<地域No.1店舗の売れる秘訣・パソコン工房前橋店>BTOパソコンとサポートが強み 駆け込み需要が生んだ転機
群馬県前橋市の県道前橋伊香保線沿いにあるパソコン工房前橋店は、ユニットコムグループとして県内唯一の店舗。隣接する高崎市に大手家電量販店が大型店舗を構えるなか、駐車場の完備などクルマで来店できる環境を整えてお客様を獲得している。そして、他店との差異化として力を入れているのが、自店で完結するパソコンのサポートサービスだ。(取材・文/佐相彰彦)
パソコン工房前橋店
店舗データ
住所 群馬県前橋市総社町高井92-1
オープン日 2004年9月10日
売り場面積 約80m2
従業員数 4人
前橋市の北部に位置する総社地区は、約1万2400人が住むこぢんまりとした町。総社町にあるJR吾妻線群馬総社駅は利用者が少なく、周囲には古い家が建ち並び、のどかな風景が広がっている。それでもクルマでの移動は非常に便利で、前橋と渋川市、そして温泉地の伊香保を結ぶ県道前橋伊香保線のほか、国道17号で前橋や高崎に出ることができる。
こうした環境から前橋伊香保線の沿道には小売店舗が多く、ホームセンターのカインズホーム前橋吉岡店や大型スポーツショップのスポーツデポ前橋吉岡店、100円ショップのダイソーやドラッグストアのマルエドラッグが入るフォリオ吉岡ショッピングセンターなどがある。どの店も大駐車場を完備し、平日・休日を問わずクルマで訪れるお客様で賑わっている。家電量販店では、ケーズホールディングスが県内の旗艦店としてケーズデンキ前橋本店を出店している。
ユニットコムは、2004年9月、パソコン専門店のパソコン工房前橋店を出店した。自社ブランドのパソコンを武器に、まずヘビーユーザーを常連客として獲得。10年ほどが経過した現在は、無料の駐車場を完備していることや、カインズホームなど近くに小売店舗が出店している効果もあって、「ライトユーザーの来店が多い」と、鈴木友明店長はいう。常連がクチコミで評判を広めてくれたおかげで、「パソコンの販売では、県内の大型家電量販店に引けは取らない」と自負する。最近は、ユニットコムグループで販売に力を入れている「iiyama(イイヤマ)」ブランドの製品を本格的に扱い始めたことで、「液晶ディスプレイの販売が順調」(鈴木店長)と自信をみせる。
パソコン販売に絶対の自信をもつパソコン工房前橋店に、この3月から4月にかけて、Windows XPのサポート切れによる買い替え客が殺到した。もちろん、駆け込み需要はほかの家電量販店・パソコン専門店でも発生したが、メーカー製パソコンのなかに供給が追いつかない製品が出るなど、いわゆる弾切れによって販売機会を失ったケースがあった。これは、各メーカーのモデルに搭載しているパーツが不足したためだ。そんななかでパソコン工房前橋店は、「お客様がどのような機能を望んでおられるのかを聞いて、フルオーダーのBTOで対応した」という。
もともとカスタマイズパソコンの提供を得意とするパソコン工房は、ほかの家電量販店やパソコン専門店が対応できなかった買い替え需要の獲得に成功。これによって、新たな顧客層=ライトユーザーを確保した。鈴木店長は、「需要は今も続いている。やはり売り上げの大黒柱はパソコン」だという。
もう一つ、お客様を増やしたのが、パソコンのサポートサービスだ。「お客様のなかには、『まだハードウェアが壊れていないので、OSだけを最新のものにしてほしい』という人がいた」と、鈴木店長は説明する。お客様が使っているパソコンを店舗に持ち込んでもらって、サポート受付カウンターでOSをアップグレードできるかどうかをチェックし、機器の具合やシステム要件などが合致するものにはアップグレードを行った。ただし、「HDDがダメになりかけているものが多く、その場合はデータの移行サービスを含めてパソコンの買い替えを提案した」という。
パソコン以外の商品で、稼ぎ頭になっているのがメモリカードだ。スマートフォンやタブレット端末、デジタルカメラのユーザーが、「他店に比べて価格が圧倒的に安い」(鈴木店長)ということでmicroSD/SDカードを購入していくという。週末にはセールを実施して、さらに価格を下げている。気軽に購入できる商品を武器に、お客様の来店を促しているわけだ。
メモリカードが売れているもう一つの理由が、ここ1年ほど注目を集めているドライブレコーダーが売れ行きを伸ばしていること。SDカードを記録媒体にしているモデルが多いのだ。鈴木店長は、「完売するモデルが出るほど人気がある。とくに、地方の店舗で売れているという話を聞く。クルマ社会だからだろう」と分析する。
メモリカードの販売は、全国のパソコン工房のなかでもトップレベルというパソコン工房前橋店。パソコンに加え、粗利率の高い周辺機器の販売増で成長している。「群馬県全域からお客様が来店する店舗」を目標に、北関東でユニットコムグループの旗を守る。
お客様に関しては、「人と人とのつながりを大事にする方が多い」という。スタッフは、お客様からの指名買いを目指して精進している。ていねいで親切な接客が常連客に伝わり、クチコミで新しいお客様を誘引するというサイクルを構築した。
■人気の理由
・フルオーダーのパソコンでXPサポート切れの買い替え需要に対応
・適切なパソコンのサポートサービス
・他店よりも圧倒的に安いメモリカード
※本記事は、ITビジネス情報紙「週刊BCN」2014年5月5・12日付 vol.1529より転載したものです。内容は取材時の情報に基づいており、最新の情報とは異なる可能性があります。 >> 週刊BCNとは
パソコン工房前橋店
店舗データ
住所 群馬県前橋市総社町高井92-1
オープン日 2004年9月10日
売り場面積 約80m2
従業員数 4人
のどかで静かな総社町 パソコン販売では地域有数
前橋市の北部に位置する総社地区は、約1万2400人が住むこぢんまりとした町。総社町にあるJR吾妻線群馬総社駅は利用者が少なく、周囲には古い家が建ち並び、のどかな風景が広がっている。それでもクルマでの移動は非常に便利で、前橋と渋川市、そして温泉地の伊香保を結ぶ県道前橋伊香保線のほか、国道17号で前橋や高崎に出ることができる。
こうした環境から前橋伊香保線の沿道には小売店舗が多く、ホームセンターのカインズホーム前橋吉岡店や大型スポーツショップのスポーツデポ前橋吉岡店、100円ショップのダイソーやドラッグストアのマルエドラッグが入るフォリオ吉岡ショッピングセンターなどがある。どの店も大駐車場を完備し、平日・休日を問わずクルマで訪れるお客様で賑わっている。家電量販店では、ケーズホールディングスが県内の旗艦店としてケーズデンキ前橋本店を出店している。
前橋伊香保線沿いに出店。渋川市などから訪れるお客様も多い
ユニットコムは、2004年9月、パソコン専門店のパソコン工房前橋店を出店した。自社ブランドのパソコンを武器に、まずヘビーユーザーを常連客として獲得。10年ほどが経過した現在は、無料の駐車場を完備していることや、カインズホームなど近くに小売店舗が出店している効果もあって、「ライトユーザーの来店が多い」と、鈴木友明店長はいう。常連がクチコミで評判を広めてくれたおかげで、「パソコンの販売では、県内の大型家電量販店に引けは取らない」と自負する。最近は、ユニットコムグループで販売に力を入れている「iiyama(イイヤマ)」ブランドの製品を本格的に扱い始めたことで、「液晶ディスプレイの販売が順調」(鈴木店長)と自信をみせる。
近くにあるカインズホームとの相乗効果で来店者を増やしている
XPパソコンの買い替え需要で新たな客層を開拓 メモリカードの販売はトップレベル
パソコン販売に絶対の自信をもつパソコン工房前橋店に、この3月から4月にかけて、Windows XPのサポート切れによる買い替え客が殺到した。もちろん、駆け込み需要はほかの家電量販店・パソコン専門店でも発生したが、メーカー製パソコンのなかに供給が追いつかない製品が出るなど、いわゆる弾切れによって販売機会を失ったケースがあった。これは、各メーカーのモデルに搭載しているパーツが不足したためだ。そんななかでパソコン工房前橋店は、「お客様がどのような機能を望んでおられるのかを聞いて、フルオーダーのBTOで対応した」という。
もともとカスタマイズパソコンの提供を得意とするパソコン工房は、ほかの家電量販店やパソコン専門店が対応できなかった買い替え需要の獲得に成功。これによって、新たな顧客層=ライトユーザーを確保した。鈴木店長は、「需要は今も続いている。やはり売り上げの大黒柱はパソコン」だという。
カスタマイズパソコンに強みをもつ
もう一つ、お客様を増やしたのが、パソコンのサポートサービスだ。「お客様のなかには、『まだハードウェアが壊れていないので、OSだけを最新のものにしてほしい』という人がいた」と、鈴木店長は説明する。お客様が使っているパソコンを店舗に持ち込んでもらって、サポート受付カウンターでOSをアップグレードできるかどうかをチェックし、機器の具合やシステム要件などが合致するものにはアップグレードを行った。ただし、「HDDがダメになりかけているものが多く、その場合はデータの移行サービスを含めてパソコンの買い替えを提案した」という。
パソコンのサポートサービスにも力を入れる
パソコン以外の商品で、稼ぎ頭になっているのがメモリカードだ。スマートフォンやタブレット端末、デジタルカメラのユーザーが、「他店に比べて価格が圧倒的に安い」(鈴木店長)ということでmicroSD/SDカードを購入していくという。週末にはセールを実施して、さらに価格を下げている。気軽に購入できる商品を武器に、お客様の来店を促しているわけだ。
他店に比べて圧倒的に安いという
メモリカードが売れているもう一つの理由が、ここ1年ほど注目を集めているドライブレコーダーが売れ行きを伸ばしていること。SDカードを記録媒体にしているモデルが多いのだ。鈴木店長は、「完売するモデルが出るほど人気がある。とくに、地方の店舗で売れているという話を聞く。クルマ社会だからだろう」と分析する。
売れ行き好調のドライブレコーダー
メモリカードの販売は、全国のパソコン工房のなかでもトップレベルというパソコン工房前橋店。パソコンに加え、粗利率の高い周辺機器の販売増で成長している。「群馬県全域からお客様が来店する店舗」を目標に、北関東でユニットコムグループの旗を守る。
店長が語る人気の理由――鈴木友明 店長
東京・府中の店舗でのアルバイトから正社員になって、東京・秋葉原電気街の店舗を経験した。その後、栃木県宇都宮市の郊外型店舗に配属され、今年2月に前橋店の店長に就任。「都心の店舗と郊外の店舗では、お客様のタイプや年齢などがまったく異なる」ことを実感した。パソコン工房前橋店を、「両方のよさを生かした店舗にする」と決意を語る。
お客様に関しては、「人と人とのつながりを大事にする方が多い」という。スタッフは、お客様からの指名買いを目指して精進している。ていねいで親切な接客が常連客に伝わり、クチコミで新しいお客様を誘引するというサイクルを構築した。
■人気の理由
・フルオーダーのパソコンでXPサポート切れの買い替え需要に対応
・適切なパソコンのサポートサービス
・他店よりも圧倒的に安いメモリカード
※本記事は、ITビジネス情報紙「週刊BCN」2014年5月5・12日付 vol.1529より転載したものです。内容は取材時の情報に基づいており、最新の情報とは異なる可能性があります。 >> 週刊BCNとは