<地域No.1店舗の売れる秘訣・まとめ 家電量販店編>「来店したい」店づくりで地域No.1に 顧客が絶大な信頼を置く接客もカギ
2013年10月から連載を開始し、これまで70を超える店舗を紹介してきた「地域No.1店舗の売れる秘訣 あの人気店はこうしてつくられた」。今回は、これまで取り上げた店舗のなかで、とくにユニークな策を講じて売り上げや顧客を増やしている家電量販店を紹介する。地域No.1店舗になる決め手は他店との差異化。ネットショップが台頭しているなかにあって、顧客に来店したいと思わせる店づくりも成長のカギを握る。
ケーズデンキ水戸本店(茨城・水戸)
本拠地・茨城県では他社を寄せつけない圧倒的な知名度を誇るケーズデンキ。このブランド力の根源が、旗艦店であるケーズデンキ水戸本店だ。水戸市には、ヤマダ電機が都市型と郊外型の店舗を出店しているほか、ビックカメラも水戸駅店と郊外のコジマとグループで連携し、シェアを拡大しようと懸命だが、情に厚い水戸市民から絶大な信頼を得ているケーズデンキ水戸本店が大きくリードしている。
接客では、顧客に対して「できません」「ありません」を絶対に言わない。ケーズデンキのホームグラウンドが水戸市ということで、顧客は親切に接してくれる。その好意に甘えたり、おごったりしてはいけないとの判断からだ。
ケーズデンキ水戸本店が水戸バイパスの酒門町交差点に店舗を構えるようになったのは1999年。以来、水戸バイパスをショッピングエリアへと発展させた。
エディオン名古屋本店(愛知・名古屋)
かつて名古屋を本拠地としていたエイデン(現エディオン)の旗艦店がエディオン名古屋本店だ。デモコーナーが充実しているほか、実演イベントやカルチャー教室の開催など商品の使い勝手を存分に体験できる環境を整えており、休日には多くの来店者で賑わっている。
他社が名古屋駅前に都市型店舗を出店して激しい競争を強いられているなかにあって、地域密着という郊外店の要素を都市部で構築することで差異化を図っている。市民からの信頼が高い店舗でもある。また、駅周辺では類をみない大型駐車場と、来店者を楽しませる体験型の売り場づくりを徹底的に追求することで、家族連れを中心に遠方からでも顧客が訪れる。
初めて来店した顧客をリピーターとして確保するために、店員教育に重きを置いている。旧エイデンの本拠地が名古屋ということで市民の信頼度は高い。それに応えるため、他店よりも質の高い接客やサポートを提供。これを念頭に置いていることが、エディオン名古屋本店の強みだ。
ノジマ相模原本店(神奈川・相模原)
神奈川県相模原市にあるノジマ相模原本店は、相模原市民が親・子・孫の三世代にわたって来店するほど信頼を得ている“老舗”の家電量販店だ。1959年、相模原市で野島電気工業会という社名で創業したノジマ。長い歴史から、知名度は周辺競合店から頭一つ抜きんでている。長年にわたって顧客の要望をしっかり聞いて、品揃えやサポートの充実を意識してきたことが、常連客の多い人気店になることができた理由である。
ただ、課題もある。それは常連客に甘えすぎていることだ。そこで、相模原本店をさらに成長させるため、今は新規顧客の開拓に力を注いでいる。スタッフとして、全社平均の2倍の販売金額を達成したり、店内レイアウトや品揃えに対するアイデアをもっていたりする人材を揃えていることに加えて、さまざまな手法を学ぶためにノジマのほかの店舗にスタッフを研修に行かせることもあるという。スタッフのスキルを向上させることによって、新規顧客を獲得し、リピーターを確保していく。
コジマ×ビックカメラ横須賀店(神奈川・横須賀)
白物家電に強いコジマとデジタル機器の販売に長けたビックカメラの融合を目指して誕生したコジマ×ビックカメラ。郊外店と駅前店のそれぞれのよさを生かしながら、店舗数を全国に広げているが、そのなかで、アウトレット専門店の要素ももつ店舗がコジマ×ビックカメラ横須賀店だ。
コジマ×ビックカメラのなかで、初めてソフマップがインショップとして店舗を構えたかたちになっている。パソコンなどのデジタル機器、ゲーム機・ソフトを買い取るほか、中古品の販売を手がけ、家電激戦区の神奈川・横須賀臨港地区で、家電量販店×アウトレット専門店という新しいスタイルで地域No.1店舗を目指している。
コジマ×ビックカメラ横須賀店のメイン顧客は40万人規模を誇る横須賀市民。顧客に新しい店舗形態を提供したことで、休日には子ども連れのファミリーで賑わっている。郊外で買取サービスを根づかせて、販売を増やしていくサイクルを構築しつつある。
ビックロ ビックカメラ新宿東口店(東京・新宿)
2012年9月27日、ビックロ ビックカメラ新宿東口店(ビックロ)がオープンした。家電量販店のビックカメラと、アパレルショップのユニクロという、業界の枠を越えたコラボレーションで注目を集めたビックロは、融合することによって、双方ともこれまでにない客層の獲得に成功している。JR新宿駅周辺には、いくつかの大手家電量販店が旗艦店を構えているが、そのなかでも異色の存在として頭角を現している。
とくに新宿駅東口方面は若者が多く、ユニクロとのコラボレーションで女性が来店する。ユニクロのスタッフとの交流を大切にしており、合同ミーティングや日々のコミュニケーションで、ビックカメラのスタッフは家電量販店とは異なった接客のノウハウを吸収。もちろん、ユニクロもビックカメラの展示や接客から学んでいる。家電とアパレルの販売で他店と一線を画しているだけでなく、こうしたスタッフのコラボレーションが、人気店をつくりあげた。
100満ボルト金沢本店(石川・金沢)
サンキューは、福井市に本社を置いているが、主な営業拠点は石川県金沢市にある。金沢市の6店舗のなかで旗艦店にあたるのが、100満ボルト金沢本店だ。サンキューが金沢に進出して25年が経過した節目の2014年に大幅改装を実施した。高級ブランドの腕時計やアウトレットを商品として追加したほか、じっくりと体感できるデモルームの設置、子ども向けアニメや戦隊モノのショーなども行っている。家電量販店の立場から、顧客の生活を楽しくする取り組みで、来店者が増えている。
最も評価されているのは接客で、顧客がいい商品をお買い得感を満たしながら購入したいと意識していることを踏まえて、価格の安さではなく商品のよさをきちんと伝えている。そのため、購入者は「やっぱり買い替えてよかった」と言ってくれるそうだ。オーバーストア状態にあって価格競争が激しくなるなか、顧客が望む品揃えやサービスを充実させて、地域No.1店舗としての地位を不動のものにしている。
ヨドバシカメラマルチメディア梅田(大阪・梅田)
2001年11月22日のオープン以来、ヨドバシカメラ マルチメディア梅田は順調に来店者を集めている。顧客数や売り上げなど家電量販店のなかで全国一との呼び声が高い。大阪にポイント還元を浸透させたことでも業界では有名な店舗だ。
初めての来店者に「また店に来たい」と思わせることに力を注いでいる。例を挙げれば海外観光客への対応だ。春節の時期には、訪日中国人向けコーナーを設置し、電気炊飯器など中国人の購入が多い商品を1か所に集めた。
人材に関しては、何でもこなせるスタッフは存在しないと判断しており、チームワークで一人ひとりが持ち味を発揮して顧客を満足させている。この接客が全国一の店舗といわれる所以だ。出店から10年以上が経過して大阪の地に根づいたマルチメディア梅田は、再開発が進むJR大阪駅前の活性化に、今も大いに寄与している。近い将来には、現在は駐車場にしている敷地にビルを建てて増床する予定。
※本記事は、ITビジネス情報紙「週刊BCN」2015年3月30日付 vol.1573より転載したものです。内容は取材時の情報に基づいており、最新の情報とは異なる可能性があります。 >> 週刊BCNとは
ケーズデンキ水戸本店(茨城・水戸)
圧倒的な知名度でトップを維持
本拠地・茨城県では他社を寄せつけない圧倒的な知名度を誇るケーズデンキ。このブランド力の根源が、旗艦店であるケーズデンキ水戸本店だ。水戸市には、ヤマダ電機が都市型と郊外型の店舗を出店しているほか、ビックカメラも水戸駅店と郊外のコジマとグループで連携し、シェアを拡大しようと懸命だが、情に厚い水戸市民から絶大な信頼を得ているケーズデンキ水戸本店が大きくリードしている。
接客では、顧客に対して「できません」「ありません」を絶対に言わない。ケーズデンキのホームグラウンドが水戸市ということで、顧客は親切に接してくれる。その好意に甘えたり、おごったりしてはいけないとの判断からだ。
ケーズデンキ水戸本店が水戸バイパスの酒門町交差点に店舗を構えるようになったのは1999年。以来、水戸バイパスをショッピングエリアへと発展させた。
エディオン名古屋本店(愛知・名古屋)
地域密着型の店舗を都市部で構築
かつて名古屋を本拠地としていたエイデン(現エディオン)の旗艦店がエディオン名古屋本店だ。デモコーナーが充実しているほか、実演イベントやカルチャー教室の開催など商品の使い勝手を存分に体験できる環境を整えており、休日には多くの来店者で賑わっている。
他社が名古屋駅前に都市型店舗を出店して激しい競争を強いられているなかにあって、地域密着という郊外店の要素を都市部で構築することで差異化を図っている。市民からの信頼が高い店舗でもある。また、駅周辺では類をみない大型駐車場と、来店者を楽しませる体験型の売り場づくりを徹底的に追求することで、家族連れを中心に遠方からでも顧客が訪れる。
初めて来店した顧客をリピーターとして確保するために、店員教育に重きを置いている。旧エイデンの本拠地が名古屋ということで市民の信頼度は高い。それに応えるため、他店よりも質の高い接客やサポートを提供。これを念頭に置いていることが、エディオン名古屋本店の強みだ。
ノジマ相模原本店(神奈川・相模原)
三世代のお客様が来店 群を抜く知名度
神奈川県相模原市にあるノジマ相模原本店は、相模原市民が親・子・孫の三世代にわたって来店するほど信頼を得ている“老舗”の家電量販店だ。1959年、相模原市で野島電気工業会という社名で創業したノジマ。長い歴史から、知名度は周辺競合店から頭一つ抜きんでている。長年にわたって顧客の要望をしっかり聞いて、品揃えやサポートの充実を意識してきたことが、常連客の多い人気店になることができた理由である。
ただ、課題もある。それは常連客に甘えすぎていることだ。そこで、相模原本店をさらに成長させるため、今は新規顧客の開拓に力を注いでいる。スタッフとして、全社平均の2倍の販売金額を達成したり、店内レイアウトや品揃えに対するアイデアをもっていたりする人材を揃えていることに加えて、さまざまな手法を学ぶためにノジマのほかの店舗にスタッフを研修に行かせることもあるという。スタッフのスキルを向上させることによって、新規顧客を獲得し、リピーターを確保していく。
コジマ×ビックカメラ横須賀店(神奈川・横須賀)
家電量販店×アウトレット専門店へ
白物家電に強いコジマとデジタル機器の販売に長けたビックカメラの融合を目指して誕生したコジマ×ビックカメラ。郊外店と駅前店のそれぞれのよさを生かしながら、店舗数を全国に広げているが、そのなかで、アウトレット専門店の要素ももつ店舗がコジマ×ビックカメラ横須賀店だ。
コジマ×ビックカメラのなかで、初めてソフマップがインショップとして店舗を構えたかたちになっている。パソコンなどのデジタル機器、ゲーム機・ソフトを買い取るほか、中古品の販売を手がけ、家電激戦区の神奈川・横須賀臨港地区で、家電量販店×アウトレット専門店という新しいスタイルで地域No.1店舗を目指している。
コジマ×ビックカメラ横須賀店のメイン顧客は40万人規模を誇る横須賀市民。顧客に新しい店舗形態を提供したことで、休日には子ども連れのファミリーで賑わっている。郊外で買取サービスを根づかせて、販売を増やしていくサイクルを構築しつつある。
ビックロ ビックカメラ新宿東口店(東京・新宿)
業界の枠を越えたコラボレーション
2012年9月27日、ビックロ ビックカメラ新宿東口店(ビックロ)がオープンした。家電量販店のビックカメラと、アパレルショップのユニクロという、業界の枠を越えたコラボレーションで注目を集めたビックロは、融合することによって、双方ともこれまでにない客層の獲得に成功している。JR新宿駅周辺には、いくつかの大手家電量販店が旗艦店を構えているが、そのなかでも異色の存在として頭角を現している。
とくに新宿駅東口方面は若者が多く、ユニクロとのコラボレーションで女性が来店する。ユニクロのスタッフとの交流を大切にしており、合同ミーティングや日々のコミュニケーションで、ビックカメラのスタッフは家電量販店とは異なった接客のノウハウを吸収。もちろん、ユニクロもビックカメラの展示や接客から学んでいる。家電とアパレルの販売で他店と一線を画しているだけでなく、こうしたスタッフのコラボレーションが、人気店をつくりあげた。
100満ボルト金沢本店(石川・金沢)
地元に根づいた旗艦店
サンキューは、福井市に本社を置いているが、主な営業拠点は石川県金沢市にある。金沢市の6店舗のなかで旗艦店にあたるのが、100満ボルト金沢本店だ。サンキューが金沢に進出して25年が経過した節目の2014年に大幅改装を実施した。高級ブランドの腕時計やアウトレットを商品として追加したほか、じっくりと体感できるデモルームの設置、子ども向けアニメや戦隊モノのショーなども行っている。家電量販店の立場から、顧客の生活を楽しくする取り組みで、来店者が増えている。
最も評価されているのは接客で、顧客がいい商品をお買い得感を満たしながら購入したいと意識していることを踏まえて、価格の安さではなく商品のよさをきちんと伝えている。そのため、購入者は「やっぱり買い替えてよかった」と言ってくれるそうだ。オーバーストア状態にあって価格競争が激しくなるなか、顧客が望む品揃えやサービスを充実させて、地域No.1店舗としての地位を不動のものにしている。
ヨドバシカメラマルチメディア梅田(大阪・梅田)
全国No.1店舗の呼び声 街の活性化に寄与
2001年11月22日のオープン以来、ヨドバシカメラ マルチメディア梅田は順調に来店者を集めている。顧客数や売り上げなど家電量販店のなかで全国一との呼び声が高い。大阪にポイント還元を浸透させたことでも業界では有名な店舗だ。
初めての来店者に「また店に来たい」と思わせることに力を注いでいる。例を挙げれば海外観光客への対応だ。春節の時期には、訪日中国人向けコーナーを設置し、電気炊飯器など中国人の購入が多い商品を1か所に集めた。
人材に関しては、何でもこなせるスタッフは存在しないと判断しており、チームワークで一人ひとりが持ち味を発揮して顧客を満足させている。この接客が全国一の店舗といわれる所以だ。出店から10年以上が経過して大阪の地に根づいたマルチメディア梅田は、再開発が進むJR大阪駅前の活性化に、今も大いに寄与している。近い将来には、現在は駐車場にしている敷地にビルを建てて増床する予定。
※本記事は、ITビジネス情報紙「週刊BCN」2015年3月30日付 vol.1573より転載したものです。内容は取材時の情報に基づいており、最新の情報とは異なる可能性があります。 >> 週刊BCNとは