「iPhone 5s」に人気集中、シェア44.5%――2014年2月の携帯電話ランキング

特集

2014/03/11 19:22

 2月上旬から本格化した今年の携帯電話春商戦。家電量販店の実売データを集計した「BCNランキング」によると、2014年2月のスマートフォンの販売台数は前年を上回り、3月も前年を超える水準で推移している。MNP(番号ポータビリティ)向けの高額キャッシュバック・端末代割引や、一部機種の値下げがプラスに働いているようだ。

3キャリアとも「iPhone 5s」を猛プッシュ 月間販売台数は過去最高



 キャリアごとに容量を合算すると、2014年2月の携帯電話の販売台数1位は、前月に引き続き、ソフトバンクモバイルの「iPhone 5s」だった。2位のauの「iPhone 5s」とはわずか0.2ポイント差で、ほぼ同率1位といっていいだろう。ドコモの「iPhone 5s」は、シェアは前月の2倍近くに跳ね上がったものの、順位は前月と同じ3位のままだった。
 
2014年2月 携帯電話
販売台数ランキング<全キャリア合算>

※iPhoneはキャリアごとに容量を合算
順位 キャリア メーカー 品名 販売台数
シェア(%)
1 SoftBank アップル iPhone 5s 16.3
2 au アップル iPhone 5s 16.1
3 NTTドコモ アップル iPhone 5s 12.2
4 NTTドコモ ソニーモバイル
コミュニケーションズ
Xperia Z1 f SO-02F 2.3
5 au アップル iPhone 5c 2.3
6 SoftBank ZTE みまもりケータイ3 202Z 2.3
7 SoftBank アップル iPhone 5c 2.2
8 au ソニーモバイル
コミュニケーションズ
Xperia Z1 SOL23 2.0
9 au 京セラ GRATINA 1.9
10 NTTドコモ パナソニック モバイル
コミュニケーションズ
P-01F 1.9
-

iPhone 5s合計

44.5
-

iPhone 5c合計

5.9
「BCNランキング」2014年2月 月次<最大パネル>
 
 ドコモ、au、ソフトバンクモバイルがMNP向けの目玉機種としてプッシュしたことで、「iPhone 5s」の月間販売台数は発売以来最も多く、携帯電話全体に占める販売台数シェアも44.5%と、発売以来最も高かった。スマートフォンに限ると54.3%を占め、2月に販売されたスマートフォンのほぼ2台に1台が「iPhone 5s」だった計算になる。容量別では16GB/32GBだけで約9割となり、発売直後とは異なり、価格の安い16GBモデルが人気を集めている。
 

iPhone 5s/iPhone全体の販売台数指数(2013年9月~2014年2月)

 

iPhone 5s容量別販売台数構成比(2013年9月~2014年2月)


 iPhoneの割合(iPhone率)は、3キャリアすべて3割以上。iPhone率が他社よりも低かった後発のドコモですら4割近い39.5%に達し、auも前月の47.6%から55.2%に上昇した。対して、ディスプレイいっぱいに画面が広がった狭額縁デザインのAndroid搭載スマートフォン「AQUOS PHONE Xx 302SH」「AQUOS PHONE Xx mini 303SH」が売れたソフトバンクは63.7%と、前月とほぼ同じ水準だった。
 

キャリア別 iPhone率の比較(2014年2月)

 

auのファブレットは低調 iPhone以外のコンパクトモデルに隠れたニーズ?



 続いて、キャリアごとのランキングをみていこう。ドコモは、「P-01F」をはじめ、3位・4位・8位・10位に、従来型携帯電話がランクインした。<iPhone好調の裏で縮小するケータイ 3年間で販売台数は半分以下に>でも触れた通り、従来型携帯電話は年々販売台数が減少し、普及率や実際の利用率を考慮せず、販売データだけで判断すると、とても「復権」とはいい難い。ただ、製品数が減ったことでランキングの上位に入りやすくなり、一時より存在感は高まっている。
 
2014年2月 携帯電話
販売台数ランキング<ドコモ>

※iPhoneは容量を合算
順位 メーカー 品名 販売台数
シェア(%)
発売年月
1 アップル iPhone 5s 35.5 2013/09
2 ソニーモバイル
コミュニケーションズ
Xperia Z1 f SO-02F 6.8 2013/12
3 パナソニック モバイル
コミュニケーションズ
P-01F 5.4 2013/10
4 Huawei Technologies キッズケータイ HW-01D 4.9 2012/09
5 シャープ AQUOS PHONE ZETA SH-01F 4.9 2013/11
6 ソニーモバイルコミュニケーションズ Xperia Z1 SO-01F 4.7 2013/10
7 アップル iPhone 5c 4.0 2013/09
8 シャープ SH-03E 3.8 2012/12
9 富士通 ARROWS NX F-01F 3.7 2013/10
10 NECカシオモバイル
コミュニケーションズ
N-01F 3.1 2013/11
「BCNランキング」2014年2月 月次<最大パネル>
 
 auは、1位~3位は前月と変わらず、4位以下は順位に動きがあった。1~2月に発売した2014年春モデルは、アジアを中心とした海外で人気の「ファブレット」に分類される約6.4インチの大画面スマートフォン「Xperia Z Ultra SOL24」の10位が最上位。日本初の曲面ディスプレイを採用した「G Flex LGL23」は22位にとどまった。

 「ファブレット」を含むAndroid搭載スマートフォンは、5インチ以上の大画面、長時間の電池もちを実現する大容量バッテリ、高性能クアッドコアCPU、明るいレンズを採用したカメラ、フルセグ(地上デジタル放送)/ワンセグ、便利なNFC(近距離無線通信)など、「ハイスペック」をウリにする機種が多く、ドコモの「Xperia Z1 SO-01F」や、ソフトバンクモバイルの「AQUOS PHONE Xx mini 303SH」のようなコンパクトモデルは、主流から外れた存在。それでも、キャリアごとのランキングではともに上位に食い込み、隠れたヒットといえるだろう。
 
2014年2月 携帯電話
販売台数ランキング<au>

※iPhoneは容量を合算
順位 メーカー 品名 販売台数
シェア(%)
発売年月
1 アップル iPhone 5s 48.2 2013/09
2 アップル iPhone 5c 6.8 2013/09
3 ソニーモバイル
コミュニケーションズ
Xperia Z1 SOL23 6.1 2013/10
4 京セラ GRATINA 5.7 2013/09
5 LGエレクトロニクス isai LGL22 4.2 2013/11
6 京セラ mamorino3 3.7 2013/01
7 富士通モバイル
コミュニケーションズ
ARROWS Z FJL22 2.9 2013/11
8 HTC HTC J One HTL22 2.5 2013/06
9 京セラ 簡単ケータイ K012 2.4 2012/05
10 ソニーモバイル
コミュニケーションズ
Xperia Z Ultra SOL24 2.2 2014/01
 
2014年2月 携帯電話
販売台数ランキング<SoftBank>

※iPhoneは容量を合算
順位 メーカー 品名 販売台数
シェア(%)
発売年月
1 アップル iPhone 5s 55.6 2013/09
2 ZTE みまもりケータイ3 202Z 7.7 2013/08
3 アップル iPhone 5c 7.6 2013/09
4 シャープ AQUOS PHONE Xx 302SH 4.8 2013/12
5 シャープ PANTONE WATERPROOF 202SH 4.2 2013/01
6 シャープ AQUOS PHONE Xx mini 303SH 3.8 2014/02
7 パナソニック モバイル
コミュニケーションズ
COLOR LIFE 4 WATERPROOF 301P 3.0 2014/01
8 シャープ かんたん携帯 108SH 2.4 2012/07
9 シャープ シンプルスマホ 204SH 1.4 2013/05
10 シャープ AQUOS PHONE Xx 206SH 1.1 2013/06
「BCNランキング」2014年2月 月次<最大パネル>
 

過熱するキャッシュバック 2月はアップルの「一人勝ち」



 たった1機種で約4割というシェアが示す通り、2月はアップルの一人勝ちに終わった。キャリア別では3社ほぼ横並びで、携帯電話全体の約8割を占めるスマートフォンに限ると、au34.9%、ドコモ33.0%、ソフトバンクモバイル28.9%(ソフトバンクグループ32.0%)と、わずかにauが優勢だった。 今回の「iPhone 5s」のキャッシュバック合戦の火つけ役はドコモ。しかし、その攻めの戦略が、競合を焚きつけてしまった感は否めない(BCN・嵯峨野 芙美)
 



*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからパソコン本体、デジタル家電などの実売データを毎日収集・集計している実売データベース(パソコンの場合)で、日本の店頭市場の約4割をカバーしています。