<地域No.1店舗の売れる秘訣・コジマ×ビックカメラ南砂町SUNAMO店>リニューアルが客層にマッチ 「モール型店舗」で競合と差異化
5月24日、東京・江東区新砂のコジマNEW南砂町SUNAMO店が、ビックカメラとのコラボレーション店舗、コジマ×ビックカメラ南砂町SUNAMO店に生まれ変わった。ビックカメラの強みを生かして、品揃えを主要客層である家族連れに合わせた結果、リニューアルオープンから順調にお客様を獲得。郊外店と駅前店の長所を生かした「モール型店舗」として、競合店との差異化に成功しつつある。(取材・文/佐相彰彦)
コジマ×ビックカメラ南砂町SUNAMO店
店舗データ
住所 東京都江東区新砂3-4-31
オープン日 2014年5月24日(リニューアル)
売り場面積 約2800m2
従業員数 約40人
昭和の頃、大工場と町工場が混在する工業地区だった東京メトロの南砂町駅周辺は、駅東側の新砂地区再開発によって、大型分譲マンションが建ち並ぶ住宅街になりつつある。駅周辺に病院や区役所の出張所、保育施設、小・中学校、スーパーや公園があり、生活しやすい環境が整っていて、小さな子どものいる家庭が多い。
再開発によって、大型商業施設の建設も進んだ。2000年にはスポーツクラブとGMS(総合スーパー)の複合施設であるトピレックプラザのリニューアルが完了。2008年には、三菱地所リテールマネジメントが、八つの大型店舗と約100の専門店がテナント出店する大型ショッピングモール、南砂町ショッピングセンターSUNAMO(スナモ)をオープンした。これによって、いまでは江東区だけでなく、江戸川区などから多くの人が訪れる商業地区になった。まだまだ開発の余地があり、発展し続ける街だ。
この新砂の発展に、いち早く目をつけた家電量販店がコジマだった。南砂町ショッピングセンターSUNAMO内にコジマNEW南砂町SUNAMO店をオープン。モールの集客力を生かしてお客様を獲得していたが、亀戸や潮見、南砂に店舗があるヤマダ電機が、ドミナント(高密度多店舗展開)戦略の一環として今年夏をめどに南砂町駅前に大型店舗の出店を計画。近くに強力なライバルが出現することと、商業施設内という立地の優位性をさらに発揮したいという考えから、5月24日、コジマNEW南砂町SUNAMO店は、ビックカメラグループのノウハウを結集したコジマ×ビックカメラ南砂町SUNAMO店として生まれ変わることになった。
オープンから2か月を迎えようとしている現在、城守豪店長は、「来店者数は前年比10%増」と自信を口にする。リニューアルがモールの来店客層に見事にマッチした結果だ。
リニューアルによって拡充したのは、ビックカメラが得意とするデジタルカメラと玩具のコーナー。城守店長は、「以前から、モールには小さなお子さんを連れた家族が多かった。『品数が豊富になった』と、非常に喜んでくださっている」という。電球などの消耗品は、「当店に来ていただければ、何でも揃う」とアピールする。こうした品揃えで、一般的に休日の来店が多いといわれるモール内の店舗で、平日、30~40代の主婦が子どもを連れて来店したり、会社帰りに立ち寄った男性がデジカメを品定めする光景などが頻繁にみられるようになった。リニューアルが、確実に平日の来店促進につながっているのだ。
また、スマートフォン用のイヤホン・ヘッドホンのコーナーでデモンストレーションに工夫を施した。他店では、イヤホン・ヘッドホンだけが置いてあって来店者が自分のスマートフォンで音楽を試聴するが、「当店のスタッフがお勧めする曲を聴いていただくのも新鮮なのではないか」という考え方で、あらかじめ曲の入ったスマートフォンをイヤホン・ヘッドホンとともに展示。「曲のタイトルをたずねるお客様が増えた」ことが、接客機会の増加という意外な効果を生んだ。
スタッフへの教育では、多くの商品知識を習得してもらうために、コーナーの担当替えを頻繁に行っていることに加え、「案内係として入り口に配置する」というローテーションを組んでいる。この案内係がコンシェルジュの役目を果たし、お客様を目的のコーナーまで案内しながら、どのような商品を求めているのかを聞き出す。そして、コーナーに着いた時点で、担当のスタッフにバトンタッチして、お客様が求めている機種をいくつか紹介するという流れを構築している。「効率的で親切な接客としてお客様にも好評」という。
売れ筋の商品は、直近では、サッカーワールドカップ効果で50インチ以上の4Kテレビ。「これまでは、話題の商品を誰よりも早く手に入れたいという一部のお客様が購入するテレビだったが、お客様のすそ野が徐々に広がっているのがわかった」という。白物家電については、商業施設のなかの店舗ということで、郊外店に比べると冷蔵庫や洗濯機などの大型商品は厳しい状況だが、「季節商品や話題の商品が売れ、前年よりは伸びている」と、手応えはありそうだ。さらに、商業施設内出店のメリットを生かすために、メーカーとのタイアップなどでイベントの実施を検討。7月12日にはASUSがタブレット端末のイベントを開催し、多くのお客様を集めた。
南砂町ショッピングセンターSUNAMOというモールへの出店で、周辺住民は小さな子どもがいる家庭が多いことを踏まえて、郊外店と駅前店の長所を生かした売り場づくりを進めてきた。「当店は、郊外でもなく駅前でもない『モール型店舗』」と表現する。それまで郊外店の経験を積んできたことから、駅前店の運営方法を徹底的に調べて、独自のモール型店舗をつくりあげた。
※本記事は、ITビジネス情報紙「週刊BCN」2014年7月21 日付 vol.1539より転載したものです。内容は取材時の情報に基づいており、最新の情報とは異なる可能性があります。 >> 週刊BCNとは
コジマ×ビックカメラ南砂町SUNAMO店
店舗データ
住所 東京都江東区新砂3-4-31
オープン日 2014年5月24日(リニューアル)
売り場面積 約2800m2
従業員数 約40人
発展し続ける街の商業施設内という優位性
昭和の頃、大工場と町工場が混在する工業地区だった東京メトロの南砂町駅周辺は、駅東側の新砂地区再開発によって、大型分譲マンションが建ち並ぶ住宅街になりつつある。駅周辺に病院や区役所の出張所、保育施設、小・中学校、スーパーや公園があり、生活しやすい環境が整っていて、小さな子どものいる家庭が多い。
コジマ×ビックカメラ南砂町SUNAMO店周辺には都営住宅や大型マンションが建つ
再開発によって、大型商業施設の建設も進んだ。2000年にはスポーツクラブとGMS(総合スーパー)の複合施設であるトピレックプラザのリニューアルが完了。2008年には、三菱地所リテールマネジメントが、八つの大型店舗と約100の専門店がテナント出店する大型ショッピングモール、南砂町ショッピングセンターSUNAMO(スナモ)をオープンした。これによって、いまでは江東区だけでなく、江戸川区などから多くの人が訪れる商業地区になった。まだまだ開発の余地があり、発展し続ける街だ。
南砂町駅近くにヤマダ電機の新店がオープンする予定(写真は2014年7月1日時点)
この新砂の発展に、いち早く目をつけた家電量販店がコジマだった。南砂町ショッピングセンターSUNAMO内にコジマNEW南砂町SUNAMO店をオープン。モールの集客力を生かしてお客様を獲得していたが、亀戸や潮見、南砂に店舗があるヤマダ電機が、ドミナント(高密度多店舗展開)戦略の一環として今年夏をめどに南砂町駅前に大型店舗の出店を計画。近くに強力なライバルが出現することと、商業施設内という立地の優位性をさらに発揮したいという考えから、5月24日、コジマNEW南砂町SUNAMO店は、ビックカメラグループのノウハウを結集したコジマ×ビックカメラ南砂町SUNAMO店として生まれ変わることになった。
デジカメと玩具が売れ筋に 平日の来店増に成功
オープンから2か月を迎えようとしている現在、城守豪店長は、「来店者数は前年比10%増」と自信を口にする。リニューアルがモールの来店客層に見事にマッチした結果だ。
リニューアルによって拡充したのは、ビックカメラが得意とするデジタルカメラと玩具のコーナー。城守店長は、「以前から、モールには小さなお子さんを連れた家族が多かった。『品数が豊富になった』と、非常に喜んでくださっている」という。電球などの消耗品は、「当店に来ていただければ、何でも揃う」とアピールする。こうした品揃えで、一般的に休日の来店が多いといわれるモール内の店舗で、平日、30~40代の主婦が子どもを連れて来店したり、会社帰りに立ち寄った男性がデジカメを品定めする光景などが頻繁にみられるようになった。リニューアルが、確実に平日の来店促進につながっているのだ。
リニューアルでデジタルカメラと玩具を拡充
主婦が子どもを連れて訪れるなど、平日の来店促進につながった
また、スマートフォン用のイヤホン・ヘッドホンのコーナーでデモンストレーションに工夫を施した。他店では、イヤホン・ヘッドホンだけが置いてあって来店者が自分のスマートフォンで音楽を試聴するが、「当店のスタッフがお勧めする曲を聴いていただくのも新鮮なのではないか」という考え方で、あらかじめ曲の入ったスマートフォンをイヤホン・ヘッドホンとともに展示。「曲のタイトルをたずねるお客様が増えた」ことが、接客機会の増加という意外な効果を生んだ。
イヤホン・ヘッドホンとともに、曲の入ったスマートフォンを展示する
スタッフへの教育では、多くの商品知識を習得してもらうために、コーナーの担当替えを頻繁に行っていることに加え、「案内係として入り口に配置する」というローテーションを組んでいる。この案内係がコンシェルジュの役目を果たし、お客様を目的のコーナーまで案内しながら、どのような商品を求めているのかを聞き出す。そして、コーナーに着いた時点で、担当のスタッフにバトンタッチして、お客様が求めている機種をいくつか紹介するという流れを構築している。「効率的で親切な接客としてお客様にも好評」という。
案内係が案内し、担当のスタッフにバトンタッチ。効率的で親切な接客として好評という
売れ筋の商品は、直近では、サッカーワールドカップ効果で50インチ以上の4Kテレビ。「これまでは、話題の商品を誰よりも早く手に入れたいという一部のお客様が購入するテレビだったが、お客様のすそ野が徐々に広がっているのがわかった」という。白物家電については、商業施設のなかの店舗ということで、郊外店に比べると冷蔵庫や洗濯機などの大型商品は厳しい状況だが、「季節商品や話題の商品が売れ、前年よりは伸びている」と、手応えはありそうだ。さらに、商業施設内出店のメリットを生かすために、メーカーとのタイアップなどでイベントの実施を検討。7月12日にはASUSがタブレット端末のイベントを開催し、多くのお客様を集めた。
店長が語る人気の理由――城守豪 店長
コジマに入社してから、埼玉や千葉、茨城を経験し、東京・足立のNEW加平店(現コジマ×ビックカメラ加平店)では店長として店舗を成長軌道に乗せた。そして、2年前にコジマNEW南砂町SUNAMO店の店長に就任した。
南砂町ショッピングセンターSUNAMOというモールへの出店で、周辺住民は小さな子どもがいる家庭が多いことを踏まえて、郊外店と駅前店の長所を生かした売り場づくりを進めてきた。「当店は、郊外でもなく駅前でもない『モール型店舗』」と表現する。それまで郊外店の経験を積んできたことから、駅前店の運営方法を徹底的に調べて、独自のモール型店舗をつくりあげた。
■人気の理由
・デジカメや玩具などの品揃えが充実
・案内係の配置でお客様にとっての効率のよい接客
・商業施設内出店を生かしたイベントの実施
・デジカメや玩具などの品揃えが充実
・案内係の配置でお客様にとっての効率のよい接客
・商業施設内出店を生かしたイベントの実施
※本記事は、ITビジネス情報紙「週刊BCN」2014年7月21 日付 vol.1539より転載したものです。内容は取材時の情報に基づいており、最新の情報とは異なる可能性があります。 >> 週刊BCNとは