液晶ディスプレイ市場、舞台は後半戦へ、トップで折り返したベンキューの強み
2013年、王者・三菱電機が抜けたことで混戦状態に入った液晶ディスプレイ市場。BCNは、家電量販店・パソコン専門店・ネットショップの実売データを集計する「BCNランキング」をもとに、部門別に年間で最も販売数量が多いメーカーを表彰する「BCN AWARD」を開催している。2013年1~12月の販売実績である「BCN AWARD 2014」の液晶ディスプレイ部門を受賞したのはLGエレクトロニクスだったが、2014年はどうだろうか。
2014年の上半期、いわば前半戦が終了した。1~6月までを合算した上半期、液晶ディスプレイは、ベンキュージャパンが販売台数シェア19.9%を獲得して1位に立った。2位はマウスコンピューターで14.3%、3位はアイ・オー・データ機器で13.6%だった。昨年、年間1位でBCN AWARDに輝いたLGエレクトロニクスは4位に転落し、シェアは12.1%だった。液晶ディスプレイ市場が、あっという間に勢力図が書き替わる変動の激しい市場であることがわかる。
そのなかでも、ぐいぐいとシェアを伸ばしているのが上半期No.1のベンキュージャパンだ。液晶ディスプレイ市場のこの半年の動きを「BCNランキング」で追うと、1月はLGエレクトロニクスが販売台数シェア19.2%で1位。その下は、ベンキュージャパンとアイ・オー・データ機器、マウスコンピューターの3社が12~14%のところで団子状態になっていた。
そこからベンキュージャパンが抜け出したのが、2月。シェア18.0%で一気に1位に躍り出た。LGエレクトロニクスは2月以降、一気にシェアを落とし、代わりにベンキュージャパンを追いかけたのはマウスコンピューターだった。しかし、ベンキュージャパンはぐいぐいシェアを伸ばし、徐々にマウスコンピューターとの差を広げた。6月にはベンキュージャパンがシェア24.7%、マウスコンピューターが13.8%と、10ポイント以上の差がついた。ベンキュージャパンの勢いは7月に入っても衰えず、2014年の後半戦もしばらく好調のまま推移しそうだ。
ベンキュージャパンが1位になった理由は何だろうか。上半期の機種別ランキングで、ベンキュージャパンは「GL2460HM」「GW2255HM」「GW2255」「RL2455HM」の4機種が上位10位内にランクインした。そして、ランクインした製品のすべてが搭載していたのが、フリッカーフリー機能だ。
最近は、液晶ディスプレイで動画を視聴したり、ゲームをしたりするユーザーが増えているが、長時間集中して液晶ディスプレイを見つめていると目の疲れを感じやすくなる。また、スマートフォンやタブレット端末などの画面を見る時間も長く、ユーザーは目に対する負担軽減に敏感になっている。
ベンキュージャパンは、ユーザーの目の負担を軽減したい、というニーズをいち早く察知し、2013年4月から目にやさしい「アイケア」製品の拡充に取り組んでいる。まずは目の疲れの要因の一つとなるフリッカーに注目した。液晶ディスプレイは、バックライトのオン/オフを繰り返すことで画面の明るさを調整している。この明滅によって起きる画面のちらつきが、フリッカーだ。人間の眼ではほとんど感知できないレベルなのだが、実は目に負担をかけているのだ。
そこでフリッカーの原因となるバックライトのオン/オフをせずに明るさをコントロールするDC(直流)調光方式を採用。バックライトへの電流を制御することで明るさをコントロールしているので、常にバックライトが点灯し、原理上フリッカーが発生しない。
ベンキュージャパンが現在販売している約8割のモデルがフリッカーフリーモデルだ。製品のラインアップ拡充を図ることで、「フリッカーフリーの液晶ディスプレイといえばベンキュー」とユーザーの間に浸透し、シェア拡大に結びついたといえる。
ベンキュージャパンのもう一つの強みが、24型モデルが好評なことだ。ベンキュージャパンは24型モデルのラインアップが豊富で、同社の液晶サイズ別販売台数の5割近い構成比が24型モデルだ。例えばゲーミング用の「XL/RL」シリーズやオフィス・スクール向けの「BL」シリーズ、マルチメディア用途の「GW」シリーズ、映画観賞用途といったエンターテインメント向けの「EW」シリーズなど、さまざまな用途に合わせた24型モデルを用意している。
24型モデルは、液晶ディスプレイ市場全体でみても伸びている。1年前の2013年6月の販売台数シェアは9.0%だったが、2014年6月には16.6%に伸びた。これまで17型モデルを使っていた人が、買替えを契機に大型化し、20型以上のモデルを購入しているようだ。この画面の大型化が、21.5型~27型まで豊富に揃えるベンキュージャパンの追い風となった。
ベンキュージャパンは、今後さらにフリッカーフリーモデルの拡充を図るとともに、ブルーライト軽減機能など、目にやさしい機能をアピールする方針だ。上半期を制したベンキュージャパンがこのまま逃げ切り、「BCN AWARD」液晶ディスプレイ部門初受賞となるか、注目したい。(BCN・山下彰子)
*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからパソコン本体、デジタル家電などの実売データを毎日収集・集計している実売データベース(パソコンの場合)で、日本の店頭市場の約4割をカバーしています。
栄枯盛衰の激しい液晶ディスプレイ市場 頭一つ抜け出したベンキュー
2014年の上半期、いわば前半戦が終了した。1~6月までを合算した上半期、液晶ディスプレイは、ベンキュージャパンが販売台数シェア19.9%を獲得して1位に立った。2位はマウスコンピューターで14.3%、3位はアイ・オー・データ機器で13.6%だった。昨年、年間1位でBCN AWARDに輝いたLGエレクトロニクスは4位に転落し、シェアは12.1%だった。液晶ディスプレイ市場が、あっという間に勢力図が書き替わる変動の激しい市場であることがわかる。
そのなかでも、ぐいぐいとシェアを伸ばしているのが上半期No.1のベンキュージャパンだ。液晶ディスプレイ市場のこの半年の動きを「BCNランキング」で追うと、1月はLGエレクトロニクスが販売台数シェア19.2%で1位。その下は、ベンキュージャパンとアイ・オー・データ機器、マウスコンピューターの3社が12~14%のところで団子状態になっていた。
そこからベンキュージャパンが抜け出したのが、2月。シェア18.0%で一気に1位に躍り出た。LGエレクトロニクスは2月以降、一気にシェアを落とし、代わりにベンキュージャパンを追いかけたのはマウスコンピューターだった。しかし、ベンキュージャパンはぐいぐいシェアを伸ばし、徐々にマウスコンピューターとの差を広げた。6月にはベンキュージャパンがシェア24.7%、マウスコンピューターが13.8%と、10ポイント以上の差がついた。ベンキュージャパンの勢いは7月に入っても衰えず、2014年の後半戦もしばらく好調のまま推移しそうだ。
フリッカーフリーモデルと24型モデルの拡充でシェアを獲得
ベンキュージャパンが1位になった理由は何だろうか。上半期の機種別ランキングで、ベンキュージャパンは「GL2460HM」「GW2255HM」「GW2255」「RL2455HM」の4機種が上位10位内にランクインした。そして、ランクインした製品のすべてが搭載していたのが、フリッカーフリー機能だ。
順位 | メーカー名 | 品名 | 販売台数 シェア(%) |
1 | ベンキュージャパン | GL2460HM | 6.1 |
2 | アイ・オー・データ機器 | LCD-MF225XBR | 4.2 |
3 | フィリップス | 234E5QHSB/11 | 3.6 |
4 | 日本エイサー | G246HLAbid | 2.9 |
5 | ベンキュージャパン | GW2255HM | 2.8 |
6 | アイ・オー・データ機器 | LCD-MF234XBR | 2.7 |
7 | ベンキュージャパン | GW2255 | 2.4 |
8 | ベンキュージャパン | RL2455HM | 2.0 |
9 | LGエレクトロニクス | 22EN33T-B | 2.0 |
10 | LGエレクトロニクス | 22EN43V-B | 1.7 |
「BCNランキング」2014年1月~6月 月次合算 <最大パネル>
ベンキュージャパンは、ユーザーの目の負担を軽減したい、というニーズをいち早く察知し、2013年4月から目にやさしい「アイケア」製品の拡充に取り組んでいる。まずは目の疲れの要因の一つとなるフリッカーに注目した。液晶ディスプレイは、バックライトのオン/オフを繰り返すことで画面の明るさを調整している。この明滅によって起きる画面のちらつきが、フリッカーだ。人間の眼ではほとんど感知できないレベルなのだが、実は目に負担をかけているのだ。
そこでフリッカーの原因となるバックライトのオン/オフをせずに明るさをコントロールするDC(直流)調光方式を採用。バックライトへの電流を制御することで明るさをコントロールしているので、常にバックライトが点灯し、原理上フリッカーが発生しない。
左が通常のディスプレイ、右はフリッカーフリーのディスプレイ
ベンキュージャパンが現在販売している約8割のモデルがフリッカーフリーモデルだ。製品のラインアップ拡充を図ることで、「フリッカーフリーの液晶ディスプレイといえばベンキュー」とユーザーの間に浸透し、シェア拡大に結びついたといえる。
ベンキュージャパンのもう一つの強みが、24型モデルが好評なことだ。ベンキュージャパンは24型モデルのラインアップが豊富で、同社の液晶サイズ別販売台数の5割近い構成比が24型モデルだ。例えばゲーミング用の「XL/RL」シリーズやオフィス・スクール向けの「BL」シリーズ、マルチメディア用途の「GW」シリーズ、映画観賞用途といったエンターテインメント向けの「EW」シリーズなど、さまざまな用途に合わせた24型モデルを用意している。
GL2460HM
24型モデルは、液晶ディスプレイ市場全体でみても伸びている。1年前の2013年6月の販売台数シェアは9.0%だったが、2014年6月には16.6%に伸びた。これまで17型モデルを使っていた人が、買替えを契機に大型化し、20型以上のモデルを購入しているようだ。この画面の大型化が、21.5型~27型まで豊富に揃えるベンキュージャパンの追い風となった。
ベンキュージャパンは、今後さらにフリッカーフリーモデルの拡充を図るとともに、ブルーライト軽減機能など、目にやさしい機能をアピールする方針だ。上半期を制したベンキュージャパンがこのまま逃げ切り、「BCN AWARD」液晶ディスプレイ部門初受賞となるか、注目したい。(BCN・山下彰子)
*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからパソコン本体、デジタル家電などの実売データを毎日収集・集計している実売データベース(パソコンの場合)で、日本の店頭市場の約4割をカバーしています。