「プレイステーション4」と「SSD」の意外な関係 換装需要か? 前年比120%超に
ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)の家庭用ゲーム機「プレイステーション 4(PS4)」の発売からはや1か月。SCEは、3月4日、「PS4」の累計販売台数が全世界で600万台、国内で37万台を突破したと発表した。その「PS4」の人気にあやかって販売台数を伸ばしているPCパーツがある。それがSSD(ソリッドステートドライブ)だ。
発売から約1週間の3月2日までに、約37万台が売れた「PS4」。前モデル「PlayStation3(PS3)」の初週販売台数が約8万8000台、任天堂の「Wii U」の初週販売台数が約30万8000台だったことから考えると、据置き型ゲーム機離れが進むなかでは好調の滑り出しといえるだろう。
「PS4」は、8コアのCPU(x86-64 AMD “Jaguar”)とAMD製GPUによるメインプロセッサを備え、高い描写力と処理性能をもつ。さまざまなソーシャル・メディアと融合し、携帯型ゲーム機「PlayStation VITA(PS VITA)」などのモバイル端末との連携し、例えばプレイしているゲーム映像を録画してSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)などを通じて配信できるなど、これまでにない新しいゲームの楽しみ方をもたらしてくれる。
発売前から期待の高かった「PS4」だが、一点課題とされているポイントがあった。それは内蔵HDDの容量だ。「PS4」は「PS3」の大容量モデルと同じ500GBのHDDを内蔵する。だが、「PS3」のゲームと比べ、「PS4」対応のゲームは高画質・高音質になっていて、ゲームデータが大容量化しているのだ。さらに、追加のアップデートや前述の録画したゲーム映像などを保存していると、あっという間に容量はいっぱいになってしまう。そこで、「PS4」をとことん楽しみたいユーザーが出した答えが換装、つまりHDDの交換なのだ。
換装というと、これまではノートPCの内蔵HDDを大容量のストレージに変えたり、速度の速いSSDに変えたりするPC用語として使われることが多かった。だが、「PS4」発売以降は「PS4」の換装がブームになっており、ウェブサイトやデジモノ雑誌などに、「PS4」の換装手順の紹介やレビューが多数掲載されている。
この換装ブームを後押ししているのが、本家本元のSCEだ。なんと「PS4」のサポートページで、HDDの換装の手順を紹介している。また、HDDを換装しても「PS4」本体の保証期間は変わらないという。容量不足に悩むユーザーにとっては、SCEのこうした対応はありがたい。ただし、HDDの動作保証は自己責任だ。
さて、いざ換装となると迷うのが、どのストレージにするかということ。「PS4」が採用しているのは、2.5インチのHDD。換装できるストレージは、厚さ9.5mm以下の2.5インチHDD/SSD/SSHDだ。
とにかく容量を重視したいならHDD。条件を満たすHDDの現時点の最大容量は、1.5TBだ。SSDよりもコストパフォーマンスがよく、起動が速くなるSSHDもいい。だが、ゲームのパフォーマンスにこだわるならSSDをおすすめしたい。SSDに換装すると、「PS4」の起動やゲームの起動が速くなる。プレイするゲームによるが、数秒から数十秒ほど速くなる。
家電量販店の実売データを集計した「BCNランキング」で、最新のSSD市場をみていこう。SSD市場は、2011年に発生したタイの洪水の影響を受け大打撃を受けたHDDに代わって、2012年あたりから急速に伸びはじめた。
洪水の影響から脱した最近の市況では、例えば2月第1週には前年比97.5%と、SSDの販売台数は前年割れで推移してきた。しかし、「PS4」の発売日を含む2月第3週(2014年2月17~23日)は、前年同週比116.8%と2ケタの伸びをみせた。対して、HDDベアは、109.7%と微増という状況だった。
SSDはその後も好調に推移し、2月第4週は122.4%、3月第1週は127.8%に達した。「PS4」の販売が落ち着いてきた3月第2週は伸びは鈍化したが、それでも123.2%をマーク。順調に推移している。3月の後半に入ると増税前の駆込み需要が激しさを増し、さらにSSD市場は伸びるだろう。
もう一つ、「PS4」の発売で、一時的ではあるが大容量SSDの販売台数シェアが伸びた。「PS4」発売日を含む2月第3週の容量別構成比は、500GB以上、特に768GB以上~1024GB(1TB)の容量帯で変化がみられた。「PS4」発売前の2月第2週に0.7%だった販売台数シェアは、「PS4」発売後の2月第3週には3.5%に拡大。つまり、1TB級のSSDを購入したユーザーが増えたわけだ。
SSDの用途は、これまではPC用がほとんど。PCは外付けHDDやオンラインストレージなど、大容量データの保存先はたくさんあるので、内蔵のストレージはそれほど大容量にこだわる必要はない。しかし、「PS4」はすべてのデータを内蔵ストレージに保存するので、大容量が必須条件になる。
つまり、「PS4」の登場、そしてこれからの売れ行きは、SSDの大容量化の波をもたらす可能性がある。発売から1か月がたって、「PS4」の需要は一段落したが、4月14日には人気のRPG(ロールプレイングゲーム)の新作『ファイナルファンタジーXIV:新生エオルゼア』が発売される。PC版で人気を博しているこのRPGは、「PS4」版でも大人気になることは間違いない。これからも続々登場するであろう人気タイトルを快適にプレイするために、消費増税前のこのタイミングで大容量SSDに換装するのは、ゲームファンにとって賢い選択になるだろう。(BCN・山下彰子)
発売から約1週間の3月2日までに、約37万台が売れた「PS4」。前モデル「PlayStation3(PS3)」の初週販売台数が約8万8000台、任天堂の「Wii U」の初週販売台数が約30万8000台だったことから考えると、据置き型ゲーム機離れが進むなかでは好調の滑り出しといえるだろう。
プレイステーション 4(PS4)
「PS4」は、8コアのCPU(x86-64 AMD “Jaguar”)とAMD製GPUによるメインプロセッサを備え、高い描写力と処理性能をもつ。さまざまなソーシャル・メディアと融合し、携帯型ゲーム機「PlayStation VITA(PS VITA)」などのモバイル端末との連携し、例えばプレイしているゲーム映像を録画してSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)などを通じて配信できるなど、これまでにない新しいゲームの楽しみ方をもたらしてくれる。
発売前から期待の高かった「PS4」だが、一点課題とされているポイントがあった。それは内蔵HDDの容量だ。「PS4」は「PS3」の大容量モデルと同じ500GBのHDDを内蔵する。だが、「PS3」のゲームと比べ、「PS4」対応のゲームは高画質・高音質になっていて、ゲームデータが大容量化しているのだ。さらに、追加のアップデートや前述の録画したゲーム映像などを保存していると、あっという間に容量はいっぱいになってしまう。そこで、「PS4」をとことん楽しみたいユーザーが出した答えが換装、つまりHDDの交換なのだ。
PCではなくゲーム機の換装ブームが到来
換装というと、これまではノートPCの内蔵HDDを大容量のストレージに変えたり、速度の速いSSDに変えたりするPC用語として使われることが多かった。だが、「PS4」発売以降は「PS4」の換装がブームになっており、ウェブサイトやデジモノ雑誌などに、「PS4」の換装手順の紹介やレビューが多数掲載されている。
この換装ブームを後押ししているのが、本家本元のSCEだ。なんと「PS4」のサポートページで、HDDの換装の手順を紹介している。また、HDDを換装しても「PS4」本体の保証期間は変わらないという。容量不足に悩むユーザーにとっては、SCEのこうした対応はありがたい。ただし、HDDの動作保証は自己責任だ。
さて、いざ換装となると迷うのが、どのストレージにするかということ。「PS4」が採用しているのは、2.5インチのHDD。換装できるストレージは、厚さ9.5mm以下の2.5インチHDD/SSD/SSHDだ。
とにかく容量を重視したいならHDD。条件を満たすHDDの現時点の最大容量は、1.5TBだ。SSDよりもコストパフォーマンスがよく、起動が速くなるSSHDもいい。だが、ゲームのパフォーマンスにこだわるならSSDをおすすめしたい。SSDに換装すると、「PS4」の起動やゲームの起動が速くなる。プレイするゲームによるが、数秒から数十秒ほど速くなる。
「PS4」需要に湧くSSD市場 消費増税&注目タイトル発売前のいまこそ!
家電量販店の実売データを集計した「BCNランキング」で、最新のSSD市場をみていこう。SSD市場は、2011年に発生したタイの洪水の影響を受け大打撃を受けたHDDに代わって、2012年あたりから急速に伸びはじめた。
洪水の影響から脱した最近の市況では、例えば2月第1週には前年比97.5%と、SSDの販売台数は前年割れで推移してきた。しかし、「PS4」の発売日を含む2月第3週(2014年2月17~23日)は、前年同週比116.8%と2ケタの伸びをみせた。対して、HDDベアは、109.7%と微増という状況だった。
SSDはその後も好調に推移し、2月第4週は122.4%、3月第1週は127.8%に達した。「PS4」の販売が落ち着いてきた3月第2週は伸びは鈍化したが、それでも123.2%をマーク。順調に推移している。3月の後半に入ると増税前の駆込み需要が激しさを増し、さらにSSD市場は伸びるだろう。
もう一つ、「PS4」の発売で、一時的ではあるが大容量SSDの販売台数シェアが伸びた。「PS4」発売日を含む2月第3週の容量別構成比は、500GB以上、特に768GB以上~1024GB(1TB)の容量帯で変化がみられた。「PS4」発売前の2月第2週に0.7%だった販売台数シェアは、「PS4」発売後の2月第3週には3.5%に拡大。つまり、1TB級のSSDを購入したユーザーが増えたわけだ。
SSDの用途は、これまではPC用がほとんど。PCは外付けHDDやオンラインストレージなど、大容量データの保存先はたくさんあるので、内蔵のストレージはそれほど大容量にこだわる必要はない。しかし、「PS4」はすべてのデータを内蔵ストレージに保存するので、大容量が必須条件になる。
『ファイナルファンタジーXIV:新生エオルゼア』
つまり、「PS4」の登場、そしてこれからの売れ行きは、SSDの大容量化の波をもたらす可能性がある。発売から1か月がたって、「PS4」の需要は一段落したが、4月14日には人気のRPG(ロールプレイングゲーム)の新作『ファイナルファンタジーXIV:新生エオルゼア』が発売される。PC版で人気を博しているこのRPGは、「PS4」版でも大人気になることは間違いない。これからも続々登場するであろう人気タイトルを快適にプレイするために、消費増税前のこのタイミングで大容量SSDに換装するのは、ゲームファンにとって賢い選択になるだろう。(BCN・山下彰子)