駆込み購入でノートPCが好調 MacノートやWindowsタブレット端末も伸びる
4月1日の消費税増税と4月9日のWindows XPのサポート終了を控え、パソコン売り場が賑わっている。家電量販店の実売データを集計した「BCNランキング」によると、ノートPCは今年に入って、それまでの前年割れから一転してプラスに転じ、2月は前年同月比108.7%と、過去2年間のなかで2012年2月に次ぐ高い伸び率を記録した。
消費税増税の影響は、高額商品ほど大きい。4月1日に税率は現状の5%から8%に引き上げられ、課税対象商品を購入した場合に支払わなければならない消費税は、1万円で300円、10万円で3000円、100万円で3万円増える。例えば、本体価格10万円のノートPCを購入する場合、消費税5%時は10万5000円、消費税8%時は10万8000円をお店で支払うことになる。税金とはいえ、個人にとっては支出増だ。この差を「もったいない」と感じる方は、パソコンはもちろん、ずっとほしかったもの、定期的に使うもの、今後必ず使うと予想されるものなどは、ひと通り3月中に手に入れておこう。
パソコンは、故障によって内蔵HDD/SSDに保存していたデータや各種の設定を新しい機種に移行できないことがあるので、故障する前に買い替えたほうが安全。「パソコンやテレビなどのデジタル家電は、今後、さらに値が下がる可能性が高く、消費税増税前にあわてて買う必要はない」という見方もあるが、もともとの金額が高いので、一概に“駆込み購入”が損とはいい切れない。また、ノートPCは12年10月を底値に値上がり傾向にあり、1年前の13年2月と14年2月を比較すると、平均単価は2万円弱も上昇している。「待てば待つほど性能が上がる」ことは間違いないが、価格がWindows 8登場以前の水準まで急に下がるとは考えにくい。
ノートPCについて、OSとタッチパネルの有無で区分すると、Windows 8.1/8を搭載したタッチパネル対応モデル、タッチパネル非対応モデル、Windows 7搭載モデル、Macに分かれる。2014年2月の税別平均単価は、約9万3200円。しかし、販売台数が最も多かった価格帯は、平均単価以下の「6万円以上8万円未満」(20.7%)と平均単価に近い「8万円以上10万円」(20.4%)で、その前後の「6万円未満」「10万以上12万円未満」もそれぞれ2割弱を占めた。一方、国内メーカー製のハイエンドモデルや「MacBook Pro」の上位機種などが該当する「14万円以上」は1割未満の9.5%にとどまった。
ここ数年の間に、CPUやHDDなど、基本性能は大幅に向上し、画面サイズ15インチ以上のノートPCの多くは、数字の入力に便利な「テンキー付きキーボード」を採用するようになった。ランキングの上位には、価格と性能のバランスがよく、手頃な価格のスタンダードモデルが並ぶ。カラーバリエーションを合算した2014年2月のノートPCのシリーズ別販売台数1位は、富士通の「LIFEBOOK AHシリーズ」のベーシックモデル「AH53/M」、2位は、東芝の「dynabook T554」のDVDスーパーマルチドライブモデル「PT55445KSX」。どちらも2013年秋冬モデルに該当し、性能や新しさより、価格を重視して選んでいる人が多そうだ。最新の2014年春モデルに限ると、5位に入ったNECの「LaVie Sシリーズ」のDVDスーパーマルチドライブモデル「LS150/RS」がトップだった。
Windows 8.1/8の機能をフルに利用できるタッチパネル対応モデルは、ノートPC全体の27.8%を占め、前年同月比233.4%と、前年の2倍以上に急増した。Macノートも前年同月比134.9%と好調で、Windows XPサポート終了に伴う駆込み購入の一部はMacに流れているのではないかと推測する。また、前年度の販売台数が少なかったこともあって、Windows 8.1/8搭載タブレット端末は前年同月比673.1%という驚異的な伸び率を記録した。こちらは駆込みというより機種自体の人気によるものだろう。
販売台数の増減を週単位でみていくと、駆込み購入の勢いがよくわかる。今年2月下旬降、ノートPC、タブレット端末、デスクトップPCとも、ずっと前年同週の実績を上回り、特にMacノート、タッチパネル対応ノートPCは、2月最終週(2014年2月24日~3月3日)から3週連続で、前年同週比170%超と好調だ。残り約半月、どこまで伸びるのかに注目したい。(BCN・嵯峨野 芙美)
*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからパソコン本体、デジタル家電などの実売データを毎日収集・集計している実売データベース(パソコンの場合)で、日本の店頭市場の約4割をカバーしています。
本体価格10万円で3000円の支払い増 高額商品は増税前に手に入れよう!
消費税増税の影響は、高額商品ほど大きい。4月1日に税率は現状の5%から8%に引き上げられ、課税対象商品を購入した場合に支払わなければならない消費税は、1万円で300円、10万円で3000円、100万円で3万円増える。例えば、本体価格10万円のノートPCを購入する場合、消費税5%時は10万5000円、消費税8%時は10万8000円をお店で支払うことになる。税金とはいえ、個人にとっては支出増だ。この差を「もったいない」と感じる方は、パソコンはもちろん、ずっとほしかったもの、定期的に使うもの、今後必ず使うと予想されるものなどは、ひと通り3月中に手に入れておこう。
消費税増税&XPサポート終了の「ダブル駆け込み」で好調なノートPC
(左から、富士通のFMV LIFEBOOK AH53/M、東芝のdynabook T554、NECのLaVie S LS350/RS)
(左から、富士通のFMV LIFEBOOK AH53/M、東芝のdynabook T554、NECのLaVie S LS350/RS)
ノートPCの売れ筋は「6万~10万円未満」のスタンダードモデル
パソコンは、故障によって内蔵HDD/SSDに保存していたデータや各種の設定を新しい機種に移行できないことがあるので、故障する前に買い替えたほうが安全。「パソコンやテレビなどのデジタル家電は、今後、さらに値が下がる可能性が高く、消費税増税前にあわてて買う必要はない」という見方もあるが、もともとの金額が高いので、一概に“駆込み購入”が損とはいい切れない。また、ノートPCは12年10月を底値に値上がり傾向にあり、1年前の13年2月と14年2月を比較すると、平均単価は2万円弱も上昇している。「待てば待つほど性能が上がる」ことは間違いないが、価格がWindows 8登場以前の水準まで急に下がるとは考えにくい。
タイプ・OS | 2014年2月 | 2013年2月 | 増減 | 伸び率 (販売台数 前年同月比) |
ノートPC全体 | 93,200 | 74,500 | ↑ | 108.7% |
ノートPC(タッチ対応) | 119,700 | 98,700 | ↑ | 233.4% |
ノートPC(タッチ非対応) | 90,100 | 73,500 | ↑ | 81.2% |
Macノート | 115,400 | 104,600 | ↑ | 134.9% |
Windows 7ノート | 74,800 | 55,500 | ↑ | 31.3% |
タブレット全体 | 36,700 | 31,300 | ↑ | 117.7% |
Android | 25,000 | 24,600 | ↑ | 93.9% |
iOS(iPad) | 47,300 | 37,600 | ↑ | 108.5% |
Windws 8.1/8 | 47,500 | 67,900 | ↓ | 673.1% |
※平均単価は100円単位
※OS不明、タッチパネル対応不明の製品は集計対象外
※OS不明、タッチパネル対応不明の製品は集計対象外
ノートPCについて、OSとタッチパネルの有無で区分すると、Windows 8.1/8を搭載したタッチパネル対応モデル、タッチパネル非対応モデル、Windows 7搭載モデル、Macに分かれる。2014年2月の税別平均単価は、約9万3200円。しかし、販売台数が最も多かった価格帯は、平均単価以下の「6万円以上8万円未満」(20.7%)と平均単価に近い「8万円以上10万円」(20.4%)で、その前後の「6万円未満」「10万以上12万円未満」もそれぞれ2割弱を占めた。一方、国内メーカー製のハイエンドモデルや「MacBook Pro」の上位機種などが該当する「14万円以上」は1割未満の9.5%にとどまった。
ここ数年の間に、CPUやHDDなど、基本性能は大幅に向上し、画面サイズ15インチ以上のノートPCの多くは、数字の入力に便利な「テンキー付きキーボード」を採用するようになった。ランキングの上位には、価格と性能のバランスがよく、手頃な価格のスタンダードモデルが並ぶ。カラーバリエーションを合算した2014年2月のノートPCのシリーズ別販売台数1位は、富士通の「LIFEBOOK AHシリーズ」のベーシックモデル「AH53/M」、2位は、東芝の「dynabook T554」のDVDスーパーマルチドライブモデル「PT55445KSX」。どちらも2013年秋冬モデルに該当し、性能や新しさより、価格を重視して選んでいる人が多そうだ。最新の2014年春モデルに限ると、5位に入ったNECの「LaVie Sシリーズ」のDVDスーパーマルチドライブモデル「LS150/RS」がトップだった。
順位 | メーカー | シリーズ名 | 型番 | 画面サイズ | CPU種別 | 光学 ドライブ |
販売台数 シェア(%) |
1 | 富士通 | FMV LIFEBOOK AH53 | FMVA53M | 15.6インチ | Core i7 | BD マルチ |
6.8 |
2 | 東芝 | dynabook T554 | PT55445KSX | 15.6インチ | Core i3 | DVD マルチ |
5.3 |
3 | NEC | LaVie S | LS150/NS | 15.6インチ | Celeron Dual-Core |
DVD マルチ |
3.6 |
4 | 富士通 | FMV LIFEBOOK AH77 | FMVA77M | 15.6インチ (タッチパネル) |
Core i7 | BD マルチ |
3.5 |
5 | NEC | LaVie S | LS150/RS | 15.6インチ | Celeron Dual-Core |
DVD マルチ |
3.1 |
6 | NEC | LaVie S | LS350/RS | 15.6インチ | Core i3 | BD マルチ |
2.5 |
7 | 東芝 | dynabook T554 | PT55467KBX | 15.6インチ | Core i7 | BD マルチ |
2.5 |
8 | ソニー | VAIO Fit 15A | SVF15N18DJ | 15.5インチ (タッチパネル) |
Core i7 | なし | 2.1 |
9 | NEC | NEC LaVie L | LL750/NS | 15.6インチ (タッチパネル) |
Core i7 | BDマルチ | 2.1 |
※太字は2014年春モデル(その他はすべて2013年秋冬モデル)
「BCNランキング」2014年2月 月次<最大パネル>
Windows 8.1/8の機能をフルに利用できるタッチパネル対応モデルは、ノートPC全体の27.8%を占め、前年同月比233.4%と、前年の2倍以上に急増した。Macノートも前年同月比134.9%と好調で、Windows XPサポート終了に伴う駆込み購入の一部はMacに流れているのではないかと推測する。また、前年度の販売台数が少なかったこともあって、Windows 8.1/8搭載タブレット端末は前年同月比673.1%という驚異的な伸び率を記録した。こちらは駆込みというより機種自体の人気によるものだろう。
MacノートやWindows搭載タブレット端末も伸びている
(左から、アップルのMacBook Air、レノボのMiix 2 8)
(左から、アップルのMacBook Air、レノボのMiix 2 8)
販売台数の増減を週単位でみていくと、駆込み購入の勢いがよくわかる。今年2月下旬降、ノートPC、タブレット端末、デスクトップPCとも、ずっと前年同週の実績を上回り、特にMacノート、タッチパネル対応ノートPCは、2月最終週(2014年2月24日~3月3日)から3週連続で、前年同週比170%超と好調だ。残り約半月、どこまで伸びるのかに注目したい。(BCN・嵯峨野 芙美)