度に拡大していると推計した。離れたフロアや階をまたいで快適なネットワーク環境を実現する用途以外に、中継器によって使用アクセスを設定し、家族間でのプライバシーを保護するニーズも生まれているという。
このほか、ハイレゾオーディオ専用NASブランド「DELA」やフォトストレージ「おもいでばこ」など、新規カテゴリ製品の創出にも注力する。総合周辺機器メーカーとして培ってきたテクノロジとノウハウを、多方面に活用することで、強固な事業ポートフォリオを構築し、中長期的な成長を目指す。(BCNランキング・大蔵大輔)
メルコホールディングスの2015年3月期決算説明会
中核となるブランドメーカーのバッファローやシー・エフ・デー販売などが展開するメイン事業の周辺機器部門の売上高は791億円で、前年同期に比べ19.9%の減収。消費増税後の余波で個人消費の低迷や、子会社の決算期変更、海外向けの低収益製品の販売の戦略的抑制が影響した。主に外付けHDDは、欧州を中心に海外向けで、コンシューマ向けの低収益製品の販売を抑制し、高付加価値の法人向けにシフト転換してきた。来期以降は、法人向けを強化することで増収に転じるという。
15年3月期は、コンシューマ向け法人向けともに利益率の改善を重点的に取り組んだ。PCやテレビの周辺機器、ネットワーク関連機器など、各分野で開発した最先端のテクノロジや規格に対応する高付加価値製品が利益増に貢献した。また、円安対策として原価低減活動も継続的に実施し、コストダウン・ロスコストで約8億円、販管費削減で約20億円を削減した。
各分野に高付加価値製品を投入
来期の年間業績見通しは、市況や消費傾向の変化を考慮し、今期と比較して回復基調にあると予測。16年3月期の売上高は同期比5.4%増の870億円、営業利益が36.7%増の48億円、経常利益が25.2%増の56億円、純利益が13.7%増の36億円を見込む。消費増税反動の収束に加え、4Kを中心にテレビが国内・海外ともに回復傾向にあるため、HDDを中心に需要が伸長するとみている。データ容量の大きい4Kコンテンツやハイレゾ音源の拡大も、この流れを後押しする要因として期待を寄せている。
決算会見で松尾民男副社長は「従来はPCやテレビの周辺機器を中心に事業を推進してきたが、PCやテレビ自体が伸び悩むなかで、周辺機器が伸びるはずはない。今後はIoT(Internet of Things)時代を見据えて、ネットワーク関連の機器やサービスを成長の柱としたい」と、注力分野を拡大していく方針を示した。来期の増収にも、このネットワーク関連機器が大きく寄与すると予測しており、継続して無線LANやNASなどの分野で競争力のある製品を投入していく。
「周辺機器メーカーから脱却し、IoT時代を見据えた幅広い事業を展開していく」と語る松尾副社長
新規カテゴリで拡大している分野としてクローズアップしたのは、無線LANの「中継器」だ。中継機市場は、14年に月100台以下だったが、月8000台程度に拡大していると推計した。離れたフロアや階をまたいで快適なネットワーク環境を実現する用途以外に、中継器によって使用アクセスを設定し、家族間でのプライバシーを保護するニーズも生まれているという。
このほか、ハイレゾオーディオ専用NASブランド「DELA」やフォトストレージ「おもいでばこ」など、新規カテゴリ製品の創出にも注力する。総合周辺機器メーカーとして培ってきたテクノロジとノウハウを、多方面に活用することで、強固な事業ポートフォリオを構築し、中長期的な成長を目指す。(BCNランキング・大蔵大輔)