トレンドマイクロ、ホームネットワークを守る新ソリューションを発表

ニュース

2014/08/06 20:51

 トレンドマイクロは、コンシューマ分野の新しいビジネス戦略として、「セキュリティアットホーム」「セキュリティエブリウェア」「セキュリティコンシェルジュ」の三つを発表した。新戦略を推進することで、2013年末時点で全世界で2550万人だったユーザー数を、2016年末までに2.5倍の約6300万人に伸ばす。

エバ・チェン社長

ユーザーを取り巻く脅威を説明するエバ・チェン社長

 発表会では、エバ・チェン社長兼CEOが、ユーザーを取り巻く環境と脅威について説明した。「現在、インターネットにつながるデバイスの数は全世界の人口数を超え、さらに2018年には一人あたり1.4台にまで増加する。便利になる反面、リスクが高まる。例えば、口座からお金を抜き取るネットバンキングの不正送金が問題になっているし、Android向けの不正アプリは200万を超えた。最近では、感染すると身代金を支払うようにそそのかすメッセージを表示する『ランサムウェア』が流行している」と、最新の事例を示しながら、新たな脅威が発生していることを説明した。

 さらに「10代の間で爆発的な人気を誇るSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)でも、リスクが高まっている。ユーザーの名前や写真をアップすることで、個人情報が流出している。LINEの不正ログインでは、利用者になりすまして金品を要求する事案が増えており、金銭被害も発生している」と、若年層も被害のターゲットになり得ることを強調した。 

SNS上にも脅威が蔓延している

SNS上にも脅威が蔓延している

 今後の脅威については、「監視カメラやスマート電球のような、家庭内のスマートデバイスがターゲットになる可能性が大きい。目的はわかっていないが、赤ちゃんを見守るベビーモニタがハッキングされ、大きな音を立てて赤ちゃんを泣かせるということがあった。家庭の安全が危険にさらされているいま、デバイスごとの対策では防ぎきれない。ホームネットワーク全体のセキュリティ対策が必要だ」とした。

 「セキュリティアットホーム」は、デバイスごとにセキュリティソフトをインストールするのではなく、デバイスが接続するネットワークポイントで一括してセキュリティを提供するもの。PCやスマートフォン、タブレット端末だけではなく、現在普及が進んでいるウェアラブル端末、インターネット家電、自動車など、家庭内のさまざまなIoT(Internet of Things)デバイスを安心・安全・快適に利用できる環境を提供する。 

「セキュリティアットホーム」

ネットワークポイントで一括でセキュリティを提供する「セキュリティアットホーム」

 ネットワークポイントで一括してセキュリティを提供することで、デバイスの増減、デバイスの種類などに柔軟に対応することができる。また、従来のセキュリティソフトではデバイスごとに有効期限を管理する必要があるが、「セキュリティアットホーム」は、一括で管理できる。 

デバイスごとのセキュリティからホーム全体のセキュリティへ

デバイスごとのセキュリティからホーム全体のセキュリティへ

 今後、トレンドマイクロは、ネットワーク機器ベンダー/通信事業者/サービス事業者など、各種ホームゲートウェイを提供する事業者との協業を視野に入れ、セキュリティソリューションを提供する。

 また、外出先など、デバイスをホームネットワークを経由せずにインターネットに接続する場合の対策として、「セキュリティエブリウェア」を提供する。トレンドマイクロの安全なクラウドゲートウェイを提供し、各種ウェブサービスを安全に利用できるほか、必要な機能をクラウド上から柔軟に追加することができる。コンシューマ向けだけではなく、金融/オンラインショッピング/ブラウザ開発/オンラインストレージ/広告配信などの事業者へのOEM提供も行う。

 「セキュリティコンシェルジュ」は、ユーザーのデバイス使用時のさまざまな不安を解消。不正ファイル、不正ウェブサイトなどの脅威データベースと、ユーザーから自動的にフィードバックされた情報を相関分析し、ユーザーが保有するデバイスの種類や利用状況などからパーソナライズしたサービスを提供する。

 このほか、新興市場向けにモバイルソリューションを提供。モバイルデバイスの導入が急増する新興市場では、モバイルプロバイダーなど、モバイルデバイス向けにアプリやサービスを提供する事業者と協業し、安全性を確認したアプリやサービスだけをユーザーに提供するサービスを展開する。なお、これらの新ソリューションの提供時期や価格は、現時点では未定だ。