<地域No.1店舗の売れる秘訣・PCボンバー本店>リアルとネットの相乗効果 顔のみえる通販事業者として定着
「大手通販サイトの影響で販売が伸び悩んでいる」と嘆くパソコン専門店・家電量販店は多い。しかし、1998年の創業当初から通販と実店舗の両方に力を入れてきたアベルネットは、リアルとネットの融合で、「顔のみえる通販事業者」として安定した人気を誇る。アベルネットが運営する激安サイトのPCボンバーの業績拡大に寄与しているのが、JR御徒町駅近くにあるPCボンバー本店だ。(取材・文/佐相彰彦)
PCボンバー本店
店舗データ
住所 東京都台東区上野5丁目8番5号 CP10ビル1F
オープン日 1998年2月
売り場面積 約25m2
従業員数 約35人
東京・台東区の南端で、秋葉原と上野という繁華街に挟まれる御徒町。秋葉原には電気街、上野にはヨドバシカメラのマルチメディア上野があるが、JR御徒町駅周辺には大手のパソコン専門店や家電量販店はない。アメヤ横丁(アメ横)という集客装置はあるものの、こと家電に限っては空白地帯だ。この御徒町にいち早く目をつけたのが、アベルネットだ。1998年、PCボンバー本店をオープンした。
PCボンバー本店は、御徒町駅近くで2度移転しながら、2000年にJR御徒町駅から徒歩5分程度の上野5丁目という現在の場所に落ち着いた。オープン当初から、通販をメインにデジタル機器や白物家電を販売。「その日に使いたい」というお客様に応えるために、店舗でも商品を受け取ることができる体制を整えた。06年には、サイトのリニューアルに伴って、電話やファクス、eメールなど、さまざまな注文方法に対応。09年には、買い物カートの設置や商品の発送履歴機能を搭載したシステムに増強するなど、注文を受けてから出荷するまでの工程をシステム化して、多くの注文に対応できるようになったほか、納期の短縮を実現した。
現在、PCボンバーは、本店のほか、大阪と福岡・博多にリアル店舗をもつ。また、中古商品の販売・買取専門店のPCボンバーリ・バースを本店近くに出している。
サイトの運営は店舗ごと。本店でサイトの責任者を兼任する新井建三店長は、「各店舗がサイトで地元色を出している。リアルの店舗があることが、通販サイトの拡大につながっている」とアピールする。リアルとネットの相乗効果とは、どのようなものなのか。
PCボンバー本店の売り場面積は、約25m2。極端に小さい。それでも、店内は狭さを感じさせないほど、すっきりとしている。これは、スマートフォンやデジタルカメラのアクセサリ、ケーブルや電池などの小物だけを置いているからだ。また、購入した商品を店頭で受け取ることができるよう、専用のカウンターを設けて、「サイトで買った商品を、その日に手に取りたい」という要望に応えている。
新井店長は、「サイトで買った商品を店舗で受け取るのは、デジタルカメラを購入された方、それも60歳以上の男性が多い。そうしたお客様が、ついでに購入できる手軽な商品を置いている」という。加えて、「店の前を通る方へのアピールにもなる」というのも理由だ。
実店舗をもつ強みについては、「とにかく店舗に来ていただければ、通販サイトだけでビジネスを展開している店よりも信頼していただける」と自信をみせる。サイトでは、店頭での受け取りのほかに、まだ購入していない商品を取り置きしておくこともできる。新井店長は、「スタッフの説明を聞きながら、実際に手に取っていただいて、確かめてから購入してもらったほうが、ご納得いただける」という。
店内には、サイトでの価格を記載したチラシを用意。「その日、サイトを詳しく調べなかったお客様向けに、毎日作成している」そうだ。店内でもサイトの情報を収集できるようにすることで、サイトのアクセスを高めることにつなげている。さらに、サイトで購入することに抵抗があって、店頭での取り置きを希望するお客様にもチラシの効果は抜群。「『次回からは、来店して購入する』という方もいらっしゃる」と新井店長。
PCボンバー本店で取り扱う商品は、1日平均約700アイテム。「仕入れた商品は、どんなに遅くても3日間で売る」という。これは、他社のサイトよりも安く販売することをモットーにビジネスを展開しているからだ。一方、「仕入れ価格は他店と比べても大差がないので、利幅は小さい」と認める。1商品あたりの利益は少ないが、多くの量を販売することで利益を確保しているのだ。実際、アベルネットの昨年度(2013年2月期)の売り上げは276億円で、前年度を上回った。PCボンバー本店も、「順調に伸びている」(新井店長)という。売上比率は、ネットが90%、リアルが10%だ。
サイトでの注文数は1日平均1000件。繁忙期には、平均1500件になる。これを少ない人数で効率よく出荷する体制も整えた。お客様に安心感を与える実店舗が、激安No.1を目指す通販サイトを支えているのだ。
※本記事は、ITビジネス情報紙「週刊BCN」2014年3月31日付 vol.1524より転載したものです。内容は取材時の情報に基づいており、最新の情報とは異なる可能性があります。 >> 週刊BCNとは
PCボンバー本店
店舗データ
住所 東京都台東区上野5丁目8番5号 CP10ビル1F
オープン日 1998年2月
売り場面積 約25m2
従業員数 約35人
繁華街に挟まれた街 リアルとネットの両輪
東京・台東区の南端で、秋葉原と上野という繁華街に挟まれる御徒町。秋葉原には電気街、上野にはヨドバシカメラのマルチメディア上野があるが、JR御徒町駅周辺には大手のパソコン専門店や家電量販店はない。アメヤ横丁(アメ横)という集客装置はあるものの、こと家電に限っては空白地帯だ。この御徒町にいち早く目をつけたのが、アベルネットだ。1998年、PCボンバー本店をオープンした。
PCボンバー本店は、御徒町駅近くで2度移転しながら、2000年にJR御徒町駅から徒歩5分程度の上野5丁目という現在の場所に落ち着いた。オープン当初から、通販をメインにデジタル機器や白物家電を販売。「その日に使いたい」というお客様に応えるために、店舗でも商品を受け取ることができる体制を整えた。06年には、サイトのリニューアルに伴って、電話やファクス、eメールなど、さまざまな注文方法に対応。09年には、買い物カートの設置や商品の発送履歴機能を搭載したシステムに増強するなど、注文を受けてから出荷するまでの工程をシステム化して、多くの注文に対応できるようになったほか、納期の短縮を実現した。
PCボンバー本店から徒歩5分程度の秋葉原電気街
アメ横から秋葉原電気街まで歩く途中に立ち寄る外国人観光客が多いという
現在、PCボンバーは、本店のほか、大阪と福岡・博多にリアル店舗をもつ。また、中古商品の販売・買取専門店のPCボンバーリ・バースを本店近くに出している。
サイトの運営は店舗ごと。本店でサイトの責任者を兼任する新井建三店長は、「各店舗がサイトで地元色を出している。リアルの店舗があることが、通販サイトの拡大につながっている」とアピールする。リアルとネットの相乗効果とは、どのようなものなのか。
サイトは来店につなげる広告塔 リアル店舗がもたらす信頼
PCボンバー本店の売り場面積は、約25m2。極端に小さい。それでも、店内は狭さを感じさせないほど、すっきりとしている。これは、スマートフォンやデジタルカメラのアクセサリ、ケーブルや電池などの小物だけを置いているからだ。また、購入した商品を店頭で受け取ることができるよう、専用のカウンターを設けて、「サイトで買った商品を、その日に手に取りたい」という要望に応えている。
狭さを感じさせない店内
新井店長は、「サイトで買った商品を店舗で受け取るのは、デジタルカメラを購入された方、それも60歳以上の男性が多い。そうしたお客様が、ついでに購入できる手軽な商品を置いている」という。加えて、「店の前を通る方へのアピールにもなる」というのも理由だ。
実店舗をもつ強みについては、「とにかく店舗に来ていただければ、通販サイトだけでビジネスを展開している店よりも信頼していただける」と自信をみせる。サイトでは、店頭での受け取りのほかに、まだ購入していない商品を取り置きしておくこともできる。新井店長は、「スタッフの説明を聞きながら、実際に手に取っていただいて、確かめてから購入してもらったほうが、ご納得いただける」という。
通販サイトで購入した商品を店頭で受け取ることができる
店内には、サイトでの価格を記載したチラシを用意。「その日、サイトを詳しく調べなかったお客様向けに、毎日作成している」そうだ。店内でもサイトの情報を収集できるようにすることで、サイトのアクセスを高めることにつなげている。さらに、サイトで購入することに抵抗があって、店頭での取り置きを希望するお客様にもチラシの効果は抜群。「『次回からは、来店して購入する』という方もいらっしゃる」と新井店長。
サイトでの価格を記載したチラシを用意
PCボンバー本店で取り扱う商品は、1日平均約700アイテム。「仕入れた商品は、どんなに遅くても3日間で売る」という。これは、他社のサイトよりも安く販売することをモットーにビジネスを展開しているからだ。一方、「仕入れ価格は他店と比べても大差がないので、利幅は小さい」と認める。1商品あたりの利益は少ないが、多くの量を販売することで利益を確保しているのだ。実際、アベルネットの昨年度(2013年2月期)の売り上げは276億円で、前年度を上回った。PCボンバー本店も、「順調に伸びている」(新井店長)という。売上比率は、ネットが90%、リアルが10%だ。
少ない人数で効率よく出荷する体制も整えた
サイトでの注文数は1日平均1000件。繁忙期には、平均1500件になる。これを少ない人数で効率よく出荷する体制も整えた。お客様に安心感を与える実店舗が、激安No.1を目指す通販サイトを支えているのだ。
店長が語る人気の理由――新井建三 店長
ウェブ制作会社でデザイナーをしていたとき、「実際に制作したウェブで商売をしてみたい」と考えて、2008年にアベルネットに入社した。通販サイトと実店舗の両方で仕事をして、「実店舗での手渡しは、商売の基本中の基本」ということを学んだ。とはいえ、通販サイトはライバルが多く、「通販サイトも強化しなければならない」と気を引き締める。しかも、単にサイトだけを強化すればいいわけではない。リアルとネットの融合を念頭に置いたサイトの強化で、どのように競合と戦っていくのか。新井店長は、「家電量販業界に旋風を巻き起こす」と力強く語った。
■人気の理由
・通販サイトで購入した商品を店頭で受け取ることができる
・通販サイトと同じ価格で購入できる
・ほかの通販サイトではまねできない接客
・通販サイトで購入した商品を店頭で受け取ることができる
・通販サイトと同じ価格で購入できる
・ほかの通販サイトではまねできない接客
※本記事は、ITビジネス情報紙「週刊BCN」2014年3月31日付 vol.1524より転載したものです。内容は取材時の情報に基づいており、最新の情報とは異なる可能性があります。 >> 週刊BCNとは