「どのセキュリティソフトにしよう……」 選ぶポイントは「ライセンス数」と「更新期間」
新しいパソコンを購入したら、忘れずにセキュリティソフトをインストールしよう。通常、パッケージ版よりダウンロード版のほうが安いが、容量が大きいので、アプリケーションのダウンロードに意外と時間がかかる。忙しい人には、ダウンロード版と同じように家にいながら手に入る「パッケージ版のオンライン購入」をおすすめしたい。
Windows 8のリリース後、ノートPCとデスクトップPCの売れ行きは低迷していた。家電量販店の実売データを集計した「BCNランキング」によると、2012年12月以降、ノートPC、デスクトップPCの月間販売台数はずっと前年を下回り、特にデスクトップPCは大きく落ち込んでいた。しかし、今年に入って、消費税増税・Windows XPの製品サポート終了前に新しいPCを手に入れようとする駆込み購入が本格化。ピークの3月は、ノートPC、デスクトップPCとも、販売台数は前年の1.8倍以上に達した。月間販売台数も過去3年間で最も多く、「ダブル駆込み」の効果は絶大だった。
パソコン本体の売れ行きとほぼ連動するかたちで、セキュリティソフトは低調が続いていたが、13年8~9月と12月以降は、販売本数は前年を上回っている。パソコンとの同時購入だけではなく、更新や別のセキュリティソフトへの乗換えで、ソフトを単体で購入するケースが多かったと考えられる。パソコン本体の販売台数が急増した3月は、セキュリティソフトも大いに売れ、前年同月比157.7%と、過去2年間で最大の伸び率を記録した。セキュリティソフトのライセンス期間は、通常1~3年。消費税5%の時点で「3年版」を手に入れておけば、しばらく使い続けられるとあって、前倒しで購入した人もいたのではないだろうか。
「BCNランキング」によると、13年のセキュリティソフト全体のメーカー別販売本数1位は、「ウイルスバスター クラウド」シリーズを展開するトレンドマイクロだった。トレンドマイクロは、08年にシマンテックを抜いて以来、6年連続で年間1位を獲得している。
今年3月のメーカー別シェアは、トレンドマイクロ(41.2%)、シマンテック(23.1%)、ソースネクスト(20.9%)、キヤノンITソリューションズ(8.1%)、Kaspersky Lab(5.3%)、マカフィー(1.1%)の順だった。トレンドマイクロは、約4割という高いシェアを占め、2位以下を大きく引き離している。売れ行きとセキュリティソフトとしての性能・信頼性は必ずしも結びつかない面もあるが、市販の有料セキュリティソフトを購入するときは、この上位6社の製品から選べばまず間違いないはずだ。
セキュリティソフトは、ソースネクストの「ウイルスセキュリティZERO」「スーパーセキュリティZERO」のように、対応するOSの公式サポート終了まで更新料0円で使い続けられる「更新料不要タイプ」と、トレンドマイクロの「ウイルスバスター クラウド」やシマンテックの「ノートン セキュリティ」など、ライセンスの有効期間が過ぎたら更新する必要がある従来タイプに分かれる。通常タイプのセキュリティソフトの価格は、「1台」「2台」「3台」などの利用台数(ライセンス数)と更新までの期間に応じて変わり、1台あたりのコストは、通常、複数台ライセンスの複数年版が最も安い。
注目は、メーカー別で4番手のポジションに浮上したキヤノンITソリューションズの「ESETセキュリティ ソフトウェア シリーズ」だ。13年12月発売の最新版は、Windows/Mac/Androidのマルチプラットフォームに対応し、三つの新機能でウイルス検出力をさらに強化した。Windows/Mac/Android向けプログラムから、個人向けの「ESET パーソナル セキュリティ」は1台に、家族向けの「ESET ファミリー セキュリティ」は最大5台に自由に選んでインストールできる。
また、Kaspersky Labは、13年に発売した「カスペルスキー 2013 マルチプラットフォーム セキュリティ」から、使用ライセンスを従来の台数ベースではなく「個人」に設定し、同一ユーザーが私的に使う端末なら何台でもインストールできる「プライベート版」を設定。14年11月発売の最新版「カスペルスキー 2014 マルチプラットフォーム セキュリティ」では、台数や人数の制限がなく、ユーザーの家族が使用するすべてのデバイスにインストールできる「ファミリー版」を追加した。家族で多数のパソコンを所有しているなら割安になる。
一般的なセキュリティ対策ソフトである「総合セキュリティソフト」に限った14年3月のライセンス数別の販売本数構成比は、「1」が25.8%、「2」が0.6%、「3」が66.0%、Kaspersky独自のプライベート版/ファミリー版(購入時のライセンス数は10台分、11台以上はサポートセンターに問い合わせて追加)を含む「10」が4.4%。3台以上の複数台ライセンスが約7割を占めた。「3台版」が一番人気で、それに「1台版」が続くという傾向は、ここ3年間ほぼ変わっていない。
更新期間について、3月の販売データをもとに同じソフト同士で比較すると、「ウイルスバスター クラウド」「カスペルスキー 2014 マルチプラットフォーム セキュリティ(プライベート版/ファミリー版/3台版)」「ESET パーソナルセキュリティ/ファミリー セキュリティ 2014」「ノートン セキュリティ(同時購入)」は、「1年版」より「3年版」のほうが多く売れていた。ただし「1年版」がまったく売れていないわけではなく、まずは1年間試しに使ってみたいと考える人や、単純に「価格が安い」という理由で選んでいる人もいるようだ。
パソコンを安全に使うために欠かせないセキュリティソフト。できるだけ費用を抑えたいなら、「ライセンス数」と「更新期間」をしっかり確認して、同一シリーズのなかで、1台/1年あたりの価格が安いものを選ぼう。(BCN・嵯峨野 芙美)
*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからパソコン本体、デジタル家電などの実売データを毎日収集・集計している実売データベース(パソコンの場合)で、日本の店頭市場の約4割をカバーしています。
主なセキュリティソフト
駆込み購入でパソコンの販売が急増 セキュリティソフトも伸びる
Windows 8のリリース後、ノートPCとデスクトップPCの売れ行きは低迷していた。家電量販店の実売データを集計した「BCNランキング」によると、2012年12月以降、ノートPC、デスクトップPCの月間販売台数はずっと前年を下回り、特にデスクトップPCは大きく落ち込んでいた。しかし、今年に入って、消費税増税・Windows XPの製品サポート終了前に新しいPCを手に入れようとする駆込み購入が本格化。ピークの3月は、ノートPC、デスクトップPCとも、販売台数は前年の1.8倍以上に達した。月間販売台数も過去3年間で最も多く、「ダブル駆込み」の効果は絶大だった。
パソコン本体の売れ行きとほぼ連動するかたちで、セキュリティソフトは低調が続いていたが、13年8~9月と12月以降は、販売本数は前年を上回っている。パソコンとの同時購入だけではなく、更新や別のセキュリティソフトへの乗換えで、ソフトを単体で購入するケースが多かったと考えられる。パソコン本体の販売台数が急増した3月は、セキュリティソフトも大いに売れ、前年同月比157.7%と、過去2年間で最大の伸び率を記録した。セキュリティソフトのライセンス期間は、通常1~3年。消費税5%の時点で「3年版」を手に入れておけば、しばらく使い続けられるとあって、前倒しで購入した人もいたのではないだろうか。
シェアNo.1は「ウイルスバスター クラウド」シリーズのトレンドマイクロ
「BCNランキング」によると、13年のセキュリティソフト全体のメーカー別販売本数1位は、「ウイルスバスター クラウド」シリーズを展開するトレンドマイクロだった。トレンドマイクロは、08年にシマンテックを抜いて以来、6年連続で年間1位を獲得している。
今年3月のメーカー別シェアは、トレンドマイクロ(41.2%)、シマンテック(23.1%)、ソースネクスト(20.9%)、キヤノンITソリューションズ(8.1%)、Kaspersky Lab(5.3%)、マカフィー(1.1%)の順だった。トレンドマイクロは、約4割という高いシェアを占め、2位以下を大きく引き離している。売れ行きとセキュリティソフトとしての性能・信頼性は必ずしも結びつかない面もあるが、市販の有料セキュリティソフトを購入するときは、この上位6社の製品から選べばまず間違いないはずだ。
CP重視なら「更新料不要タイプ」か「複数台ライセンス3年版」
セキュリティソフトは、ソースネクストの「ウイルスセキュリティZERO」「スーパーセキュリティZERO」のように、対応するOSの公式サポート終了まで更新料0円で使い続けられる「更新料不要タイプ」と、トレンドマイクロの「ウイルスバスター クラウド」やシマンテックの「ノートン セキュリティ」など、ライセンスの有効期間が過ぎたら更新する必要がある従来タイプに分かれる。通常タイプのセキュリティソフトの価格は、「1台」「2台」「3台」などの利用台数(ライセンス数)と更新までの期間に応じて変わり、1台あたりのコストは、通常、複数台ライセンスの複数年版が最も安い。
トレンドマイクロの「ウイルスバスター クラウド」(1年版、3年版)
注目は、メーカー別で4番手のポジションに浮上したキヤノンITソリューションズの「ESETセキュリティ ソフトウェア シリーズ」だ。13年12月発売の最新版は、Windows/Mac/Androidのマルチプラットフォームに対応し、三つの新機能でウイルス検出力をさらに強化した。Windows/Mac/Android向けプログラムから、個人向けの「ESET パーソナル セキュリティ」は1台に、家族向けの「ESET ファミリー セキュリティ」は最大5台に自由に選んでインストールできる。
また、Kaspersky Labは、13年に発売した「カスペルスキー 2013 マルチプラットフォーム セキュリティ」から、使用ライセンスを従来の台数ベースではなく「個人」に設定し、同一ユーザーが私的に使う端末なら何台でもインストールできる「プライベート版」を設定。14年11月発売の最新版「カスペルスキー 2014 マルチプラットフォーム セキュリティ」では、台数や人数の制限がなく、ユーザーの家族が使用するすべてのデバイスにインストールできる「ファミリー版」を追加した。家族で多数のパソコンを所有しているなら割安になる。
「ESET パーソナル セキュリティ」「ESET ファミリー セキュリティ 2014」「カスペルスキー 2014 マルチプラットフォーム セキュリティ」(ファミリー版)
一般的なセキュリティ対策ソフトである「総合セキュリティソフト」に限った14年3月のライセンス数別の販売本数構成比は、「1」が25.8%、「2」が0.6%、「3」が66.0%、Kaspersky独自のプライベート版/ファミリー版(購入時のライセンス数は10台分、11台以上はサポートセンターに問い合わせて追加)を含む「10」が4.4%。3台以上の複数台ライセンスが約7割を占めた。「3台版」が一番人気で、それに「1台版」が続くという傾向は、ここ3年間ほぼ変わっていない。
更新期間について、3月の販売データをもとに同じソフト同士で比較すると、「ウイルスバスター クラウド」「カスペルスキー 2014 マルチプラットフォーム セキュリティ(プライベート版/ファミリー版/3台版)」「ESET パーソナルセキュリティ/ファミリー セキュリティ 2014」「ノートン セキュリティ(同時購入)」は、「1年版」より「3年版」のほうが多く売れていた。ただし「1年版」がまったく売れていないわけではなく、まずは1年間試しに使ってみたいと考える人や、単純に「価格が安い」という理由で選んでいる人もいるようだ。
順位 | メーカー名 | 品名 | ライセンス数 | 対応 プラットフォーム(OS) |
販売本数シェア (%) |
1 | トレンドマイクロ | ウイルスバスター クラウド PC同時購入用 3年版 2014年度版 | 3 | Windows/Mac | 21.0 |
2 | ソースネクスト | ウイルスセキュリティZERO Windows 8対応版 |
1 | Windows | 14.0 |
3 | シマンテック | ノートン セキュリティ 優待版 | 3 | Windows/Mac/ iOS/Android |
8.9 |
4 | トレンドマイクロ | ウイルスバスター クラウド 3年版 2014年度版 | 3 | Windows/Mac | 8.3 |
5 | シマンテック | ノートン セキュリティ 同時購入3年版 | 3 | Windows/Mac/ iOS/Android |
6.6 |
6 | ソースネクスト | スーパーセキュリティZERO (CD版) | 1 | Windows | 5.1 |
7 | トレンドマイクロ | ウイルスバスター クラウド PC同時購入用 1年版 2014年度版 | 3 | Windows/Mac | 4.3 |
8 | トレンドマイクロ | ウイルスバスター クラウド 1年版 2014年度版 | 3 | Windows/Mac | 4.2 |
9 | キヤノンITソリューションズ | ESET ファミリー セキュリティ 2014 3年版 | 5 | Windows/Mac/Android | 2.8 |
10 | キヤノンITソリューションズ | ESET パーソナル セキュリティ 2014 3年版 | 1 | Windows/Mac/Android | 2.5 |
※ライセンス数や使用期間の違い、優待の有無などによって別々にカウント
「BCNランキング」2014年3月 月次<最大パネル>
*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからパソコン本体、デジタル家電などの実売データを毎日収集・集計している実売データベース(パソコンの場合)で、日本の店頭市場の約4割をカバーしています。