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<地域No.1店舗の売れる秘訣・ヤマダ電機LABI品川大井町>地域に密着した都市型店舗を目指す 圧倒的な規模と品揃えで勝負

特集

2014/08/20 11:08

 東京都内にあるヤマダ電機の店舗のなかで、LABI1日本総本店池袋に次ぐ売り場面積をもつLABI品川大井町。オープンから6年以上が経過し、品川区と大田区を商圏に、多くのお客様を獲得している。JR大井町駅前という立地から、通勤や通学で駅を利用する会社員・学生などの来店も多い。都市型店舗「LABI」としての役割を果たしながら、地域の住民が信頼を寄せる店舗だ。(取材・文/佐相彰彦)

ヤマダ電機LABI品川大井町


ヤマダ電機LABI品川大井町
店舗データ
住所 東京都品川区東大井5-20-1
オープン日 2007年11月
売り場面積 約1万8000m2
従業員数 約290人

鉄道3線が停車する利便性の高い駅 存在感のある大規模店舗をオープン



 JR京浜東北線と東急大井町線、TWRりんかい線の3線が停車し、1日平均乗降客が27万人を超える大井町駅。駅周辺に多くのオフィスビルや専門学校があるほか、阪急百貨店や駅ビルのアトレ大井町などの商業施設や飲食店も多く、昼夜ともに賑わう街だ。

多くの住民が買い物に訪れるJR大井町駅駅前

多くの住民が買い物に訪れるJR大井町駅駅前

 家電量販店は、以前は丸井が運営するマルイ大井町店のなかにラオックスIMON大井店が入っていた。しかし、マルイ大井町店は2007年8月に閉店。その場所に、07年11月、ヤマダ電機が約1万8000m2の売り場面積を誇るLABI品川大井町を出店した。都内のヤマダ電機の店舗のなかでは、LABI1日本総本店池袋に次ぐ売り場面積で、商品数約100万点という品揃えを誇る大規模店舗だ。

 住民や駅周辺に勤務する会社員、駅近くの学校などに通う学生などにとっては、駅前に大規模店が出店したことで、利便性が飛躍的に高まった。松山省司店長は、「平日は、午前中に比較的年齢の高い地元の方々、昼間から夕方にかけては主婦の方々、夕方以降は、会社員や学生などが多い。休日には、品川区や隣の大田区にお住まいの方々が家族を連れてクルマでいらっしゃる」という。

 LABI品川大井町がオープンする前は、品川・大田両区の住民が家電を買いに行くのは、ヨドバシカメラマルチメディア川崎ルフロンとビックカメララゾーナ川崎店があるJR川崎駅周辺だった。しかし、LABI品川大井町のオープンによって、とくに大田区の住民に「大井町で家電」が根づいた。松山店長は、LABI品川大井町のポジションを「駅前立地の都市型店舗でありながら、地域に密着した郊外店の要素ももっている」と表現する。

多摩川を挟んだJR川崎駅前にあるヨドバシカメラマルチメディア川崎ルフロンとビックカメララゾーナ川崎店

多摩川を挟んだJR川崎駅前にあるヨドバシカメラマルチメディア川崎ルフロン(左)とビックカメララゾーナ川崎店

豊富な品揃えでリピーターを確保 案件増のリフォームコーナーを増床



 LABI品川大井町は、建物のつくりを生かしてパソコンなどデジタル機器を販売するデジタル館と、白物家電の販売を中心とする生活館に分かれている。松山店長は、「売り場面積は広いが、デジタル機器と白物家電で建物が分かれていることで、お客様には『非常に見やすい』という評価をいただいている」と自信をみせる。通常、多層階の駅前店舗では白物家電のフロアを上の階に置くケースが多いが、LABI品川大井町は白物家電だけを販売する建物を用意しているのだ。駅前で買い物をした人が、ついでに気軽に立ち寄ることができることが、幅広い層の来店につながっている。また、4階と6階に連絡通路があるので、両館を効率よく巡ることができる。

 実際、松山店長は、「白物家電の売り上げは、都心にある駅前店舗のなかでも高いほう」という。しかも、売れ筋は話題の商品だ。例えば、バリエーションが豊富になってきたことで人気のコーヒーメーカーは、各メーカーのさまざまなモデルを展示している。また、ヌードルメーカーなど、話題の商品もいち早く置いて、在庫を豊富に揃えている。これによって、「主婦の方々だけでなく、昼休みに男性の会社員が商品を品定めし、休日に家族を連れて来て購入するというサイクルができた」という。今の季節は、エアコンや冷蔵庫なども売れているそうだ。こうした大型商品も、豊富な品揃えによって「お客様の選択肢が広がった」(松山店長)とアピールする。

売れ筋は話題の商品が多い

コーヒーメーカーなど、売れ筋は話題の商品が多い

 スマートハウス事業を展開するヤマダ電機らしく、大井町周辺に長く住んでいる人には、「住宅リフォームについて、『気軽に相談できますよ』とお伝えしている」という。これによって、消費増税前には問い合わせが殺到。リフォームコーナーを増床して、さまざまなかたちのリフォームを提案するデモコーナーを設けたことで、「案件は増えている」(松山店長)そうだ。さらに生活館では、1階を家庭雑貨や日用品などのフロアにして、主婦の来店を促進している。

消費税増税前に問い合わせが殺到し、増床したリフォームコーナー

消費税増税前に問い合わせが殺到し、増床したリフォームコーナー

主婦の来店を促すため、生活館の1階は家庭雑貨や日用品を並べる<

主婦の来店を促すため、生活館の1階は家庭雑貨や日用品を並べる

 デジタル館では、JR大井町駅とペデストリアンデッキで直結している2階部分にスマートフォンやアクセサリ、デジタルカメラなどのコーナーを設けた。また、生活館との連絡通路がある6階には幼児が遊具で遊ぶことができるスペース「遊キッズアイランド」を設け、幼児を連れて来店した母親が子どもを預けて安心して買い物できる環境を整えている。

デジタル館6階のキッズスペース

デジタル館6階のキッズスペース

 このように、リピート客を確実に確保するための品揃えや徹底的な売り場づくりで、LABI品川大井町は、地域に密着した都市型店舗を確立した。

店長が語る人気の理由――松山省司 店長



松山省司 店長

 今年1月、LABI品川大井町の店長に就任。その前は、大阪・なんばのショッピングモール、ナンバシティに隣接するLABI1なんば、住宅街にあるLABI自由が丘を経験した。どちらも都市型店舗のLABIだが、客層や売れ筋商品は大きく異なる。この経験で、LABI品川大井町では、都市型店舗のコンセプトはそのままに、地域に密着した店舗を目指すことにした。

 競合店が多く出店する京浜東北線沿いに店舗を構えるからこそ、「当店のよさを理解してもらえる」という。今は品川区や大田区のお客様が多いが、ヤマダ電機のドミナント戦略(高密度多店舗展開)を踏まえ、商圏を広げていく。

■人気の理由
・3路線が停車する大井町駅での出店
・扱い商品が100万点という豊富な品揃え
・デジタル機器と白物家電の売り場を明確に区分


※本記事は、ITビジネス情報紙「週刊BCN」2014年8月4日付 vol.1541より転載したものです。内容は取材時の情報に基づいており、最新の情報とは異なる可能性があります。 >> 週刊BCNとは